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GXを推進できる「GX人材」を集めろと言われたら、どうする?

はじめに

突然ですが、ある偉い人が、以下のようなことを言い出したらどうしますか。

偉い人「これからはGXの時代だ。世界で使用されるエネルギーをさらに最適化するようなエネルギーマネジメントが重要だ。そのため、当社もエネマネの領域に向かって、今まさに進出すべきだ。専門家を内部から集め、さらに社外からも採用し、当社のGXを推進できる『GX人材』を集めたPJを立ち上げる。体制案を早急に提示せよ。」

GXに関するご高説を述べる偉い人と、それを賜る社員たち(はうんざりしている)

これを聞いた人たちは、どう思うでしょうか。

『GX人材』って、あまりにも漠然としてないですか?

と思うはずです。たとえば、エネルギーマネージメント(エネマネ)の知識を持っていればよいのでしょうか? とはいえ、エネマネと一言で言っても、対象が家庭なのか、オフィスビルなのか、工場なのか、なんなのかで考えることが全く違いますし、さらに「ビルのエネルギーマネジメントを考える」と一言で言っても、そもそもビルでエネルギーを消費している設備は何があり、どのように設置され、どのように管理されているのか? それらを知らないと話になりません。

そこで今回は、

急に『GX人材』を集めないといけなくなったが、どうしたらよいのだろう

という方に向けてのアドバイスをお示しします。


「真っ当だが、間違った」アプローチ

ここで多くの方が行うのが「GXやエネマネ、BEMSとかについて一から調べる」というアプローチではないでしょうか。

しかし、このようなアプローチは

正しい理解を得ようという意味では真っ当ですが、とても時間がかかる

アプローチです。そして、多くの場合、こういうPJの体制案提示にかけられる時間はとても少ないので、結果的にはこのようなアプローチは間違っているのかもしれません。

「GX人材」をどう定義するか?

ここで、最初の指示に戻りますが、実は今回のお題は『GX人材』の定義で、しかも外部から調達してもよいことになっています。ここに注目して、以前、DX+GX人材について書いたことがあります。

実は

「GXとは何のことだ?」というのは、DX以上によくわからない

ので、GX人材を何か仮置きしないといけません。

あくまで「仮置き」なので、後で変えてもよい

のがポイントです。たとえば、GXの文脈でよく書かれるのはエネルギーのマネジメント(エネマネ)のことです。そこで、少なくともエネマネについて一家言持っているような人でないと、GXについて「自分の言葉で」会話することはできないと考えます。

こうやって、GXとは何なのかわからないなりに、仮置きをしながら人を呼び、その人にGX人材を考えさせる方がよっぽど効率が良いと考えています。

ちなみに ~ 「GX人材」の一例

ちなみに、どのように仮置きするかにもよりますが、たとえば「ビルのエネマネについて企画~実行できる人」というのはどういった人なのでしょうか? 以下に分かりやすい説明があります。

これはアズビル株式会社(旧:株式会社山武)の求人向けサイトです。

そもそもビルを建設するためには私たちの大切なお客さまである方々が数多く登場します。まずお施主様がいて、そこから設計事務所に依頼、そこからさらにゼネコンがビル躯体や内装を、サブコンが空調・電気・衛生の各設備の建設を請け負う構図があります(図1参照)。その中で、当社はビル全体の空調や電気・衛生・セキュリティ等の計測・制御システムの構築を一手に担うポジションにいるため、当社の技術者は日々、ゼネコンやサブコン、また設計事務所のさまざまなお客さまと綿密な打ち合わせや仕様に伴う提案、そしてその承認を経て業務を進めていかなければなりません。

https://next.rikunabi.com/tech/docs/ct_s03600.jsp?p=001946

このように、そもそもビルには空調・電気・衛生など、多数の設備がありますし、それらを取りまとめてエネルギーマネジメントをしたければ、適切な制御システムの構築が必要です。最近では空調・電気など各設備に独自のAI制御などが含まれており、各設備レベルでの個別最適は既に行われるようになりました。しかし、ビル全体でみた「全体最適のレベル」で制御したければ更なるアルゴリズムの検討が必要になるかもしれません。さらに、当然ながらそれらはすべて別のメーカーが提供している物で、各業界の業界標準に合っているものもあれば、独自プロトコルになっているものもあり、たとえアルゴリズムが見つけられたとしても「そもそもやりたい制御を、各社の設備に対して指令できるのか?」という問題も生じます。

このように、「ビルのエネルギーマネジメントを考える」と一言で言っても、実際はハードに合わせた一品一葉の泥臭い作業が必要です。決して、キラキラしたものでもなんでもなく、まして新規事業案として簡単にやるなどと言えるシロモノではありません。

とはいえ、カーボンニュートラル・GXなどの言葉も今や一般に広く浸透し、この分野に対するニーズ今後ますます高まることは明らかです。「まずできることは何なのか?」の深い検討を行うとともに、「まずできることからやってみる」の精神が必要となるでしょう。

(おわり)


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