![038_エストニア](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/18127021/rectangle_large_type_2_93f53d0cfbed9b5a9f834300ca44dc59.jpeg?width=1200)
エストニアのAI企業MindTitanとは?
2020年になりました!(^^♪ 今年の4月から、いよいよ日本の小学校でプログラミング教育が必修化されますね。
1月9日に文科省より発表されたレポートによると、9割以上の学校では既に教員に対する研修や模擬授業が実施(予定)されており、着々と準備が整っているようです。ただし地域によってバラつきがあり、中には半分以上の学校が『最低限の準備』すら出来ていない都道府県もあるのだとか。ダンスや英語を導入した際にも混乱は見られましたが、さてどうなるでしょうか…(´・ω・)
ところで日本は2020年から初等教育でのプログラミング教育を開始しましたが、世界で一番早く始めたのがどの国か、皆さんご存じですか?
話題になったので覚えている方も多いと思いますが、答えはエストニアです。「電子国家」などIT関連では先んじている同国ですが、プログラミング教育は2012年より公立学校での導入が開始されました。このようにインフラ面や行政サービス面で注目を集めるエストニア、一方で同国輩出の企業はそれほど知られていません(Skypeは有名ですが)…
そんな中、現在注目のエストニア発AI・機械学習企業を一つ見つけました!今回はそちらをざっくりと紹介したいと思います!('ω')
様々な業界に機械学習を適用しているMindTitanを知ることで、自分がかかわっている業界にどう機械学習を応用するかということが見えてくるかもしれません。
エストニアのAI企業MindTitan
ご紹介するのはMindTitanという、エストニアの首都タリンにオフィスを構えるAIベンチャー。Jansons氏(CEO)、Lippus氏、Roosalu氏によって2016年に起業された会社で、この3名はいずれも機械学習やデータサイエンスのバックグラウンドを持ったエンジニアです。事業内容はAIや機械学習を駆使したビジネスソリューションを提供するというもので、以前ご紹介した顔認証プラットフォーム『Face++』のMegvii(メグビー)と同じような感じですね(*‘∀‘)
ただし、MindTitanの強みは顔認証という訳ではありません。メグビーは金融やセキュリティといった方面で成長してきましたが、こちらはどんなソリューションを提供しているのでしょうか。
MindTitanの事業内容
同社のHPでは次のようなセグメントで紹介されています。
①自己学習(Self-Learning)システム
②レコメンドエンジン
③時系列予測
④プロセス最適化
⑤チャットbot
⑥テキスト分析
⑦画像認識
⑧異常検知
⑨不正検出
それぞれ細かく知りたい!という方は実際にHP(英語)を見ていただくとして、本稿ではいくつか抜粋してご紹介したいと思います(*'ω'*)
①自己学習システム
通常は自動運転などで使われるシステムですが、MindTitanではちょっと違った領域で活用可能なのだそう。
例えば、Webサイトなどに埋め込まれているCS的役割を担ったチャットbot。最近はAIのbotも増えてはいますが、未だにユーザーから届いたコメントをサイト管理者が手入力で返す…というサービスが沢山あります(サービスによっては『メールで返信するから、メアド教えて!』なんてものまで…(;´・ω・))。こちらを何と完全自動でやっちゃうのが、MindTitanの提供するチャットbotなのだそうです。
その他、このセグメントではダイナミック・プライシング(状況に応じて価格を変動させること)、コンテンツキュレーションなどが、この自己学習システムとそのアルゴリズムによって提供出来るようです。
②レコメンドエンジン
以前「みゃふのPythonプログラミング」でもNetflixやSpotifyの『おすすめ機能のアルゴリズム』を紹介しましたが、MindTitanでは主に航空、小売、通信産業といった領域が対象であるようです。
ストリーミングサービスの後で航空と聞くとレコメンドとの関連性が『?』となるかも知れませんが、ここでは行動履歴やメタデータ、購入履歴等から優れたパーソナライズを顧客に提供し、顧客維持やライフタイムバリューの改善に繋げるという使い方がされています。
③時系列予測
こちらもサービス一覧を見た際にピンと来なかった方がいるかも知れませんが、要するにデータを基にハイ/ローシーズン含めた売上予測やインテリジェントな在庫管理、更には気象予報といった『予測』に関するニーズへの対応が出来るよーということです。
④プロセス最適化
ワークフローの中で生産効率の悪いパターンを検出したり、意思決定のサポートをしたり、生産ラインのアウトプットを効率化したりといったことを機械学習で実現。
⑤チャットbot
前出のAI botです。
代表的な事例が、エストニアの大手通信企業Elisa Estoniaと行ったプロジェクトでした。『CSの一部を自動化する』という同社の目的を達成するため、まずMindTitanは完全に自動化されたハイレベルなチャットbotを開発。これによりエンドクライアントから寄せられる大量の問い合わせに対応出来るようにします。しかしこれだけでは終わらず、加えてネットワークイベントといったCSの外からもデータを取得、エンドクライアントの動向を分析したのでした。
