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『自由に好きにやればいい』久保利英明×松田憲幸(shortversion)

久保利英明×松田憲幸(ソースネクスト社長)2021年1月対談

久保利
日本は沈没ですね。
怯えちゃだめだよ。怖くても、いやそれって何だろうって関心持ってチャレンジしていく。たじろがないことが必要。どうやったら恐れないで行けるかということを考えた方が、ずっとまともだと思う。

松田
日本って、全部同じ方向にいく。
アメリカは違うことを良しとする。他の人と同じことをするのがいいという日本。ここが根本的に違っている。

久保利
人間ってみんな多様性。
いろんな人がいて世界は成り立ってるのに、みんな一律にしましょうという苦労を日本人はずっとしている。その苦労をやめたら一挙に多様性が出てくるんだから、こんな修正可能な簡単な方策はないじゃないですか。みんな一緒でなければいけないという、そうじゃないでしょと思います。

松田
日本の常識というのが、世界に出ると通用しない。
日本で生きていたら当たり前なんですけど、一歩外に出ると当たり前ではないということにたくさん直面しました。

久保利
若い者がこの国を出ようと(思ってほしい)どこへでも行けばいいと思うんです。この国を変えるには、えらいエネルギーが必要なんだから、だったらもう外に出てね、外で自由にやっちゃっていい。

久保利
小さいときからおばあちゃんに「実るほど頭を垂れる稲穂かな」と教育されれた。それはいいなぁ。かっこいいかもしれん。ただそれには実らないと始まらない。スカスカの穂でお辞儀ばかりしているとただの卑屈だから、立派な人物になってみんなに変わらぬ態度で接したい。そのほうがお互いハッピーだと思いました。

松田
父から学んだのは「親しき中にも礼儀あり」
親しくなるとだんだん慣れ合いになってしまう。何も言わなくなってしまう。これが問題だと言われました。私の中で響きました。

松田
マジョリティになっていくと日本は強い。
当たり前の常識に行くのに、他の人がやっているかどうかというのが重要な日本。世界で日本のみんながバンバン活躍してきたら、ひょっとしたらその波で(変わるかもしれない)。その一つの波になれたら、(波を)創れたらいいなと私は思っています。

松田
上場企業でアメリカに住んでる人は、2社です。二人です。
シリコンバレーは私ひとりだけです。
3800社あっても1社しかいない。

松田
久保利先生から「アメリカに住まないとダメだ」と言われたからです。
普通は逆に「何やってるんだ」と止めるところを出していただいたので今の私があります。

久保利
サラリーマンには向かないし官僚はできないし、明日から政治家やりますというわけにもいかない。弁護士をやろう。消去法です。

松田
消去法だったんですか?

久保利
弁護士だけはやってみたい。いいなと思ったんです。
リスクなんか考えてないところで、人は死んじゃったり事故が起きたりする。決断なんて大したことじゃない。好きなようにやったらいいんじゃないですかと思います。

久保利
弁護士としては、初めに森綜合というところに入って、まだ森良作先生が生きていて、これが転機といえば転機です。(森先生が)依頼者のためにしっかり仕事をすればそれでいいんだ。つまらん理屈並べて依頼者が満足しないというのは一番困る。それが弁護士の本分だからとおっしゃった。そうだなぁと思って森綜合に入ったのが、一つの大きな決断です。

松田
IBM で先輩宛にかかってきたヘッドハンティングの電話をたまたまとったんです。「彼いるか」となって「いやいない」と答えて。外国人だったんです。「お前誰だ」と聞かれて「ノリ・マツダ」だと答えたら「お前なんか面白そうだから来ないか」と言われました。その会社(ヘッドハンティングの会社)に行ったら面白いと言われて、いっぱいオファーが来た。なんか面白そうだから辞めようと思ってIBMに話したら「いやそこに行くよりもっと違うのがある」「協力会社のニューヨークにある会社が日本に支社を作りたい。そこのGMを探しているのでそれをやらないか」と言われて、そこにサインしたんです。どんどん要望が来て「事業計画書をくれ」と言われたんで送ったら「人件費が高い」「この社員、何でこんな奴に5万ドルも払うのか(当時円高だった)」と言われました。

松田
自分の会社の社員も自分で決められないんだ。これはひどいと思いました。どうやってその社員に責任が持てるか考えて「そっか。自分で会社を作ったら自分で社員の給料も決められるし、少なくとも責任は持てる」と思って、それで独立しました。私のなかでは、何が転機かというと、その(先輩にかかってきたヘッドハンティングの)電話を取ったことです。

松田
過去をほじくらない。過去は100%肯定します。
変えたら全部変わるはずじゃないですか。ここだけ変えるというのはすごい不都合です。そんな都合の良い話はない。上場がうまくいかなくなって久保利さんにお会いしているので(笑)うまくいってたら、久保利さんに会えなかったら、シリコンバレーの生活もないかもしれない。結局、最大の失敗をしたことからいい人に出会って、その人たちのおかげで今があるというケースしかない。

久保利
失敗は、成功のもとです。
本当に、人と同じ人生なんか歩むもんじゃないと僕は思います。好きなように生きたらいい。松下幸之助じゃないけど、やってみなはれ。やってみて、失敗して、自分で失敗を味わって、成功にどんどん近づいていく。

久保利
なにもそんなに恐ろしいことはないよ。

松田
久保利先生に教えてもらったんですけど「失敗はいいんだ。でも同じ失敗は2度するな」それが私はずっと頭に入ってます。苦難になった時、そこにメッセージがあると思うんです。本当にダメな時にも絶対、ダメなときこそ、何か絶対宝物がある。鉄則なんじゃないかと思います。

久保利
他の人に見えないものが見えるんですよね。 これが運とも言えるし発見能力とも言える。こういう機材、ひとつ十何万するというのは大丈夫?在庫抱えたらどうしようもなくなるよと、今まで在庫商売したことがないけど大丈夫ですか?と、心配になってお尋ねしたら、ちゃんと契約書上に入っていると説明していただいた。それだったら広告宣伝費は、あんまりいらないんだねとかね。

松田
日本って今年(2020年)の3月までは、何の機械もなくて、対面用のミーティングルームが想定されていたわけです。私はこの会議室に大きなマーケットがあると思ったんです。

久保利「暗いのはダメ(笑)」
松田「やりたいことは」
久保利「やる」

【松田憲幸/PROFILE】
ソースネクスト株式会社社長(2021年2月~代表取締役会長 兼 CEO)
1989年4月 日本アイ・ビー・エム株式会社入社
1993年9月 有限会社トリプル・エーを設立 代表取締役社長
1996年8月 株式会社ソース(現ソースネクスト株式会社)設立 代表取締役社長 2012年9月 SOURCENEXT Inc.President&CEO
2017年6月 ロゼッタストーン・ジャパン株式会社 代表取締役社長


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