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3.経済活動のバロメータ GDP(国内総生産)
GDPとは?
GDPといえば国内総生産。
経済の状況は良いか悪いかを測る数値として、一番ポピュラーと言ってもよい指標です。
では、このGDPとは一体なんでしょうか。
今更ボクがここで説明せずとも、ネットで調べれば出てきます。
が、ここではなるべく分かりやすく、簡単な言葉で説明したいと思います。
GDP の正式名称を英語で表すと、Gross Domestic Productと言います。これを略して「GDP」と呼んでいます。
国民の所得の合計値とも言われています。
過去40年ぐらいの日本経済をGDPで見てみると、1980年では250兆円ぐらいだったのが、その後ずっと右肩上がりで1990年では500兆円ぐらいになっています。
その後は伸びが鈍くなったものの、少しずつまだじわじわと伸びていました。
しかし、1990年代後半から伸びが止まり、というよりもむしろ下がってきています。
これをインフレとデフレの関係で語ると、1990年後半まではインフレ、その後はデフレ、ということになります。
日本の現在位置は?
現時点では、22年の日本のGDPは546兆円にとどまり、550兆円を超えていたコロナ前の水準に届きませんでした。
これは、世界では、1位米国、2位中国に続き第3位。
第3位か、まあまあだな、と思っているそこのあなた。
かつては、日本は世界2位の経済大国だったことをご存知ですか?
それが1990年代初頭です。
つまり、2位から3位に転落しているのです。
しかも、また悪いことに、2023年では、ドイツに抜かれ、3位から4位に転落する見通しが明らかになりました。
日本の経済は悪化の一途を辿っているという現実を認識すべきです。
この章の「1.流れが縮んだり膨らんだりする世界 インフレとデフレ」の項目でもご説明しましたが、インフレは膨張、デフレは収縮です。
つまり、経済が膨張していた時はGDPは伸び、収縮してくるとGDPも伸びなくなる、むしろ下がるのです。
前述しましたが、GDPは国民の所得の合計値です。
つまり経済は膨張することで我々の稼ぎは伸び、収縮すると稼ぎが減るのです。
GDPが伸び悩む原因は
ではなぜ途中から(1990年代後半)GDPが伸びなくなったのでしょうか。
一体何が起こったのでしょうか。
それは消費税増税です。
ちなみに消費税は、1989年に3%で初めて導入され、1997年に5%に増税されました。
さらに2014年には8%、そして現在の10%に増税されてしまったのは2019年の第二次安倍政権時です。デフレ下の同政権時において、2回も増税をされてしまったのです。経済が落ち込むのは当然のことです。
一体何をやっているのでしょうね、政府は。
そして、その翌年の2020年はダメ押しの新型コロナウィルスのパンデミック。
結果GDPは下がり、未だコロナ前の水準を取り返せていない状況です。
目も当てられないとはこのことです。
GDPが下がるということは所得が下がったということです。
しかし、事はそれだけに止まりません。
所得が下がるということは、どうなるでしょうか。
それは使えるお金も減るということです。
つまり消費です。
消費が伸びないのにものを作っても売れません。
ということで、生産も伸ばそうにも伸ばせません。
GDPと物価の関係
さらにGDPが下がると、もう1つ下がるものが出てきます。
それは物価です。
景気が悪く、ものが売れないので仕方なく物価を下げます。
でも物価を下げたとしても数は売れたとしても肝心の利益が少ないので、手にできる所得が減ります。
所得が減るということは、使えるお金も減ります。
消費者の財布の紐は固く、そのままの値段でも売れないからまた物価も下がる、そして利益が減り、所得も減る、という悪循環に陥っていたのが、ここまでの日本です。
GDPはその間もちろん下がります。
マクロ経済においては、所得を分配、消費を支出、生産を付加価値と言います。
この分配、支出、付加価値が、GDPでは、マクロ経済では計算上全て=(イコール)となります。
これを「三面等価の原則」と呼びます。
つまり、生産された範囲の中で消費され、それは我々の所得から支出される、という事です。
GDPは所得の合計値であり、生産の合計値であり、支出の合計値なのです。