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【書籍】山中伸弥さんー自己反省と感謝の心が生んだ革新-「おかげさま」と「身から出たサビ」

 『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版社、2020年)のp40「1月13日:「おかげさま」と「身から出たサビ」(山中伸弥 京都大学iPS細胞研究所所長)」を取り上げたいと思います。
 山中伸弥さんといえば、iPS細胞(人工多能性幹細胞)の発見者として世界的に有名で、2012年のノーベル生理学・医学賞も受賞されています。そんな山中さんですが、「おかげさま」と「身から出たサビ」というエピソードについては、大変興味深さを感じます。

「身から出たサビ」、つまり自分のせいだと考え、反対にいいことが起こった時は「おかげさま」と思う。この二つを私自身のモットーにしてきました。上手くいくと自分が努力をしたからだとつい思ってしまうものですが、その割合って実は少ない。周りの人の支えや助けがあって初めて、物事は上手くいくんですね。

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版社、2020年)p40

 山中氏は、子供の頃から病弱でしたが、中学時代に柔道を始め、その経験が今の仕事に役立っていると語っています。柔道の単調な練習と試合の少なさは、精神力と忍耐力を養うのに役立ちました。彼は、自分の成功は個人の努力だけでなく、周囲の人々の支援によるものだと考えており、「おかげさま」と「身から出たサビ」という考え方を大切にしています。

 私も山中氏の話に共感します。人生の中で苦しい経験や挑戦は、後に大きな価値を持つことがよくあります。自分も若い頃の苦労が今の自分を形作っていると感じます。また、成功や幸運を自分だけの努力の結果だと思うことは簡単ですが、周囲の支援や環境の恩恵も大きいという山中氏の考えは、謙虚さと感謝の心を思い出させてくれます。

 一方、人事の視点から山中氏のエピソードを考察すると、いくつかの重要なポイントが浮き彫りになります。

1.長期的な人材育成の視点
 山中氏の柔道経験からは、長期的な取り組みと忍耐が大きな成果につながることがわかります。人材育成戦略に応用することができます。例えば、従業員のスキル開発やキャリアパスの設計は、短期的な成果よりも長期的な視点で行う必要があります。また、従業員が成長し続けるための継続的な学習機会やメンターシッププログラムの提供が重要となるでしょう。

2.自己責任と感謝の文化の促進
 「身から出たサビ」と「おかげさま」という考え方は、組織文化の形成において非常に有用です。このような価値観を組織文化の一部として取り入れ、コミュニケーションや行動規範に反映させることが可能です。例えば、従業員評価システムや報酬体系を通じて、個々の責任を果たすこととチームの成功への貢献を認識し、報いるように設計することができます。

3.挑戦を促す環境の構築
 挑戦と失敗から学ぶことの重要性も読み取れます。組織内で従業員が新しいアイデアを試し、失敗しても学び、成長することを奨励する文化の構築が必要です。これは、失敗を許容し、それを学びの機会として活かすような組織風土を作り出すことを意味します。

 山中氏のエピソードは、戦略的なアプローチと、組織および従業員の成長に対する深い洞察を提供しています。これらの要素を組織の人事戦略に取り入れることで、より効果的な結果を生み出すことが可能になるのではないかと感じたところです。


1日1話、読めば思わず目頭が熱くなる感動ストーリーが、365篇収録されています。仕事にはもちろんですが、人生にもいろいろな気づきを与えてくれます。素晴らしい書籍です。




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