Elisaの担当者 Ploomann氏は、次のように述べMindTitanを絶賛しています。
“MindTitanについて最も評価しているのは、Elisaのデータをフル活用して弊社に最大限のビジネスバリューを提供すること、そこに対する彼らの情熱です”
⑥テキスト分析
メールや顧客のフィードバック、レビューサイト、SNS、ドキュメント等からクライアントの評判やポジネガ分析、人々がブランドについてどう思っているのかといった動向の把握、更にはトレンドの予測まで幅広い活用をテキスト情報から実現します。明記はされていませんが、先ほどのElisaのプロジェクトでも使われていたソリューションかも知れません。
⑦画像認識
Face++では人の顔身体の認識が紹介されていましたが、MindTitanはより踏み込んでプロダクトやブランドロゴ認識にまで拡大させています。
具体的にはSNSや動画上での左記の追跡、生産ラインでの欠格品の検出、意外なところでは医療の現場での診断にまで使われるのだとか?めちゃくちゃ範囲が広い( ゚Д゚)
MindTitanの強み
まとめると、MindTitanの強みはそのカバー範囲の広さと言えます。フィンテックに、テキストマイニングに、セキュリティに、画像認識にそれぞれ強いAI企業はありますが、MindTitanのように各領域を組み合わせ各クライアントに特化したソリューションを提供できるのは同社の優れた点です。なお、MindTitanはエストニア政府に対し、AI開発や将来性といった戦略的な面での提言も行っています。
MindTitan創業者が考える機械学習
IT立国の戦略にも寄与している同社、創業面メンバーのLippus氏にインタビューした記事が公開されています。そこからMindTitanの考え方についてちょっと見てみましょう(∩´∀`)∩
競合優位性となるAI・機械学習は?
『競合に対して機械学習で優位に立つとしたら、どんな活用方法があるか?』という質問に対して、Lippus氏は次の3つを挙げました。いずれも全業種に関係する身近な分野です。
1、リードスコアリング
例えば、通常テレマーケティングはただ電話をかけ続けるだけでブランドイメージや顧客のロイヤリティを下げてしまうだけで、成功率は低い。しかし機械学習を使うことで成約率を2.5倍にまで高めた事例がある。
2、パーソナライズ
Amazonのようなネット通販で活用されているのは周知の通りですが(『おすすめ』機能など)、e-commerceだけでなくメールやサイト内広告、ひいてはwebサイトそのものをパーソナライズすることが出来、各ユーザーへ最適なコンテンツを表示させることが可能となる。
3、文書分類
顧客からのコンタクトから社内のナレッジベースまで、テキストを活用することは業務の劇的な生産性向上に繋がる。
※『文書分類』は少々難しい概念ですが、ここではMindTitanのサービスで言うところの『チャットbot』や『テキスト分析』などのテキスト情報を活用した分野を指していると思われます。
一部のMAツールをはじめ、既に具体的なプロダクトとして一般企業に浸透しているものもありますね。
MindTitanが今後注力したい分野は?
MindTitanは従来より通信と金融機関を最重視しており、この業種におけるノウハウも蓄積している、とLippus氏は話します。
しかしそこで終わる訳ではなく、上で紹介したCSやパーソナライズといったソリューションをあらゆる業種で提供するつもりということ。つまり今後注力したいのは極端に言えば『全分野』ということですね…(・。・)
2020年代を引っ張るAI企業になるか?
『アリペイ』での導入など、中国のユニコーン企業メグビーも私たちの生活の中に浸透したAIテクノロジーを開発していますが、MindTitanはtoBやtoCを問わずありとあらゆる分野で通用するソリューションを提供していることが分かりますね。
2020年は、それまで進化してきたAIや機械学習を『ビジネスや生活など、身近なところでどこまで活用できるのか?』が鍵になると言われています。その意味でMindTitanは非常に先んじている企業と言えるのかも知れません。次の10年でMindTitanがどんなソリューションを見せてくれるのか、IT立国エストニアはどんな姿になるのか、そしてこれからプログラミング教育が本格的になる日本はどうなるのか、そんな楽しみを持ちながら皆さんも勉強してみてはいかがでしょうか?
参照サイト
https://www.mindtitan.com/
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2001/10/news098.html
https://cognitive.cioapplicationseurope.com/vendor/mindtitan-delivering-aidriven-cognitive-solutions-across-industries-cid-527-mid-86.html
https://clutch.co/profile/mindtitan
https://e-estonia.com/mindtitan-machine-learning/