映画を観た記録27 2025年2月9日    ジャスティン・カーゼル『オーダー』

Amazon Prime Videoでジャスティン・カーゼル『オーダー』を観る。

本作は、2021年アメリカ議会議事堂襲撃事件のテキストである『ターナー日記』の作者であり、白人至上主義者であり政府転覆至上主義者であるボブ・マシューズ率いる白人至上主義者暴力グループと、FBIとの1980年代に行われた戦争を描いた実話をもとにした映画である。

トランプが登場する前に、白人至上主義者は、カラーズに職を奪われたという僻みによるルサンチマンが、特に、本作の舞台であるアイダホ州などのような人里離れた場所で蔓延していたのである。アメリカの地方はあまりにも隔絶しているから、奇妙な情報がやり取りされてしまう。そのひとつにUFOがある。今回はUFOは関係ないが、白人がマイノリティに追いやられているという妄想が隔絶された地での情報交換でやり取りされている。主人公ボブは、明白にヒトラー型の劣等感に満ちた独裁型人物である。その主人公ボブは、もともとは、白人至上主義者の教会の教徒であったが、分派して、より先鋭的な白人至上主義を目指すべく、活動を始める。ボブはニック・ホルトが演じている。

ボブを捜査し、追い詰めていくのが、同性愛傾向のある捜査官テリー・ハスクであり、ジュード・ロウが演じている。

FBIは、白人であるジュード・ロウ演ずるハスクを命じる指揮官がアフリカ系アメリカ人とポーランド系ユダヤ人との間にうまれた

ジャーニー・スモレット=ベルがカーニー捜査官を演じている。

すでにアメリカ合衆国は、隅に追いやられたとひがむ白人至上主義者が蠢いていたのである。

白人至上主義者の危険性が可視化されたのは、トランプ登場により可視化されたのである。本作もまた時代背景としては、バイデン政権を支持したアマゾンをはじめとしたIt産業が、映画産業をネット配信するため、作られたことがある。しかし、トランプ二次政権では、IT産業がトランプを支持したことにより、本作のような白人至上主義者の黒い部分を暴く映画は作られなくなるだろう。

それは、結局は、ホラー映画という形で「表現主義的産物」として婉曲に描かれていくことだろう。

本作の価値は、白人至上主義の危険性を視覚的に表したことにある。

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