労働バイアスの排除を目指す「Alternative Work Lab」を設立しました
先日のプレスリリースでもお知らせしましたが、
取締役を退任し、Alternative Work Labを設立し、所長に就任しました。
Alternative Work Labはリモートワークや新しい働き方について、調査、分析、研究を行い、その結果を社会に広く共有することで、ワークスタイル、マネジメントなどあらゆる「労働バイアス」を排除していくことを目的としています。
労働バイアスというのは私たちの造語ですが、「〜しなければならない」「〜の方がいいに決まっている」など働く上で多くの人は「当たり前」として思っている、または信じていることがあります。またバイアスというのは無意識に自分達に根付いてしまっているものでもあります。
私には今でも忘れない会話があります。
それは2017年のことです。私がキャスターの取締役になり、1年半ほど経過した時でしょうか。以前の職場で一緒に働いていた元同僚(男性)にキャスターの話をしている時です。
「へぇ〜、いい会社だね、奥さんに勧めてみるよ」
この何気ない言葉に私は強烈な違和感を覚えました。
なぜならこれはリモートワークは女性がするもの、もっと言えば結婚していて家庭を持ち、子供がいる人がするもの、そういった通常の働き方だとフルタイムで働けない人を救済する手段である、という無意識のバイアスがその言葉には含まれていたからです。
リモートワークというのは、場所を問わず働ける、それだけといえばそれだけです。なのになぜか自分には関係ないことだと思っている人が存在する。社会でリモートワークをする人はこういう人だ!というバイアスが存在する、と感じた1つの出来事です。
それ以外にも私たちは日頃知っているようであまり詳しくわかっていないことがあります。
例えば、日本の年収の中央値がいくらか知っていますか?
これはよく出てくる数値なので知っている人もいるかもしれませんが、約年収420万円です。
詳しくはこちらのデータから
では、男女で格差がある、地方と首都圏で格差があると言われてますが、どのくらい差があるか知ってますか?また都道府県別で見て、日本全体の中央値よりも年収が高い都道府県はいくつあるか知ってますか?よく派遣の制度が日本の雇用をダメにした的な論説がありますが、派遣社員は働く人の中でどのくらいの割合いるか知ってますか?
実は、私たちは働くことに対してほとんど知りません。
ほとんど想像と思い込み、バイアスによって形成されているといっても過言ではありません。
だからこそ、
Alternative Work Labはデータを丁寧に見ながら、私たちのバイアスを解いていきたいと思っています。また統計にはなっていなくても仕事においてはさまざまな意見があります。例えば、膝を突き合わせたコミュニケーションから新しい何かが生まれるといったものもそうです。仕事をする上でチームのコラボレーション、チーム間でのコミュニケーションはチームパフォーマンスに影響を与えると信じている人も少なくないと思います。
しかし、
スキルの高いメンバー、かつクリエイティブな仕事についている人にとって積極的なコラボレーションやコミュニケーションによって生産性には影響しない、また創造性に関しては、コミュニケーション量が多いことによってマイナスの影響があると
指摘している先行研究も存在しています。
このように、多くは立証されていないこと、もしくは過去のやり方に過ぎないこともあり、バイアスとして存在している可能性もあります。それらのバイアスなのか、本当に意味のあることなのかをひとつひとつ検証しながら、新しいスタンダードを作っていきたいと思います。私たちが信じているけれど、本当は思い込みにすぎないこと、それを1つずつ解きほぐしていくこと、そしてそれを社会に発信していくことを目指してAlternative Work Labは活動していきます。
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