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読書レビュー;「遅いインターネット」宇野常寛⭐︎「人間を考えさせないための道具」からの脱却⭐︎

こんにちは!!

ひこまるは、今、修士2生で
就活の年代です。幸い、準備を始めるのが少し早かったので、4月の1週目くらいに終わりました。

今は院の発表にむけて尽力しています!


私と一緒の修士2年の方や学部4年生の方は、物凄くコロナの影響を受けましたよね、、、

来年就活を控えている方は、インターンが中止になるのかなど、ちょっと不安な時期が続くと思います。
でも、しっかりリサーチをしていけば大丈夫だと思います!
何かあればいつでも質問ください!笑(大したこと答えられませんが笑)


今年の就活はコロナの影響で、オンライン化が一気に進みましたね。

自粛が終わっても、オンライン就活や在宅勤務はきっと以前よりも進むし、
インターネットの速さが今まで以上に大切になっていくのかな。


そんな中、2020年2月に出版された宇野常寛さんの「遅いインターネット」と言う本。

んっ!?
遅いインターネット!!??

宇野「今、遅いインターネットで検索すると、『インターネット回線遅すぎる!ほんとこの業者くそ!』みたいなのしか出てこない(笑)世の中の人間、ずいぶん回線の遅さに、イラついているんだろうな(笑)」

箕輪「俺もそう(笑)このまま『遅いインターネット』を検索し続けると、俺に表示される広告、全部が「高速インターネット」に関連するやつになっちゃう笑」

宇野さんと、本書の編集に携わった箕輪さんの対談では、こんな会話もありました(笑)


本書は「この世界を覆う目に見えない壁を破壊する言葉を手に入れること」を目的にしたものです。

正直に言って、途中、人によっては少し難しいと感じる部分もあると思いますし、読んだからといって今後の日本に安心感を得られる類いの本ではないです(笑)

しかし、インターネットと密接に付き合う現代を考える視点を与えていただける本でした。
もうね、とにかくめっちゃめっちゃ面白い!

私自身、感動することは多かったですが、一回読んだだけでは、
全てを理解できてるとは感じられず、何回でも読み直したいと思いました!

こんな方にオススメ

・今後の未来を作っていきたい人
・関わる世界を狭くしようとする世界の動きに引っかかっている人
・SNSやブログで発信を行っている人


魅力をいっぱい伝えられるように頑張ります!!よろしくお願いします。

そろそろ走り始めよう。繰り返すが、ゴールは存在しない。これは一緒に考えながら走る本だ。 (p27)


ブラジルとトンネルでつながったオリンピック

そもそもこの2020 年のオリンピックは何のために行われるんだろう。オリンピックはそれ自体が目的である - 「参加すること自体に意味がある」と言うオリンピックの創設者「クーベルタン」の言葉にもあるように - と考える人もいるだろう。
だけど現実はもっと生々しいものだ。(p4)

年々規模が巨大化する現代のオリンピックは基本的に開催国にとって不採算な事業のようです。
しかし、それでも各都市が誘致するのは国家がそのアイデンティティの再構築をするのに有効な手段だからだそうです。

実際、1964年の東京オリンピックでは、敗戦の復興から高度成長へと飛躍する日本のアピールとともに、急速に発展する国内産業を下支えする都市改造の計画でもありました。

確かに、日本の未来を見据えたオリンピックだったのですね。

だが来る2020年の東京オリンピックはどうだろうか。そこには基本的に何も無い。もう一度東京オリンピックがやってくれば誰もが上を向いていた「あの頃」に戻れるのではいかというぼんやりとした期待だけだ。(中略)そこには、これからこの国はこうありたいという部分が向け落ちていた。(p23)

本書でも紹介されていますが、
北島康介選手など、かつてのオリンピック選手と混ざり、キャプテン翼、ドラえもんなどといった戦後に活躍したキャラが閉会式で登場し、会場を賑わせました。

特に、安倍首相が日本からマリオのドカンを通り、反対のブラジルへいくという演出は私も非常にワクワクして見ていました。

しかし、この本を読んで確かに感じたことは、「今後の未来を描くオリンピック」ではなく、「今まで日本が行ってきた素晴らしさを伝えるオリンピック」なのだということです。


延期が決まり、いつもより考える期間の増えた2度目の東京オリンピック。

「一人、一人が日本の未来をどのようにすれば良いか考えることが大切なんだ」と感じました。どのように日本を再生させるか。
オリンピックをどうやって利用するか。

「うっ、、、どうすれば良いのか、わからない!!!笑」

ひこまるにも何かできることがあるのでしょうか??

具体的なことは、すぐには思いつかないけど、考えることを止めずに走り続けてみよと思います。

本書の1章が期間限定で無料公開されていますので、ぜひ読んでみてください!


世界に素手で触る

世界に素手で触っている感覚のある方!
挙手!!

