『3.0 / 5』 第11話
どうも、プチ断食に成功し、2ヶ月で4キロ痩せて自分でもびっくりしている上神です。プチ断食、結構おすすめです。
では、『3.0 / 5』 第11話をアップします。
▼前回(第10話)までのあらすじ
就職活動中の大学生・黒羽透は、同級生の美咲奈々が気になる存在。しかし、思うように自分の気持ちも伝えられず、就職活動も上手く行っていない状況。
透と奈々の距離もだんだんと近付いてきたある日、透の親友の泉海斗がなぜか元気が無く、透と一緒に飲みに行くが……
▼第1話はコチラから読めます
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**『3.0 / 5』 第11話
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※第10話の内容も多少含まれます
◯居酒屋・店内(夜)
席に座っている、透と海斗。
店員、透と海斗に近付く。
店員「ご注文はどうされますか?」
透「じゃあ、ビールで」
海斗「僕もビールで」
店員「ご注文は以上でしょうか」
透「はい」
店員、厨房の方に向かう。
海斗「でも何だよ、お前から飲みに誘うとか、何か気味悪いな」
透「実は嬉しいことあってさ……」
海斗「(からかうように)もしかして美咲さんと付き合ったとか」
透「惜しい!美咲さんの家に行った!」
海斗「はぁ?何で?」
店員、二人に近付き、ビールを渡す。
店員「はい、ビールです」
透「とりあえず乾杯しようか」
海斗「(動揺しつつ)お、おう……」
ビールを乾杯する、透と海斗。
****************
海斗「で?最後までやったの?」
透「いや、何もしてないけど」
海斗「はぁ?何だそれ」
透「強いていえば、手料理食べたぐらい」
海斗「いや、どういう状況だよ。家に誘ったのはお前から?」
透「向こうから」
海斗「何かそれも意外だな。でもさ、それで何もしてないって逆に失礼だわ、お前」
透「え?そうなの?」
海斗「そうだよ、普通家に誘ったんなら、あっちもそういうの前提だから」
透「え、もしかして俺がやらかしたの?」
海斗「うん、やらかしたね、完全にお前だね」
透「(残念そうに)そっかぁ……。でも、やっぱりこういうの海斗に聞くのが一番だな」
海斗「(クスッと笑いながら)何だそれ」
透「で、お前の方は何かあったの?」
海斗「え、何で?」
透「いや、何となく……」
海斗「ん〜、別にないけど、実はさ……」
店員のいらっしゃいませ、の声が聞こえる。
女性のお客さんが2人、お店に入る。
透、そのお客さんを見ると、奈々と香だと分かる。
透「美咲さん?」
海斗「(後ろを振り返り)え?」
奈々「あれ?黒羽くんたちじゃない?」
香「ホントだ!あっち座ろうよ!」
奈々と香、透と海斗に近付き、
奈々「お疲れ〜」
透・海斗「お疲れ」
奈々「私たちも一緒にいい?」
透「う、うん……」
香「まぁダメって言っても座るけどね」
透「……」
****************
奈々、透の隣に座る。
香、海斗の隣に座る。
奈々「じゃあ、乾杯する?」
透「そうだね」
それぞれのグラスを持つ4人。
透・海斗・奈々・香「乾杯!」
一気にカシスオレンジを飲み干す、奈々。
奈々「いや〜、久しぶりにお酒飲んだよ」
透「そっか、久しぶりなんだ」
香「で、二人何話してたの?もしかして私たちの悪口?」
透「いやいや、まさか」
海斗「その逆だよな、透」
奈々「(不思議そうに)逆……?」
透「バ、バカ、お前……」
海斗、フッっと笑う。
香「え、どうゆうこと?」
透「(焦ったように)ま、まぁいいじゃん。で、二人は1軒目?」
奈々「そう、私の大学復帰祝いで香が奢ってくれるの」
香「え?まぁいいけど……」
海斗「じゃあ俺たちも……」
香「(真顔で)あんたたちはダメ」
海斗「はい……」
香「てか海斗は居酒屋でバイトしてるでしょ、自分で払えるじゃん」
海斗「まぁ、そうだけど」
奈々「(意地悪っぽく)へぇ〜、泉くんのこと詳しいんだね、香」
香「いや、詳しいも何もね……」
香と海斗、目が合いすぐに逸らす。
香「で、そっちの二人はどうなの?」
奈々「どうなのって……」
海斗「何か色々あったみたいだね」
奈々「色々って……。ちょっと何話したのよ、黒羽くん」
透「(焦ったように)え、いや、海斗が勝手に言ってるだけで……」
香「いいね、仲良さそうで」
奈々「そ、そうかな……」
透、手元にあるビールを飲む。
香「そういえば、海斗、就職はどうするの?」
海斗「やらねぇよ、ユーチューバーで独立するから」
香「(声を上げて)はぁ?それ本気で言っているの?」
透・奈々「(気まずそうに)……」
海斗「(キョトンとした表情で)うん」
香「ちゃんと収入はあるの?」
海斗「いや、全然ないから、売上が上がるまでバイト」
香「……それ、おばさんは知っているの?」
海斗「知ってるけど、反対してる。ちゃんと就職しろって」
香「(引きつった表情で)まぁ、だろうね……」
奈々「すごいよね、泉くんは。私には無理だな」
透「うん……」
香「いや、すごいけどさぁ……」
香の電話が鳴る。
携帯には「沖原大地」と表示されている。
香「あ、ごめん、電話出てくる」
香、急ぎ足でその場から離れる。
香の後ろ姿を不思議そうに見る、海斗。
****************
香、3人の元に戻ってくる。
奈々「(心配そうに)電話、大丈夫?」
香「うん……。あの、ちょっとお願いがあるんだけど……」
奈々「何?」
香「彼氏がここに来たいって言ってるんだけど、いい?」
透・海斗「え?」
海斗、透と思わず目を合わす。
香「やっぱりダメかな?」
透「いや、別にダメじゃないけど……」
海斗の方をチラッと見る透。
海斗、一瞬、苦い顔を見せて、
海斗「(笑顔で)俺は大丈夫」
奈々「私も大丈夫よ。いつ来るの?」
香「近くにいるみたいだから、多分、あと5分くらいかな」
透「そう……」
海斗の空いたグラスを見る透。
透「海斗、何か飲む?」
海斗「そうだな、ビールでも飲もうか。透、注文頼んでいい?トイレ行くから」
透「オッケー。大ジョッキ頼んでおくわ」
海斗「(軽く笑って)バカ、普通でいいよ(と言ってトイレに向かう)」
一変して無表情になる、海斗。
海斗の後ろ姿を真顔で見つめる、透。
<11話、終了>
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6月いっぱいで最終回と公表したのですが、どうやら”終わる終わる詐欺”になりそうです。なので、もう少し続けます。多分。
来週(7/1)は12話をアップします。(予定)