映画を観た記録4 2025年1月2日     ロバート・シオドマク『フロウ氏の犯罪』

Amazon Prime Videoでロバート・シオマドク『フロウ氏の犯罪』を観る。
ロバート・シオドマクはドレスデン生まれのユダヤ系ドイツ人であり、ナチス台頭でパリ経由でハリウッドへ逃れるが、赤狩りでまたパリへ戻るという数奇な運命の映画監督である。
デビュー作は、エドガー・G・ウルマーとの共作『日曜日の人々』である。
ロバート・シオドマクもエドガー・G・ウルマーも『ゴダールの探偵』の冒頭で4人の映画作家として顔写真が並べられる作家である。その4人とは、エドガー・G・ウルマー、ロバート・シオドマク、ジョン・カサヴェテス、クリント・イーストウッドである。
この4人に共通点は一切ない。
であるので、私は、ロバート・シオドマクの名前を覚えており、初めて彼の作品を観た。
本作は、ルイ・ジュ―ヴェが泥棒フロウ氏を演じるのである。フェルナン・グラヴェ演じる弁護士のもとへ依頼が来る。それはデュランと自称するフロウ氏からの依頼である。弁護士は、囚人であるデュラン氏のもとでラ・サンテ監獄へ出向く。自称デュラン氏は囚人であるのに、スーツを着込み、胸ポケットにはハンカチを入れている紳士ぶりである、およそ囚人らしくないのである。
自称デュラン氏を演ずるルイ・ジュ―ヴェの演技がとてつもなく素晴らしいとしか言いようがない。目の動きが特に素晴らしい。
そして、なぜか、弁護士がフロウと勘違いされ、報道され、特徴であるひげをそり、海が近くのホテル・ロワイヤルへ向かう。弁護士を出迎えるのは、和服を着た日本人マキである。ろうあ者であるそうだが、実はそれはそのように見せているだけである。
そのホテルで、デュラン氏が紹介した男と結婚しているという女性エリナと出会う。エリナもまたフロウの一味なのである。
つまりは、ラ・サンテ監獄に収監されている自称デュランであるフロウが弁護士をたくらみに陥れたのである。
とはいえ、なぜか、フロウの一味であるエリナと弁護士は恋仲に落ちてしまうというストーリーである。
途中何度か波がさざめく浜辺の海が挟まれる。
他にも風景カットが様々に挟まれる。
そして、当時の映画技法というか、当時のスタンダードな技術のディゾルブやワイプでシーンをつなぐのである。
エリナは、弁護士が酔っ払って賭けにまけてしまい一文なしになるので、自宅へ泥棒へ、弁護士とともに出向く。弁護士がその家がエリナの自宅であることをエリナの肖像写真を見つけ知るのである。エリナは泥棒へ行くときは、着替えるのである。
鏡を使うカットが二か所ある。
最初は鏡面、二回目はエリナの衣服が入ったスーツケースについている鏡であり、その鏡にエリナと弁護士が旅に出て、キスをして終わるのである。
終わりの前に裁判シーンがあり、そこでのルイ・ジュ―ヴェ演ずる自称デュランの、フロウであることがばれないようにするための自分は小悪党であることを見せつけるしらじらしい演技が素晴らしい。なんとフロウは、裁判中に裁判官の家へ泥棒に入ったのである。それはフロウの部下が行ったのであり、まんまとフロウであることを自称デュランは隠しおおせたのである。
ドラマの展開はいくどか転回して面白い。
傑作古典フレンチスリラーである。


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