【書籍】『定年前と定年後の働き方』-誰でも訪れる定年前後を考える
石山 恒貴さんの新著『定年前と定年後の働き方』(光文社新書)について、私なりに気になったところ紹介します。私もシニア世代、人生も後半に差しかかるところ、また、人事の立場として種々の施策に携わる者として、非常に気づきが多い内容でした。ぜひ一読されることをおすすめします。
「抑うつに陥らないこと」と「経験への開放性」
「抑うつに陥らないこと」ということ。これが旨くコントロールできるとすれば、大分楽になるだろうと思います。意外に、抑うつに陥ってしまい、早くもゲームオーバーになってしまうようなこともあるかも知れません。もともと抑うつになりやすい世代でもあり、ここは注意しなければなりません。
「経験への開放性」も重要とのこと。西田さんのサイトも見てみたが納得いく内容。ここは、常に意識していくようにしたいと思います。
「自己の成長と専門性の追求」と「全体性」を何度も行き来させる
石工やレンガ職人の話は、どうも最後の職人ばかりが称賛される感があります。それはそれでよいのですが、「自己の成長と専門性の追求」×「全体性」を目指すことが大切だと思います。ちょうど、抽象(全体性)と具体(専門性)の行き来と似ているでしょうか。これは、経験豊富なシニアでこそやりやすいのかも知れませんし、優位性であると思われます。
業務委託に慣れることも重要
プロジェクトベースの仕事をしている方、またはある程度裁量性がある立場であるとイメージがつきやすいですが、そうでなければなかなか難しいと思います。
請負、委任といった形に慣れておくことも必要であろうであろうし、慣れてくればかえって裁量も多くなるからやりやすいのかも知れません。いずれにしても、「慣れ」は必要です。
モザイク型就労を意識してみる
「モザイク型就労」という言葉は初めて聞きましたが、興味深い概念です。
特にシニアは、「時間モザイク」×「空間モザイク」×「スキルモザイク」の掛け合わせによってポジショニングをすることで、強みが生じ得るのではないでしょうか。
すなわち、どこに時間が生じるのかを把握、テレワーク技術の伸長・環境の整備、自身のスキルの整理を明らかにすることが大切と思います。特に昨今のコロナ環境の働き方によって、テレワーク技術を伸長させたシニアも多いのではないかと思います。あとは、時間を生じさせることと、自身のスキルを明らかにすること。これも簡単なようで難しいですが、早いうちから取り組めば、差別化の武器とはなってくると思います。
越境し、アウェイを経験し刺激を受ける
以下を「4つのワーク」として定義づけています。自分の居心地が悪い環境に身を置くことも、学習効果としてはあると思います。会社人であると、「有給ワーク」は強い方が多いと思いますが、他の領域はまだまだという方も多いのではないでしょうか。私もそうですが。
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・賃金を得るための活動である「有給ワーク」
・家庭の様々な活動を行う「家庭ワーク」
・社会や地域に貢献(ギフト) する「ギフトワーク」
ボランティア活動、プロボノ(自分のスキルを活かして行うボランティア) 、NPO活動、地域における様々なコミュニティ活動(コミュニティカフェ、こども食堂、町内会・自治会、マンションの理事会、消防団、PTAなど)
・多種多様な学習活動を行う「学習ワーク」
大学・大学院、勉強会、読書会、市民大学、趣味・サークル、資格取得のスクール、カルチャーセンター、生涯学習プラザなど
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越境ワークでは、例えば、以下のような効果が考えられるのではないでしょか。
・刺激と挑戦
居心地の悪い環境に身を置くことで、新しい課題や困難に直面する機会が増えます。これにより、自分自身を成長させるための刺激が生まれ、新たなスキルや知識を獲得する効果があります。
・忍耐力とストレス耐性の向上
ストレスやプレッシャーが高まることがあります。しかし、そのような状況に耐えることで、自己管理や忍耐力を養う機会となります。これにより、将来の困難な状況にもより強く立ち向かうことができるようになるかもしれません。
・柔軟性と適応力の向上
居心地の悪い環境では、予期せぬ変化や制約に対応する必要が生じます。そのような状況では、柔軟性と適応力を発揮することが求められます。その結果、新たな解決策を見つけたり、状況に合わせて自分を調整したりする能力が向上するかもしれません。
(注意点)居心地の悪い環境が学習にとって常に良いとは限りません。過度なストレスや圧力は学習効果を低下させる可能性もあります。また、個人によっても受け入れられる環境の忍耐度は異なるため、自分にとっての最適なバランスを見つけることが重要と思います。