工場向けの部品販売について
私は製造業の工場向けに部品や装置、システム販売をしております。今回はその中でも部品の販売について書きたいと思います。電子部品と機械部品の売れ方の違いと、性質の違いによるお客様の購買意思決定プロセスの違いについて感じたことを書きます。
〇電子部品と機械部品
私の会社はメインでは制御機器や電子部品といった部品の販売が主です。電子部品というのはなんとなく1-2年で壊れるイメージが無いと思います。
たとえば家庭用ゲーム機などは普通に使っていて1年で壊れたらクレームものだと思います。ちょっと乱暴かもしれませんが、そんなイメージで工場でも電子部品は基本的に消耗する部分が少なく、数年~10年位の寿命が期待されます。1-2年で壊れたら初期不良では?といわれることもまれにあります。
対して、機械部品はどうでしょうか?ギアなどの部品は金属摩耗などですり減ったりするため消耗したら交換という形で目に見えて老朽化が進むので、よっぽどのことがない限り、消耗した→購入しようという流れにスムーズに進みます。消しゴムを使っていて、減り方が異常に速いからおかしいという人はほとんどいないと思います。
電気=目に見えない。機械=目に見える。という差がでもたらしています。
〇購買意思決定
消耗品か、消耗品ではないかの違いは購入意思決定の流れが全く違うものと想定ができます。
消耗品ではないと感じているものが壊れると、購入のまえに色々な尋問があります。初期不良では?使い方がおかしいのでは?電源入り切りしてみては?など、なぜ壊れたか目に見えないのでありのまま受け入れることが出来ない場合が多いと思います。
対して、消耗品が壊れると消耗しているのだから仕方ない、すぐに買うようにとなり、尋問がありません。明らかにいつもより半分の寿命だった等のおかしな点がない限りは当たり前の購買ルーチンで購入へ至ります。そもそも例えばギア部品は1年で劣化するからということが分かっているので、あらかじめ予算を組んでいます。例えばギアを100個使っているラインでは、100個を毎年交換しないといけないと分かっているから、交換用保全予算が組み込まれます。
このあたりが電子部品はいつ壊れるかわからず、突発的に予算がつかずにすぐに買うという意思決定にならない一因かもしれません。
〇我々はどうしたらよいか
そもそも購買意思決定まで最短距離で進む消耗品を日々の注文のなかに、どれだけ比率を高く構成することが出来るかが安定した受注を達成することにつながります。機械部品は当然機械部品商社が得意としていますが、私たち電子部品・制御機器商社ならではの視点で特徴的な消耗品を調査し1つずつ商材を増やしていくしかありません。
お客様との接点を作り続けるためにも効果的なので、奥の手としてお客様とつながれる武器を戦略的に増やしていきたいと考えます。