と言われたら、一体何人の人が手をあげるでしょうか??


多分、かなり少ないと思います(笑)

でも、ひこまるは、塾を動かしている感覚はあります。塾の教室運営のお手伝いをしているので。
当たり前ですが、自分の大学の実験なんかもそうですね。

世界に素手で触るのは、グローバルで闘う企業でなければ難しいかもしれませんが、範囲を狭めることで自分の力があることを実感できるのです。

少しでも、世界に影響を与えられることを実感したい!!
グローバル社会を自分たちで影響を与えられる範囲に狭めたいという心の動きが、
トランプ大統領が当選させたり、イギリスのEU離脱を進めたのですね。

経済的なことだけを考えるのであれば、グローバル経済が発展していった方が良いに決まっていますが、逆行した動きです。

これに対して、私たちはどのような態度で臨めば良いのでしょうか?

宇野さんの提案の一つは、

民主主義を半分諦めること。

です。

えーーーーーー!?
って感じじゃ無いですか???笑

いやいや、民主主義諦めたらダメっしょ(笑)
ひこまるにだって、そんな簡単なことはわかりそうです。

確かに、本書でも、民主主義は最も相対的なリスクの低い政治制度であることは間違い無いようです。

僕たちは民主主義で決定できる範囲をもっと狭くするべきなのだ。これから民主主義は、持たざる者の負の感情の発散装置になるしか無いことを前提として運用するしかない。(p59)

現実として、民主主義がナチスドイツを生み出し、壁を作れと叫ぶトランプを大統領に当選させたのでした。

グローバル経済から取り残されている人々にとって、世界に素手で触れることは難しい。しかし、一票を投じてローカルな政治を変えることはできると信じることができる。(p52)

つまり、民主主義は、一票を投じてローカルな政治を変えられるという人々によって、暴走する可能性があるのです。
それこそ、持たざる者の負の感情の発散なのです。

民主主義の暴走から私たちが民主主義で培ってきた物を守るために、
半分諦めることが大切です。


一方で、今のインターネットは民主主義の暴走を加速させるリスクを持っています。

2020東京オリンピックや、グローバル化を止める政治活動の活発化。

これは、インターネットを使う中でどんどん人々が考えなくなったことの弊害なのです。
遅いインターネットの必要性が浮き彫りになってきました。


「遅いインターネット」宣言

現在のインターネットは人間を考えさせないための道具になっている。(p184)

このような文章で最終章である「遅いインターネット」という章は始まります。

なんか、わかるような、
やっぱりわからないような。

いやだってですよ。
確かにネットサーフィンは頭使ってないと思うけど、みんなが自分で考えて、Twitterとかで発信しているわけじゃないですか。

考えてんじゃん!!!

しかし、そんなひこまるの浅はかな考えはすでに本文で否定されていました(笑)

例えば、タイムラインに流れてくる情報に対しほとんど脊髄反射的に反応して「発信」する人々は、果たして「思考している」と呼べるのだろうか。(中略)こうした人々の発信は驚くほど一様で、そしてかなりの割合で情報の内容に対する検証を欠き、タイムラインの潮目を読んだだけの極めて表層的な内容にとどまっている。(p188)

単に「いいね」して同調したり、過激な言葉で敵対することは、一見、考えを発信しているように思えます。
しかし、実際は、反射的な反応なので何も考えていません。

そこで僕は少し立ち止まって、ゆっくりと情報を咀嚼して消化できるインターネットの使い方を提案したい。(p186)

これが、遅いインターネットです。


では、具体的に何をするのでしょうか??

それは、情報に触れた時、まず正しく読み、内容を検証する。
その上で、世界に新しい視点を与えられる問いを生み出す(書く)。

価値のある情報とは、ある記事に出会った時、その賛否どちらかに加担するかを判断するのではなく、その記事から着想して自分の手で新しく問を設定し、世界に存在する視点を増やすことだ。(p200)



これを行ったからといって、すぐに世界が変わるとは思えません。

しかし、より良い世界へ向けるために、自分で問いを生み出し、走り続ける。
ひこまる行動していこうと思います。


まとめ

長文になりました(笑)

本書は、序章から始まり第4章までの5章構成になっています。

序章の始まりで、「走ることが趣味」という話から「思想を走り続ける大切さ」に持っていく流れはすごい好きだし、
1章の民主主義を半分諦めるというテーマは考えさせられました。
2章の自分の物語の話も、すごい心打たれたし、
3章がなぜあんなに話題に上がっていたのかも理解できました。

4章は本当に良かった!!!!笑笑

宇野さんの思想は、おそらくひこまるの文章を介してしまうと、薄まってしまうと思いますが、
本書の楽しさをこのコラムで伝えられていたら、ぜひ、実際に本を読んでみてください。

ありがとうございました。

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