『毎日最高』久保利英明×クリスティーナ アメージャン
久保利英明×クリスティーナ アメージャン(一橋大学教授)
2021年3月対談 vol.4
久保利「人生最高の瞬間を一つ選べますか?」
アメージャン「毎日、最高」
久保利「うんうん。ですよね」
アメージャン「毎年、今年2020年は最高じゃなかったと思いますけど、今年は最高。一番楽しかったとか、本当に、毎年」
久保利「僕は、人生最高の瞬間っていうの、死ぬ直前に最高っていうのがあるといいなあと。もっと何か面白いものがある、もっとこんなのもあるっていう、最高をずっと求めながら」
アメージャン「そう」
久保利「来年またあるよね。そういう、夢というか希望というか、これを探し求めるのが人生ですよね」
アメージャン「そうですね。最高は、歳によって、ライフステージによって、最高が違うでしょ」
久保利「違います、違います」
アメージャン「それは楽しい。今の最高、今後の最高、違います」
久保利「確かにそうですね、有名な絵描きさんに、あんたが描いたもんで一番の最高の傑作は何でしたかと聞くと、これから描くんだと(笑)」
アメージャン「そういうの大事、そういうの(笑)」
久保利「死ぬ前に描くやつが一番いいに決まってるんだと(笑)」
アメージャン「(笑)」
久保利「90の爺さんが言うっていうのはいいなと僕は思いますけど」
アメージャン「ねえ」
久保利「うん」
アメージャン「今までで一番楽しかったとか、すごい思い出になったこと、色々考えたんですけど、やっぱり、ほとんど旅行」
久保利「どこが一番良かったですか」
アメージャン「あの、わたし、180ヶ国まだ行ってないですけど」
久保利「僕、170ヶ国(笑)」
アメージャン「(笑)一昨年、2回アルメニアに行って」
久保利「アルメニアね」
アメージャン「楽しかったし、それ最高。その前の最高は中国、3年ぐらい前に雲南省」
久保利「雲南省ね」
アメージャン「チベット、省じゃないんですけど、チベット人がたくさん住んでいるところ、2週間ぐらいかけて」
久保利「ほぉ」
アメージャン「一人で行って、色々行って楽しかった。結構覚えてます」
久保利「険しい山があったりとか、高度も相当高いとこでしょ」
アメージャン「大変でした」
久保利「息が、大変でしょう」
アメージャン「大変でした。ああいうところが好き」
久保利「アスリートなんだ」
アメージャン「もう死にそう」
久保利「(笑)」
アメージャン「チベットの方に行ったらもうほんとに苦しかったですけど」
久保利「苦しいよね」
アメージャン「アルメニアも結構似てます、チベットとアルメニア」
久保利「そうか、そうか。アララト山とか、僕は、アルメニアって1回しか行ってないけども、ほんとうにね、あのときに陸続きの国ってこういうことがあるんだよねと」
アメージャン「うーん」
久保利「日本で富士山を取られちゃうとすれば、日本国が負けて日本国が占領されちゃった」
アメージャン「そうそう」
久保利「ということになるんだけど、だけど、アルメニアって、国境線を書き換えられちゃうと、いなくなっちゃうんだ、あの山が」
アメージャン「そうそうそう」
久保利「あれはね、シリアとイスラエルの国境のところにも行った。その時には、僕のドライバーでボディガードやってくれた人が、国境っていうのは、今日うちの子供と議論をしたんだけども、久保利さんはどう思いますかというんで、国境というのは基本的に、国と国とが決めてここがっていうのがなったもんでしょって答えたら、いやそれが破られたときどうなりますかっていうと、うちの息子は、いやイスラエルのタンクが行けたところまでが国境だよね。と」
アメージャン「なるほどね」
久保利「確かにそうだよなあと。日本人ってほんとにボケてるところもあって、真剣に国境とは何かとかっていうのを」
