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少女漂泊~Monologue by HARUKA τ
はるかの決心
そうか、うっちーセンパイに感じた
「違和感」の正体はこれだったんだ。
はぁ~罪作りなおかん.
でも、どうしてそんなことを言ったんだろう。
あたしは真相を聞きたくなった。
「センセー、うっちーのおかんは、
どうしてうっちーにそんなこと言ったの?」
あたしは思い切って聞いてみた。
「うん、それだけどな・・・。」
叔父が切り出したとき、
綾さんがそれを止めて言い始めた。
「先生、それはうちから、はるかちゃんにお話ししますわ。」
綾さんはもう50は過ぎているだろうけれど、
ホントにきれいで楚々とした感じの人だ。
だけど、時折ぞくっとするような「ある怖さ」を感じさせる。
・・・なんか、すべてを見通しているような
そんな感じだった。
「すべては、妹あゆみの狂言から始まったんだす」。
まったく妙なことを綾さんは言い始めた。
「あゆみは、耕作が小さい時分から、
東京に腹違いの妹がいる。
と言い聞かせてきはりましたんや。」
「え?・・どうしてですか?」
綾さんはそこで深くため息をついたあと、
ゆっくりと言った。
「学生の時分やった、実はあゆみ、
男に乱暴されたんだす。
そのあと、結構生活がすさんでな、
やがて、耕作の妊娠がわかって、
それで大学を退学したの。」
それから、過去にあたしのパパに話したという内容を教えてくれた
「実は、ほんまの話・・うちら、あんたに謝らなあかん。」
「え・・・?」
「うちの耕作はたぶん、あんたの子と違う・・思う。」
「え?・・・」
綾さんは「ここだけの話」と指を立て、話し始めた。
「実はあゆみ、立志大に通ってた時分、子ができて、それが理由で大学辞めたんやけど。ほんまの事言うと、知らん男にレイプされたんや。」
「・・・え?・・」
「せやから、あんたらに抱かれよう思うたんとちがうやろか。自分を納得させるため。」
意外な事実だった。しかし、それでなぜあの日あゆみがあのような行動に走ったか、なんとなく理解できたような気がした。
「レイプの話は、あゆみ自身から聞いたわけやないさかい、あの子には内緒やで。」
ふうん・・・なるほど・・。
うっちーのおかんは、心のバランスをとるため、
うっちーが「あたしのお兄ちゃん」であることを
「作っていた」んだ。
いわば、うっちーセンパイも「作られた存在」だったんだ。
あたしは心に、あることを決意した。
「作られた浦上はるか」、
「作られた内海耕作」
をぶっこわす。
それはどうしたらいいか・・・。
だけど、その前に・・・
翻弄されている自分たちが、ものすごく腹立たしく、
そして、何か惨めで、
大人の都合で「モノ扱い」されているような気がして、
この人たちに対して、理由にならない反抗心が擡げてきたんだ。
「おばさん、ちょっと待って・・。」
あたしは思わず口を挟んでしまった。
「それはぜんぜん関係ない!」
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綾さんも、お姉ちゃんもセンセーも、黙っている・・。
・・・あたりまえだと思った・・。
「たとえお兄ちゃんだったとしても、そうでないとしても、
ぜんぜん関係ない!
あたしのセンパイに対する気持ち、
そして、センパイがあたしをどう思っているか・・。
そのあとどうするかなんて、よけいなお世話です!。
放っておいてほしい。」
あたしはそう言い放った。
で、あたしは、センパイに対して、
あることをしようと心に決めた。