映画を観た記録87 2023年8月26日   アンドリュー・レヴィタス『MINAMATA-水俣』

Amazon Prime Videoでアンドリュー・レヴィタス『MINAMATA-水俣』を観る。
本作品は、ジョニー・デップが製作、主演のユージン・スミスを演じた衝撃的作品である。
ユージン・スミスが撮った、母・智子さんとチッソの有機水銀中毒に犯された娘・アキ子さんの風呂に浸かっている世界的に有名な、教科書にでも掲載されている写真は、スミス氏が、住民たちのチッソへの抗議活動に同行したとき、チッソに雇われただろうチンピラに殴られてその後の満身創痍、包帯ぐるぐる巻きの状態で、後の妻となるアイリーンの愛情あふれる補佐により撮影された写真だったのだ。この映画を観て、私は初めて知った。
そのユージンもこの写真を撮影するまでは、暗室を燃やされたり、住民たちが撮影を許してくれないことで「水俣」から逃げたくなる。だが、アイリーンの見事な補佐でスミスは住民たちに距離が近づいていく。スミス氏は、アイリーンが、アキ子の世話をしてください、と言われ、断るものの、行うことになる。それがこの写真の伏線ともいえる。
素晴らしい写真やドキュメンタリー映画は、被写体との信頼がないとできないことをこの作品は教えてくれる。
そして、本作品は、被害者住民の側に常に立つ。中立だとか客観というような嘘には立たない。常に、あちら側かこちら側なのだ。中立はない。
闘う住民を組織するリーダー役に真田浩之。チッソの社長役に國村準。アイリーン役にファッションモデルの美波。アキ子さんのお父さんは浅野忠信。音楽は坂本龍一。
本作品を観て、私は途中から涙が出てきた。
それにしても、ジョニー・デップはすごいことをしたものだ。


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