アメージャン「考えてない」
久保利「考えてないんじゃないかと。だからそういう国の人は、戦争は安易にやっちゃいけないなあと。絶対意識もないし弱いんだから。僕は、今回のワクチン戦争というかコロナ戦争でも、なんかのんびりしてるというか」
アメージャン「のんびりしてます」
久保利「ねえ、ここはね、やばいよなあと思いましたよね」
アメージャン「一昨年、一回、アルメニア、一人で行ったんですけど、2回目は、学生連れて学生と友達10人ぐらいで」
久保利「日本の学生?」
アメージャン「はい、一ツ橋の。全然オフィシャルじゃなくて、私がアルメニアに行くから一緒に行きたかったらエレバン(※アルメニアの首都)集合って」
久保利「エレバンね、なるほど」
アメージャン「10人ぐらいで。バス借りていろんなとこ行ったんですけど、一昨年戦争があったんですけど」
久保利「はい」
アメージャン「私たちが行ったときは安全だったんですけど、安全じゃなかったかな。アゼルバイジャンの」
久保利「すごかったよね、やってましたよね」
アメージャン「国境とか、車速く走るんですよね。なんで速く走ってるかって聞くと、アゼルバイジャン軍が見てるから、どうなるか分からないとか」
久保利「なるほど」
アメージャン「そういう、不安?感、日本では考えられない」
久保利「考えられないですよね」
アメージャン「アルメニアの若者は、国のために死ぬかもしれないし、そこはまあ、戦争いつあるかわからないし」
久保利「わからないですよね」
アメージャン「ほんとに日本人と全然考え方が違う」
久保利「違いますよね」
アメージャン「うちの学生、みるべきだと」
久保利「おっしゃるとおりです」
アメージャン「刺激をうけたと思います」
久保利「見たうえで、ああいう国になりたいんですか、なりたくないんですかっていうね、この国ってそういう点では安全だし」
アメージャン「幸せだよ」
久保利「幸せだよね、ほんとうに思いますね」
アメージャン「ねえ」
久保利「そういうことを考えると、この日本ってありがたいんだよねっていうことをね大事にしながら、この平和は守らないといけないかなと感じますけどね」
アメージャン「そう、ただじゃないんですよね」
久保利「ただじゃない」
久保利「僕は、戦争は、良い悪いっていうよりも、弱い国は戦争は絶対避けた方がいいと。だって、イスラエルなんてどう見たって、戦争強いですもん」
アメージャン「強いですね」
久保利「あっという間にこれだけの人に、ワクチンわーっと打っちゃうんでしょう。これが日本国はできっこないと思うんですよ」
アメージャン「(笑)できない、逆に、日本はなんとなくこのコロナで、アメリカの家族とか友達とかヨーロッパとか聞いたらほんとに大変。日本は何もしてない、、、」
久保利「してません(笑)」
アメージャン「なんとなく、ある程度普通の生活。これからどうなるかわからないですけど」
久保利「わからない」
アメ―ジャン「日本のいいことは、そういう意味では日本人尊敬してます」
久保利「尊敬する?」
アメ―ジャン「してます」
久保利「いい点もあるし悪い点もあるしね。なかなか難しいんですよね。日本をどう変えていったらいいかっていうのは、そう一筋縄ではいかない、答えが一つではないかもしれないし」
アメ―ジャン「うん」
久保利「僕は次の世代とか、僕の孫の時代とか、この国をどういういう国にして渡していったらいいのかなって、これすごい考えますよね」
アメ―ジャン「そうですね」
『対談を終えて』
久保利「どうもありがとうございました」
アメ―ジャン「ありがとうございました。面白かった(笑)」
久保利「面白かった(笑)話は世界中をかけめぐる」
アメ―ジャン「面白かった。フレッシュな(笑)」
久保利「(笑)」
