#2 あたしが生まれた「縁」
まず、あたしがなぜ生まれたのかを知る事だ。
「はるかちゃんのおとんとおかんが、いつどこで出会ったか。からかなぁ。」
ニーチェちゃんは、ものすごく冷静に「あたりまえ」のことを言ってくる。
そういえばそういうことも何も聞かされてはなかったな。あたしには、両親の記憶は伝説でしかないのだ。
そして、あたしが知らされた事は、あたしがごく小さな時に、父と母が他界したのだという事だけだ。しかし、あたしは二人の本当の墓の場所すら知らない。
「でもなぁ、はるかちゃん。」
「え、なに?」
「自分を知るって事は、結構きつい作業やと思うな。」
「うん。」
ニーチェちゃんは、ひょっとしたら自分自身にも投影してるような感じがあった。これをなんかの本で読んだけど、「止観」というのだそうだ。何事も徹底的に「自己」を出来るだけ客観的に見つめるって言う事なのだという。
確かに、「本当の事を知る」には徹底的に「自分」を出来るだけ客観視することだ。
あらゆる「忖度」を徹底的に削って削って、自己を見つめ直す。
ふむ、これは難題だなぁ。
だけど、知ってどうするんだ。という気にもなってくるのは確かだ。
いや、そうではなく、父と母が和合する縁があって、あたしが存在したのだ。
だから、自分という存在を知るためには避けて通れない事なのだ。
・・・しかし、どうやって手がかりを探せばいいんだろう・・。
おい相棒、なんか知恵ないのか?