ハロウィンもあほんだら@ハロウィン
仕事が終わり、アパートへの帰路を急ぐ。
今日はこれから、よく飲みに行くバーで開催されるというハロウィンパーティに、同棲している巨乳(Fカップ!)の彼女と二人で参加する事になっていた。
アパートに着きドアに鍵を差すと鍵はかかっていなかった。そのままドアを開けたが部屋の照明は消えている。なんだよ、アイツまた鍵開けっ放しで出掛けたのかな。
玄関の明かりを点け、リビングに入ると、足元に何かが転がっていた。よく見ると、彼女が仰向けになって倒れていた!
胸には包丁が突き刺さり、顔は青ざめ口から血が流れている!!
「う、うわあああ!」
俺は腰を抜かし、その場に転倒した。
け、警察! ポケットからスマホを出そうとするが、て、手が震えて上手く出せない。
すると彼女がムクっと起き上がった。
「う、うわあああ!」
「どう? 驚いた? 今年は死体のコスプレで行こうと思って……」
「あほか! リアルすぎるわ!」
まだちょっとドキドキしている心臓を落ち着かせ、俺も衣装に着替える事にした。
こないだ通販で注文し、昨日届いたミスターインクレディブルだ。
通りでタクシーを拾い、そのまま渋谷に向かった。タクシーを降りると渋谷はもの凄い人込みだった。すれ違う人たちとハイファイブを交わしながらバーを目指す。すると、少し離れた所に立っているミニスカポリスと目が合った。
あれ、もしかしてこないだ彼女に内緒で行った合コンで知り合ってお持ち帰りした娘じゃあ……。
ヤバい、こっちに歩いてくる。ヤバい、名前なんだっけ。
「お久しぶり~! 来てたんだ?」
ちょーい、俺に話しかけるんじゃないよ! 彼女にバレたら殺されるだろ!!
「誰の事ですか? 僕はミスターインクレディブル。正義の味方です」
「そういうのいいから、前LINE交換するの忘れちゃってたじゃん。交換しようよ」
「いや、ですから、僕はミスター……」
肩をトントン叩かれ振り向くと、胸に包丁の刺さった刺殺体が顔を真っ赤にしていた。
―場所は変わって北の某国
「総書記!」
「なんだよ、あ、鼻ほじってたら血が出ちゃったじゃんか。びっくりさせんなよ」
「今日東京の渋谷って街で、ハロウィンパーティが開催されてて、街に仮装した若者が溢れ返ってるらしいですよ」
「え、マジ? それなかなかウザいね。パリピウザいね。じゃあさじゃあさ、テポドン打っちゃおうか。スイッチ持ってきて」
「はい、どうぞ」
「じゃ、スクランブル交差点に照準を合わせて、と、ぽちっとな」
―そして渋谷
「あ、あそこ! 流れ星?」「人工衛星?」「いや、ミサイルが飛んでくる!!」わーわーきゃーきゃー
上空からミサイルが飛んできて、スクランブル交差点はパニックに陥っていた。
「まて、俺は正義の味方。今から俺があのミサイルを止めてくるぜ」
俺はそう言うと天へ向かってジャンプした。
が、三十センチほどしか飛べなかった。
了