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映画「ザ・ウォーク 少女アマル、8000キロの旅」(The Walk, 2023, 英, 監督 Tamara Kotevska)


今年も難民映画祭が開かれた。今回オンラインで視聴した最初の映画は、あやつり人形の話である。

あやつり人形とはいえ、この人形は巨大。3.5メートルもある。中に人がひとり入り、両脇からふたりの人が動きを助かる。なぜそんな人形が作られたのか。人形は難民・庇護希望者の「希望」を表しているという。そのためこの人形の名前は「希望」を示す「アマル」なのだ。

アマルは、各国を旅して歩く。トルコ、ギリシア、フランス、イギリスなど、どこの国にも難民・庇護希望者がいて、集まってくる。シリアから、アフガニスタンから、イラクから保護を求めて渡ってきた人々。そしてアマルに自らの「希望」を託すのである。

巨大でどこからでも見えるので、アマルがやってくることで、難民・庇護希望者が存在するというアピールができ、とてもよい。しかしその一方、難民・庇護希望者に反対する人々も集まってくる。ショックだったのは、ギリシアでキリスト教のシンボルなどを持って、何度も「恥を知れ!」と叫ぶ人々だった。難民・庇護希望者がどんな「恥」を知ればよいのか。自分たちには「恥」はないのか。

アマルの生き写しと見られる10歳の少女は、トルコで自らの伯父を探している。あの少女はうまくトルコで暮らしていけるのだろうか。アマルが象徴する希望は、ヨーロッパ各地に滞在している難民・庇護希望者のもとで、花開くのだろうか。

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