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【書籍】逆境の中の輝きー古賀稔彦のオリンピック挑戦と再生

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)のp191「6月6日:金メダル獲得の原動力(古賀稔彦 柔道家)」を取り上げたいと思います。

 1988年ソウルオリンピックでオリンピック初出場するも、3回戦で敗退した。帰国後、誹謗中傷に遭い、人間不信に陥り自宅に閉じこもった古賀選手でしたが、テレビで両親が試合会場で頭を下げる姿を見て衝撃を受けます。自分が一人で戦っているわけではないと気づき、周囲のサポートと応援の大切さに目覚めました。練習相手として尽力した仲間や、声援や手紙を送ってくれた多くの人々の存在に気づき、彼らに恩返しする決意を固めます。これが、彼が次のオリンピックで金メダルを獲得する強い動機となりました。この体験は、単に自分一人の力ではなく、周囲の支援と連帯がいかに重要かを示しています。その後古賀稔彦選手は、1992年のバルセロナオリンピックでケガをしながらも金メダルを獲得するのです。

 この物語は、挫折と再起に関する深い教訓を含んでいます。特に、人事の視点から考えると、個人の成長、サポートシステムの重要性、そして困難を乗り越えるための心理的な強さに関して多くの洞察を提供します。以下に、この物語から学べる人事に関連するいくつかのポイントを考察します。


困難に直面した際のサポートの重要性

 古賀選手が挫折を経験した時、彼を取り巻く環境は否定的なものでした。企業においても、従業員が困難に直面した際には、周囲のサポートが不可欠です。サポートがないと、従業員は孤立しやすく、パフォーマンスが低下する可能性があります。人事としては、従業員がチャレンジし、失敗してもサポートされる文化を醸成することが重要です。

ところがこうして少しずつ周りが見えてきたことで、自分の後ろにはこんなにもたくさんの人たちが一緒に闘ってくれている、だから安心して闘っていいのだと思えるようになったのです。そしてこれを機に、それまでの自分が嘘のように前向きになることができました。もう両親に頭を下げさせてはいけない。そして自分をサポート、応援してくれた人たちにも絶対喜んでもらいたい。そのためにはオリンピックで負けたのだから、次のオリンピックで金メダルを取って恩返ししよう――。

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)p191

個々人の貢献の認識と評価

 古賀選手は、自分が独りで戦っていると感じていましたが、実際には多くの人が彼を支えていました。企業においても、個々の従業員がチームやプロジェクトにどのように貢献しているかを認識し、評価することが重要です。人事は、このような貢献を明確にし、適切に評価するシステムを設計する責任があります。

逆境からの学びと成長

 古賀選手は失敗から学び、それが後の成功への動機付けになりました。企業においても、失敗は学びの機会であると捉える文化を作ることが重要です。人事は、失敗を責めるのではなく、そこから学び、成長する機会として利用する仕組みを作ることが求められます。

メンタルヘルスのサポート

 物語の中で、古賀選手は心理的に大きなダメージを受け、人間不信に陥りかけました。企業においても、従業員のメンタルヘルスは非常に重要です。人事は、メンタルヘルスに関するサポート体制(カウンセリングサービスなど)を整えることが重要です。

リーダーシップと自己認識

 最終的に古賀選手は、自分の周りにいた人々のサポートを認識し、それが彼の変化と成長に繋がりました。リーダーシップの観点からは、自己認識と他者の貢献への感謝が重要です。人事は、リーダーシップ研修やコーチングを通じて、このような能力の育成を支援することができます。

 総じて、この物語は個人とチームの相互作用、逆境を乗り越える心理的な強さ、そして組織内でのサポートと評価の重要性を浮き彫りにしています。人事ちとしてはこれらの要素を組織内で構築し、強化する役割を担っています。


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