#43 いっぱい持ってないで投げ捨ててしまえ
私たちは、生きて行く上でいろんなものを獲得しています
知識や経験であったり、名誉やお金であったり、
そうした物だったり、見えないものなど、
いろんなものを獲得しています
スーパーで買い物をしていると、よくわかると思います
今夜は来客があるからと、たくさん買い出しをして、
両手に買い物袋、
肩にはいつものバッグ、
子供がいれば、背中に背負い、
2人いれば、前にも抱っこして
想像するだけでも、重くて大変ですよね
私も実際そんな時がありましたので、よくわかります
これはもちろん買い物ですから、腕が疲れたら、
ベンチで休んだりして、ふ~ふ~言いながら運び、
家に帰れば荷物を下ろせるわけです
しかしこれだけのいっぱいの荷物を持って、
人生の上り坂を目一杯の速度で、駆け上がるとしたらどうでしょう?
どんなに体力に自信がある人でも、これは無理ですよね
息切れもするし、腕はパンパンになるし、身体がもたないです
こういうことが起きるというのは、当たり前なんです
現在では、私の周りでもよく見受けられますが、
心を病んでしまう方、いわゆる鬱病の方などが増えています
こういった方々を見ていると、とても真面目です
自分の関わることすべて、先に書いたように、
全部自分で抱え込んで、たくさんの重い荷物を持ち、
疲れているのにサボりもせずに、
急いで行こうとしてしまうんです
そしてついには限界を迎え、休職になったり、入院になったりします
私たちの身体は、心は、負担をかけ続ければ病気になります
しかし、病気になるということは、
私たちの身体が、心が、
「ちょっとやり過ぎだよ、ここで休んでくれよ」と、
私に伝えているSOSなんですよね
「少し休憩しよう」と、「その時期だよ」と教えてくれているんです
この「病気になる」ということを、悪い事だと捉える方がいますが、
実は「病気になる」ということは、これまでの自分を振り返る時期なんです
それが自分ではやることができなかったので、
強制的に、私たちの身体が、心が教えてくれるんです
ですがそんな大事な時でさえ、私たちは、
「なんて自分は弱いんだろう」とか、
「みんなに迷惑をかけている」とか考えてしまいます
例えば、インフルエンザやコロナに罹った人が、
頑張って職場に来たらどうでしょう?
みんなに感染させてしまい、これははっきり言って迷惑です
病気になった人が一番やらなければいけないことは、
無理して出勤することではないです
今はきちんと休んで、自分の身体や心を回復させることです
ですから、鬱病などになってしまい、
「自分がこんな風で申し訳ない」、そんなことを言ったりします
あなたは病気になってもまだ、そこにこだわりますか?
そこにこだわって、もっと自分を疲れさせますか?
実は、そう思うのが嫌なんですよね?
この「嫌だ」と思う気持ち、これが「苦しみ」です
つまり、「苦しみ」は自分で作り出しているんです
格闘技だとわかりやすいでしょうか
相手の攻撃をもらってしまい、朦朧としたら、
レフェリーや、あるいはセコンドがタオルを投げて止めますよね
その時に止めないと、人はそんな状態でもまだやれると向かってしまいます
1年間厳しい練習をしてきたのに、数秒で終わってしまった、
自分はまだ何も力を出せていないと、向かってしまうんです
ですがそんな状態では、自分の命を守ることができないんです
だから、そうして強制的に止めるんです
病気になり一番するべきことは、何度も言いますが、
自分の身体と心を回復させることです
それを置いてまだ、自分の身体と心に負荷をかけているから苦しいんです
苦しみはこの、自分の中の「嫌だ」という抵抗の感情から生まれます
自分がたくさんの重い荷物を持ち、負荷をかけ続け病気になった、
身体と心は、そんな私に「休みなさい」と教えてくれた、
それなのに、それが「嫌だ」と言っているんです
これが「苦しみ」です
そして、「自分は苦しいんです、どうすればいいですか?」と言います
違うんです
それは、あなたが「嫌だ」と言っている状況なんです
自分が病気になり、
「あ~、病気になってしまった嫌だ」と、まだ言いますか?
これは、愚かさです
人間には免疫があります
病気になると、この免疫が身体を守ろうと、
一生懸命戦ってくれます
それも「嫌だ」と言えますか?
さて、いろいろ書いてきましたが、
生きているといろんなことを悩むと思います
仕事や学校のこと、家族や家庭のこと、友達などなど
たくさんのことを抱え込んでいます
そして、抱え込んだとしても、それが全部できるなんてことはないです
仕事はあなたがいなくても回ります
親御さんも、あなたより生きてますからきちんとできます
お子さんだって、あなたを見て育ったんです
病気になった時こそ、あるいは、疲れた時こそ、
そうした抱え込んだものを投げ捨てましょう
別に、人に思いやりを持たないとか、
家族や友達のことを考えないということではありません
持ち過ぎている荷物を下ろしなさいということです
それでもまだ嫌だと抵抗しているんです
そうした抱え込んだものを、すべて投げ捨てましょう
禅の言葉にもあります
「放下著」