映画を観た記録 2025年1月12日 オダギリ・ジョー『ある船頭の話』
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圧倒的な映像美で語られる柄本明演じるある船頭の話、である。
本作の撮影監督が撮影をすればどんな監督も傑作ができてしまうのではないかといえるほどの映像の美しさである。
あらすじは、柳田国男が目を向けそうな村の不思議な話である。
柄本明演ずる船頭は、川に流れてきた「物」を拾い上げたら、それが人間の女性であった。息がまだかすかにするので一命をとりとめた。助けた少女を演じるのは、今回、初めて映画出演する川島鈴遥が演ずる。圧倒的にこの少女を演じた女優の演技力は柄本明はおろか、他俳優陣をしのぐといってもよい。少女は、なぜかチャイナ・ドレスを着ている。少女が何者であるかを暗示しているのかもしれない。
マタギを演ずるのは永瀬正敏、その父を演ずるのは細野晴臣。父は、動物を殺して生きてきたので、死んだあとは、森に死体を放ってほしいと息子に伝えていた。降りしきる激しい豪雨の中、父は死、雨の中、船頭は川を渡り、父の死体を包んだ藁は森に運ばれ、森の中、開けると、父のすこやかな顔が現れる。
船頭は若き源蔵と一緒に食事を食べるような仲が、橋ができたとたん、急に羽振りがよくなり、少女を手籠めにしようとして殺される。船頭は、俺はお前を守ってやる、と家を出て、家に火を放ち、船で川を渡りだす。火に燃える家の姿が印象に残る。
すべてが圧倒的な映像美であり、連続する。
現代の日本映画の最高レベルではないか。
撮影監督は、ウォン・カーウェイの映画を主に担当していたクリストファー・ドイルである。
あまりにも美しすぎる作品である。