アメ―ジャン「先生は、元気がなくなった時どうするんですか?」
久保利「僕?」
アメ―ジャン「はい」
久保利「いや、やっぱり、腹減ってるときが一番元気ないから」
アメ―ジャン「食べる」
久保利「食って、で、おなかいっぱいになると寝ちゃう。もうすごい即物的な生き方なんだけど」
アメ―ジャン「いやあ、それが大事ですね。(笑)」
久保利「だけど、ほんとにメンタルに困ったなあ、大変だなっていうことって、実際はあんまり」
アメ―ジャン「ないんでしょう」
久保利「ないんですよ」
アメ―ジャン「(笑)」
久保利「運がいいというか、ここで自分は命を失うかもしれんっていうふうなことはあんまりないですよね、77までなると、失ったってまあ、しゃあないかと。よくここまで生き延びたよねと」
アメ―ジャン「(笑)」
久保利「そういう点ではこんな機会があること自体がすごい楽しいっていうか」
アメ―ジャン「これから楽しく」
久保利「確かに大事ですよね、年をとるって事は。それなりのことをやってきたんだから」
アメ―ジャン「これからはもっと(笑)人生は明日まででもいいし」
久保利「ね」
アメ―ジャン「すごくいろいろ達成、いろいろしましたから、十分達成感が」
久保利「ありますよね」
アメ―ジャン「これから全部プラスだから」
久保利「ですよね」
アメ―ジャン「プラス、30年か40年か」
久保利「で、100歳(笑)」
久保利「楽しくね、クヨクヨしないで楽しくやる」
アメ―ジャン「そうですね」
久保利「そういう時代に入ってきましたから(笑)」
アメ―ジャン「(笑)」
アメ―ジャン「歳をとることを楽しみにする。それ怖いこととか嫌なことじゃなくて、ほんとに将来はすっごくいいことがたくさんある」
久保利「ある。ねえ。という人生観を持つことが、何より今をより明るく元気に生きられることになるかな」
アメ―ジャン「だから、人生、今みたいに何もなくても、六義園まで歩いて」
久保利「リュック背負って」
アメ―ジャン「美味しいパン食べて、最高のことを」
久保利「最高、毎日、最高」
アメ―ジャン「ほんと、毎日、最高」
久保利「そういう生き方をぜひ、学んでいただきたいものです」
アメ―ジャン「ありがとうございます」
久保利「ありがとうございました」
アメ―ジャン「ありがとうございました」
『雑談<色の話>』
久保利「洋服の時も、結構、色があれですものね、似た色が」
アメージャン「似た色(笑)」
久保利「バイオレットとか、結構、ああ一緒だった(笑)」
アメージャン「あ、色も、面白い。日本の色、西洋の色、レッド、ピンク簡単でしょう。でも、日本の色すごい」
久保利「ものすごい色のグラデーションと言うんですか」
アメージャン「グラデーション」
久保利「いっぱいあるじゃないですか」
アメージャン「面白い」
久保利「同じピンクでも、桃色と桜色と違ってくるし」
アメージャン「山吹色」
久保利「山吹ですね」
アメージャン「面白い」
久保利「あれ、すごいですね。色の数、全部に和名がついてる」
アメージャン「名前がねえ」
久保利「あれがね、すごいなあと思います」
【Christina L. Ahmadjian(クリスティーナ・アメ―ジャン)PROFILE】
一橋大学大学院経営管理研究科経営管理専攻教授
アルメニア系アメリカ人の父と、スウェーデン系アメリカ人の母を持つ。
ハーバード大学卒業。日本企業での勤務経験を経て、
スタンフォード大学ビジネス・スクール経営学修士課程修了。
カリフォルニア大学バークレー校ハース・スクール・オブ・ビジネス博士課程修了。
現在、日本取引所グループ、住友電気工業、アサヒグループホールディングス等、複数の企業の社外取締役を務める。
現在、日本取引所グループ、住友電気工業、アサヒグループホールディングス等、複数の企業の社外取締役を務める。