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【書籍】時代遅れマネジャーからの脱却:飯田剛弘氏に学ぶ新マネジメント論

 The21 2024年5月号「仕事と人生に効く100の言葉」の中で、飯田剛弘さんの「多様なメンバーが集うチームをうまく導いていく方法」(p88)は自身の管理職の立場にとっても、また、人事の立場としても改めて考えさせられるところがあり、大変参考になりました。ポイントをを取り上げ、考察したいと思います。


 飯田氏が提唱する現代マネジャー論は、多様性と変化に富む現代のビジネス環境に適応するための指針を示しています。彼は「時代遅れマネジャー」の特徴を挙げ、メンバーとの会話を避ける、異なる考え方を即座に直そうとする、自身のやり方を変えないなど、柔軟性に欠ける行動を指摘しています。これらの特徴は、チームメンバーの成長や組織の進化を妨げる要因となり得ます。

 飯田氏は、個性や多様性を尊重し、一人ひとりの「内面的多様性」に目を向けることの重要性を強調しています。現代のマネジャーには、チームが同じ方向を見て進むための明確な目的や目標の設定が求められるとしています。具体的には、「SMARTゴール」を設定することで、目標達成に向けた明確な指針をメンバーに提供することが推奨されています。

 また、マイクロマネジメントの危険性について警鐘を鳴らし、マネジャーがチーム全体を俯瞰し、個々のタスクよりも大きな枠組みで仕事を進めるべきだと主張します。技術の進化により、仕事の進め方も変化しており、メンバーにはそれぞれの得意な方法で仕事を進める自由を与えるべきだと述べています。

 この理論は、チームメンバーのスキルや弱点を明確に把握し、適切な役割分担と成長支援を行うことの重要性も説いています。スキルマップの活用により、メンバーのスキルセットを可視化し、個々の成長を促進することが効果的であるとされています。

 飯田氏の提言は、現代のマネジャーが直面する多様性と変化に対応するための具体的な戦略を提供しており、一人ひとりの個性を尊重しながらも、チーム全体としての成果を最大化するための指針を示しているものといえます。

人事の視点から考えること

 飯田氏が挙げた「時代遅れマネジャー」チェックリストから浮かび上がるのは、現代の組織運営において、変革を求められるマネジメントの姿勢です。組織の中核を担うマネジャーたちが直面する課題は多岐にわたりますが、それぞれの項目に対する深い理解と対応策を探ることで、より良い組織運営を目指すことができます。

メンバーとのコミュニケーションの重要性

 現代の組織運営では、メンバー一人ひとりとの効果的なコミュニケーションが非常に重要です。従業員が自分の意見や考えを自由に表現できる環境を作ることは、イノベーションの源泉となります。対話を通じて、メンバーの隠れた能力やアイデアを引き出し、それを組織の成長に繋げることができるからです。

メンバーの考え方の多様性を受け入れる

 多様性の尊重は、現代のマネジメントにおいて欠かせない要素です。異なるバックグラウンドや経験を持つメンバーたちの考え方を理解し、受け入れることで、チームの創造性や柔軟性が高まります。メンバーの考え方が自分と異なると感じた場合、その背景や理由を理解しようとする努力が必要です。この過程で、マネジャー自身の視野も広がり、より豊かな組織文化を育むことができます。

自己のマネジメントスタイルの見直し

 自分の仕事の進め方や管理スタイルに固執することなく、常に改善や更新を図ることが、現代のマネジャーには求められます。テクノロジーやビジネス環境の変化に迅速に対応するためには、新しいツールや手法を柔軟に取り入れ、チームに適応させる必要があります。また、自らが変化を恐れず、学び続ける姿勢を持つことで、組織全体の学習文化の醸成にも寄与します。

情報の共有と透明性の確保

 情報の共有は、チームメンバーが共通の目標に向かって協力するための基盤となります。マネジャーが持つ情報をメンバーと共有することで、彼らの意思決定能力と自律性が高まります。また、透明性のあるコミュニケーションは、信頼関係の構築にも繋がります。情報を独占することなく、オープンにすることで、組織内の不必要な誤解や不信感を減らすことができます。

メンバーの自己実現をサポートする

 従業員一人ひとりのキャリアパスや成長を支援することは、マネジャーの重要な役割です。メンバーが自分の強みを活かし、キャリア上の目標を達成できるようにサポートすることで、個人の満足度だけでなく、組織のパフォーマンス向上にも繋がります。また、メンバーの成長を支援することで、組織への忠誠心やエンゲージメントが高まり、長期的な成功に寄与します。

まとめ

 現代のマネジメントは、変化の激しいビジネス環境と多様性のある労働力を効果的にマネジメントするために、従来の手法からの大幅な転換を求められています。メンバーとのオープンなコミュニケーション、多様性の尊重、自己のマネジメントスタイルの柔軟な見直し、情報共有の促進、そしてメンバーの自己実現のサポートが、その鍵となります。これらの要素を意識し、実践することで、マネジャーは組織を成功に導くことができるでしょう。

現代マネジメント理論の理想を体現するオフィス環境を描いています。多様なバックグラウンドを持つチームメンバーが、互いに尊重し合いながら、オープンなコミュニケーションと協力を通じて仕事を進めている様子が見て取れます。リラックスした開放的なスペースでのディスカッションや、デジタルツールを使用した情報共有の場面が、柔軟で包括的なリーダーシップスタイルの下での個人の成長支援とチームワークの大切さを象徴しています。この画像からは、多様性と変化を受け入れ、促進する現代の職場の理想像が感じられます。

「令和上司」を目指したいものです。

令和上司は、リーダーとしてチームや部下の成長を促し、結果を出します。 相手の力を引き出すことが上手いです。チャレンジをさせたり、アドバイスやフィードバックを与えたり、コーチングしたりして、部下に大きな変化をもたらします。部下一人ひとりが成果を出し、チームとして目標を達成します。実績を作っていくことで、部下は自信をつけ、さらに成長を続けます。 また部下を育てることによって、上司自身もラクになり、新しいことにチャレンジできるようになります。さらにその育てる経験から学び、自信につながり、仕事にやりがいを感じ、周りからも評価されるでしょう。

飯田剛弘著『令和上司のすすめ 「部下の力を引き出す」は最高の仕事』はじめにより引用


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