「パタハラ」についての基本的理解
「パタハラ」とは
「パタハラ」ってご存知でしょうか。パタハラとは「パタニティハラスメント」の略で、パタニティ(paternity)とは父性、ハラスメント(harassment)は嫌がらせという意味で、ハラスメントの一つです。
主として男性の労働者が、育児のために、育児休業、子の看護休暇、時短勤務等を利用することを希望したこと、あるいはこれらの制度を利用したことを理由として、同僚、上司等から嫌がらせなどを受け、就業の環境を害されることをいいます。
男性の育児休業取得は増傾向
男性の育児休業取得者数はまだまだ少ないですが、一時よりは多くなっているという印象です。2021年度には14.0%まで上がってきました。数年前まで1桁台であったことを考えると、劇的な進化といえます。
4人に1人がパタハラを受けている
一方で、『令和2年度職場のハラスメントに関する実態調査』によると、「過去 5 年間に育児に関わる制度を利用しようとした男性労働者の中で、育児休業等ハラスメントを受けたと回答した者の割合は、26.2%であった。」との報告もあり、パタハラを受けた方が決して少なくはないということも分かります。
【参考】令和2年度職場のハラスメントに関する実態調査
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000775817.pdf#page=143
パタハラとなる可能性のある行為
以下の行為は、パタハラとなる可能性が高い行為となります。思わずいってしまいそうな発言ですので、十分注意する必要があります。
(1)不利益な取扱いを「ほのめかす」行為
・部下から「育児休業を取得したい」という相談を受けたときに、「休むなら退職ですね」などの発言
・部下から、時間外労働の免除の相談があったときに、「これで昇進はないですね」などの発言
・部下から、時短勤務の希望の相談があったときに、「それなら評価は下がりますね」などの発言
(2)制度利用の希望・利用を妨害する行為
・部下から、「育児休業を取得したい」という相談を受けた際、「休まれると困る」言い、取得を認めない
・部下から、「育児休業を取得する」と聞いた際、「業務が回らなくなるから取得しないでほしい」などと迫る
・「うちの部門は忙しいから、育児休業は利用しないように」などと周知している
(3)実際に制度を利用したことで、嫌がらせをする行為
・制度を利用した人に対して、嫌がらせの発言
例えば、「育児休業を利用して休むなんて、周りの迷惑を考えていない」ということを言う。
・育児休業等の制度を利用したことを理由に、本人の意思に沿わない配置転換
・「育休をとる人には責任のある仕事を任せられない」などと言う。補助的な業務のみ担当させる。
理解はまだまだ、社内教育をしっかりと
日本において、男性の育児休業の取得率は徐々に上がってはきているものの、女性と比較するとまだまだ少ない状況です。セクハラ、パワハラ、マタハラと比較すると、まだまだ理解も足りないと思われます。実際にこういった嫌がらせをしてしまうという行為をよく聞きます。コンプライアンス違反として、継続した社内教育も非常に重要でしょう。
無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)に注意しましょう。
パタハラが起こる背景(セクハラやマタハラも然り)として、「無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス:自分自身が気づいていない、偏った思考パターン)」があります。
例えば、以下のような思考を持っていないでしょうか。
・男性は「男らしく」、女性は「女らしく」するべき。
・女性は、男性のいうことを聞くべきだ。
・妊娠・出産したなら、その時点で退職すべきだ。
・男性は仕事、女性は家事・育児に専念すべきだ。
・育児は女性がすること。
・男性は責任ある仕事、女性は補佐的な役割が適している。
・男だったら長時間労働に耐えるべき。
「人間には無意識の偏見があること」を自覚していないと、無意識にハラスメントに当たる言動をしてしまう可能性があるため、注意しましょう。
一方で、「アンコンシャス・バイアス」には難しさもあります。以下の記事も参考にしてみてください。
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