あたしは浦上はるか。大学3回生だ。
実はあたしには大きな課題がある。それは、あたしの両親の謎解きなのだ。
あたしは、恐ろしいほど自分の両親の事は聞かされていないのだ。特に、母の事より父の事は全く聞かされていない。というか、「わからない」という反応を周りはする。
亡くなったおじいちゃんは知ってたかもしれないが、それは無理な要求だ。
でも、知りたいよね・・、っていうか、あたしには「知る権利」があると思うのだ。
そして、あたしは「自分を知る」旅に出たんだ。
「おもろそうやな、あたしもつきあってもええか?」
お、この女出てきたか。しかし、参謀としては有能だから同行を許していいかとあたしは思っていた。あたしのプライバシーに関わるからなんか迷ったけど、こいつならいいか。なんだか不思議な仲間意識だな。ある意味他人と思えないのだ。
#1 作戦会議
この女は日江倫子、通称「ニーチェちゃん」だ。
きわめてめんどくさい性格だが、言ってる事は的を射て非常に面白いというか、信頼に値する。
「はるかちゃん、戦略はな、まず目標を決める事や。」
この女はまるでコンサルタントのように話を理路整然と進めていく。
彼女はさらさらとA4の紙に設計図を書いていく。
このあたりはさすがだと思う。
「どや、まず取り組む事が見えたやろ?」
さすがだ・・・。
「で、問題は、何を誰に聞くか・・・やで。」
そうか、そこから始まるわけだな・・。 そしてさらにこの女は憎たらしい事を言う。
「そのためにはな、まずははるかちゃん、あんた自身を知る事から始まるのや。」
こいつの「どや顔」、時々ぶっ飛ばしたくなる。
確かにその通りなのだ。
あたしは、あたし自身を知ってるようで知らないからだ。
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