秋に舞い降りた白鷺のように
10月の下旬、岐阜県下呂市からの帰り道。
午後の飛騨川に紅葉が映り込み、思わず車を停めた。
しばらく撮影していると、プリウスから3人の年配の男性が降りてきた。
「もう列車は来たかい?」
おそらく「撮り鉄」が趣味のカメラマンであろう。
Canonの最新機種を首からぶら下げている。
挨拶も束の間、ひとりの男性が「来たぞ!」と声を上げた。
静かな山間に列車の音が響き、
白く美しい列車が視界に飛び込んでくる。
1枚、2枚、3枚...
予期せぬ光景に手が震え、たった3枚だけシャッターを切った。
瞬く間に列車が過ぎた後、
あの列車は今年3月から運行したばかりの新型だと、カメラマンは教えてくれた。
まるで秋に舞い降りた白鷺のように、儚き一瞬の出来事。
写真を撮っていると、時々こんなドラマが起こる。