RBA行動規範「すべての労働は自発的なものでなければならない」を考える
Responsible Business Alliance(RBA:責任ある企業同盟)では、「すべての労働は自発的なものでなくてはなりません」という規定が定められています。労働者の自由と尊厳を保護し、強制労働を禁止するための重要な基準です。この規定により、労働者は自分の意志で仕事を選び、自由に離職する権利が保証されています。また、雇用者や人材斡旋会社は、労働者の身分証明書やパスポートを不当に保持したり、就職斡旋手数料を請求したりすることが禁じられています。このようなことは、結局「身分拘束」につながうからです。
最新の行動規範(V8.0:2024年1月1日現在))は以下になります。https://www.responsiblebusiness.org/media/docs/RBACodeofConduct8.0_Japanese.pdf
具体的には、以下のような基準が設けられています。
雇用契約の自由
労働者は、合理的な通告期間を経て、違約金やその他のペナルティなしに、いつでも自由に離職することができます。この権利は雇用契約に明記されるべきです。雇用者は労働者の自由な離職を妨げたり、報復したりしてはなりません。労働者は自由意志で雇用を継続するか終了するかを決められなければなりません。もし、会社の「承認」が得られないと退職ができないよう担っているとすると、この基準を満たすことにはならないでしょう。
身分証明書の保持
雇用者や人材斡旋会社は、労働者の身分証明書や出入国管理書類を保持、破棄、隠匿、没収することはできません。これにより、労働者が自由に移動し、必要に応じて雇用を変更することが可能になります。身分証明書を不当に保持することは、労働者の移動の自由を制限し、その結果として強制労働につながる可能性があります。例えば、運転免許証やパスポートの原本を所持していたら、この規定に抵触するでしょう。
就職斡旋手数料の禁止
労働者は、雇用者や人材斡旋会社に就職斡旋手数料やその他の雇用に関わる手数料を支払う必要はありません。これにより、労働者が金銭的な負担なしに雇用を得ることができます。手数料の支払いは、労働者を債務の束縛に置き、結果として強制労働の危険性を高めます。
これらの規定は、労働者が安全で健全な労働環境で働くことを保証し、人権を尊重するビジネスプラクティスを促進するために設計されています。RBAの行動規範は、サプライチェーン全体で倫理的な労働慣行が実施されることを目指しており、企業が社会的責任を果たす上でのガイドラインとなっています。企業はこれらの基準を遵守することで、強制労働の危険性を減らし、労働者の人権を尊重することができます。
RBAの基準は、国際的な労働法や人権法に基づいており、グローバルなビジネス環境において労働者の権利を守るための枠組みを提供しています。これらの基準に従うことで、企業は持続可能なビジネスモデルを構築し、社会的に責任ある方法で成長することができます。労働者の権利と福祉を守ることは、ビジネスの成功だけでなく、社会全体の進歩にとっても不可欠なのです。
企業は、定期的に自社の労働慣行を見直し、RBAの基準に沿っているかを確認する必要があります。人権デューデリジェンスの実施、労働者への研修の実施、サプライチェーン全体への基準の浸透などの取り組みが求められます。また、労働者の意見を聞き、実際の労働環境を把握することも重要です。
RBAの基準の遵守は、企業にとって倫理的な責任を果たすだけでなく、ビジネス上のメリットももたらします。強制労働のリスクを低減することで、レピュテーションリスクを回避でき、生産性と製品の品質も向上します。また、優秀な人材の確保と定着にもつながります。
このように、RBAの「すべての労働は自発的なものでなくてはなりません」という原則は、企業と労働者の双方にとって重要なものです。詳細については、RBAのページも参照してください。労働者の権利と福祉を守ることは、ビジネスの成功だけでなく、社会全体の進歩にとっても不可欠なのです。
RBAの原則に基づいた職場の理想的な姿を表現しています。労働者が自発的に、そして満足感を持って働く姿、そして職場の自由と尊厳が保護されている様子が描かれています。温かく柔らかい画風で、働く人々の多様性や、彼らが互いに協力し、プロジェクトについて話し合っている様子が表現されています。緑豊かな植物で満たされた明るく開放的な空間は、健全な労働環境の重要性を強調しています。画像全体からは、企業が社会的責任を果たし、労働者の人権を尊重する姿勢が伝わってきます。