「犬鳴村」は関係ない。
現在公開中の映画、犬鳴村は、北九州に実在する犬鳴トンネルが舞台になっているそうですね。私も先日映画館で鑑賞し、震えあがる程ではないものの、なかなか面白いストーリー展開に満足のいく作品でございました。主演の女優さん綺麗でしたし。可能なら告白などされてみたいものでございます。
さて、その映画のロケに選ばれたのが、東京は青梅市にある吹上トンネルというところだそうです。
私も高校生の頃はよく、心霊スポットツアーなどと銘打ち、友人たちとあちこち巡ったものですが、この吹上トンネルは近所という事もあり、何度か訪れた事がございました。それと、そこからもう少し飯能方面に行ったところに、畑トンネルという場所がございます。
ここはですね、全く街灯の類の無いトンネルだったのですが、(今はどうか知りません)このトンネルのなかでヘッドライトを消してエンジンを切り、クラクションを三度鳴らして再びライトを点けると幽霊の姿が浮かびあがる、という噂があるのでした。
友人の友人が見た、であるとか、今思えば友人の友人て言うたらなんでもありやな、って思うところではありますけれども、そういった話は高校生の私たちを震え上がらせるには十分で、そこへ行ってはクラクション鳴らしたりヘッドライトを点けたり消したりしたものでした。
これは私の友達、立花くん(仮名)が実際に体験したお話。
立花くんは飯能の某所にある全寮制の高校に就学しておりました。
ある日、街で友達と遊んでいるうちに終電を逃し、帰る術を無くした立花くんはヒッチハイクをすることにしたそうです。
サムズアップで待つこと数十分。一台の車が停まってくれました。運転席と助手席ともに若い男性。事情を話し駅まで乗せて行ってもらうことになりました。ラッキー。心の中で踊りました。
しばらくすると、何故か車は山道へ。そして件の畑トンネルのど真ん中で停車したのでした。
ま、まさかここでクラクション鳴らす気? 勘弁してよ、と思った立花くん。ですが、その想像は全くの間違いでした。
助手席から降りてきた男性が後部座席のドアを開けると、おもむろに襟首をつかまれそのまま引きずり降ろされたそうです。
「誰が送ってやるかばーか」
車のドアは閉まり、そのまま走り出しました。
一人残された立花くんは、寮へと歩いて帰ったそうです。
泣きながら見上げた空、満天のStar。
了
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