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3.お金の正体とは?



お金は数字


さて、ここまで読んでくださった方ならば、薄々気づき始めているかもしれませんね。
「お金」の正体について。
もう少し言い方を変えるならば、お金がモノである必要は無いのではないかと。

そうなんです。
私達が今まで固定概念として捉えていた「お金」とは、決して形として目に見える必要は無いということなのです。

「万年筆マネー」とも言われた、17世紀の中世ヨーロッパ・ロンドンでの、ゴールド・スミスが行ったこと、そして現代の銀行が行なっている「キーボード・マネー」など、まさに目に見えない「お金」を発行する行為は、如実にそれを物語っています。

極端な言い方をすると、お金は数字です。
何の数字かというと、貸し借りの記録です。
つまり、誰が、誰に、いくら貸したのか、という借用書をデータ化したようなものです。
別の言い方をするならば、お金は数字であり、データでもあるのです。

お金は貸して作られる


では、何を根拠に、そんな簡単にお金を「書く」、つまりお金を貸すことができるのでしょうか。
不思議ではありませんか。
お金が無いのに、お金を貸すのです。
一言で言うならば、「信用」です。
信用とは、貸したお金を返してもらえる、というものです。

皆さんも考えてみて欲しいのですが、大事なお友達から「お金を貸して欲しい」と言われたら、まず何を想像しますか?
きっと「いつ返してくれるのかな?」と思う人が大半かと思います。
実際に、口に出してそのお友達に聞く人もいるでしょう。
実際にお金を貸すかどうかは別にしても、この人はお金をきちんと返してくれる人かどうかと言うジャッジを心の中でするはずです。

それと同じようなことを銀行も行うのです。
そして「この相手はお金を返してくれると言う根拠がある。よってお金を貸しても大丈夫だ」と言う判断を銀行がするからこそ、お金を貸す、つまり相手の銀行口座にお金という数字を入力することができるのです。
この銀行の一連の行為を「与信行為」と言います。

そして、信用によりお金を生み出すことを「信用創造」、英語でマネークリエーションと呼ばれています。
この信用創造ですが、文字通り信用を創造します。
つまり、信用とはお金のことであり、お金を生み出す、しかも「ゼロから生み出す」から「創造」なのです。

銀行の地下深くに札束が床から天井まで積まれていて、そこからお金を取り出して貸すのではありません。
銀行は、貸せるだけの現金を持ち合わせておらずとも、信用という根拠をもとに、お金を生み出す=お金というデータを、貸す人の銀行口座に書き込みます。

住宅ローンを払っている人ならばお分かりかと思います。
銀行に出向き、実際に住宅ローンの審査が通ったとしても、銀行から貸してもらえるお金、例えば3,000万円のローンを組んでその分を借りたからといって、実際に3,000万円という現金を目の前に差し出された、ということはないはずです。

つまり、現金はそこには無いのです。
というと語弊があるかもしれません。
あなたに貸すための3,000万円という現金が用意されているわけでは無い、ということなのです。

お金は返したらこの世から消えてなくなる?!


もうすでに何度も言っていることではありますが、もう一度お伝えします。
それは「お金は借りて作られる」
ということです。

逆を言うならば、借りる人がいなければお金は作られない、と言うことです。
借りる人がいなければ、お金を作る必要もありません。

すでにあなたが家を買うだけのお金、いくらでも良いのですが、例えば3000万円をもうすでに手元に抱えて持っていて、それを使って家を買うということを決めているのであれば、そもそも借りる必要もありません。
と言うことは、3000万円というお金は、この世に新たに生まれることはないと言うことになります。
では、もし仮に3000万円を借りたということにしましょう。
(この際、頭金などは考えないことにします、ややこしくなるので)

銀行は、借り手であるあなたに対し貸すお金に金利を乗せてお金を貸しますが、やはり話がややこしくなりますので、ここでは金利のことは少し横に置いておくことにします。

さて、当然ではありますが、お金は借りたら返さなければなりません。
返済方法は何通りかありますが、ここでは35年ローンを組んだとします。
毎月あなたは、コツコツコツコツと決められた返済額、そうですね、分かりやすくするために毎月10万円を返していくとしましょう。
その毎月返済する10万円というお金は、どのように返しますか?

この場合、10万円という現金、例えば1万円札10枚をわざわざ銀行の窓口に出向いて手渡すと言う人は、ほぼいないのではないでしょうか。
おそらく大部分の人が、銀行口座から自動引き落としで返済しているはずです。

その返済額の10万円ですが、現金を見ることはないと思います。
翌月も、その翌月も、返済するべき10万円という現金そのものを見ることはなく、あなたは銀行口座からその10万円を返済し続けるでしょう。
借りる時は現金を見ることもなく借りて、そして返済期間の35年間も現金を見ることも、手にすることもなく返しているのです。

そして、あなたが返したとするそのお金は、銀行の地下の倉庫に積み上げられて、あなたが返したと言う証拠にする、と言うことは全くありません。
では、どうしているのでしょうか。

返した分のお金が消されていくのです。
10万円というお金が自動引き落としされたその瞬間に、まるで蒸発するかのように、ジュッと、消えてなくなるのです。
その10万円は残りません。

借りた時は、ゼロから信用創造、つまりマネークリエーションで3000万円がこの世に生まれました。
そしてめでたく完済されたら、あなたが借金した総額3000万円が、この世から消えてなくなります。
信じられないかもしれませんが、本当に消えてなくなります。
これが「相殺」です。

では、残ったものは何か。
貸出される際に設定された金利分です。
その分が銀行の利益分となります。

結論は、お金は借りて作られて、返して消える、ということです。

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