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「らしさ」ってなんだ
その人らしい、らしくない
なんて表現はなんだか気軽に発してしまいがちな言葉ですよね。
人というのは多面的であり
必ずしも一方向だけでは語れない複雑な生き物ですので
当然その定義付けというものにこれといった明確な正解は
本来は存在しないはず。
カテゴライズするのは無粋の極みです。
――といったことを踏まえつつ省略して
私はつい「らしいねぇ」なんて今日まで何かしらに対して述べてきました。
先日から、小松未歩の話でTwitterが盛り上がってるので
ちょっと『happy ending』を解釈する前に
自分なりの答えを提示しておこうかな、と思います。
小松未歩らしさってなんだ
あくまで私の見える範囲ではありますが
小松未歩の全楽曲サブスク解禁以降、
彼女にまつわる意見が非常に多く見受けられます。
その中で、それぞれが描いている小松未歩像。
その大まかな例をいくつかピックアップいたします。
①謎のアニソン歌手
まず全音楽リスナーの大半を占めるであろうライト層の反応は
おそらくこちらに含まれると思います。
「謎」「願い事ひとつだけ」「氷の上に立つように」
いわゆる初期楽曲に代表される、
アップテンポなのにそれと相反する抑揚のない歌唱が印象的で
それがある意味ぶれない意思の強さみたいなものに感じられ、
且つ無垢な歌声がみずみずしく、アニソンとしてとても聴き心地が良い。
今はまたちょっと違うのかもしれませんが、
当時のアニソンファンって結構繊細で、
アイドルと同等の処女性といいますか、擦れた感じではなく
汚れのない神聖なものを求める傾向にあると分析しておりまして
小松未歩もそこに相反しない受け入れられ方をしていたのかな、と。
されどメディア展開は全くせず、
それでも大型タイアップを次々と獲得していくさまは
ポジティブな歌詞とも相まって
それこそZARDとの類似性で売れたアーティスト
という方がいるかも知れません。
コアなファンは反発すると思いますが
多分世間的なイメージはこれだと思いますよ。
②仄暗い孤高のシンガーソングライター
長く聴いていれば気づくのですが、
半数くらいの楽曲は悲恋を思わす内容になっており
暗くなくても穏やかな曲調での展開が多いですし
しかも全作詞作曲が彼女本人によるものです。
アニソンタイアップ等でキャッチーな楽曲をリリースする一方で
カップリングやアルバム曲こそ真骨頂、
と捉える傾向は小松未歩に限らず存在する価値観ですよね。
当時でいうとロックシーンなんかが特に顕著で
THE YELLOW MONKEYや黒夢なんかは
本人の口から「表題曲は大衆向け」なんて趣旨の発言もありました。
実際、現在も日常的に小松未歩分を摂取している熱心なファンは
好きな楽曲として盛り上がりのない暗い曲を挙げていませんか?
まぁ、私の持論で
歌詞まで読んでる音楽好きは少ないという前提ではありますが
楽曲の雰囲気というのはオケやメロディに比重が置かれがちなので
そういう意味ではあまり他のアーティストが主流としない
悲しげで儚げな楽曲がアルバムの大半を占めるとあらば
やはりそれを「らしさ」と評するのは最も正解に近い気もします。
③歌詞の内容から受け取る芯の強さ、夢への渇望
歌詞を読み進めてみると、恋愛と天秤にかけた結果、
夢を選び自分の道を決めるという描写が多いことに気づきます。
これもあまり他のアーティストでは見られない傾向ですね。
おおよそ、「何より君が大切だよ」的あなた至上主義や
「君に想いが届かない」的利己な失恋思考や
「夢に向かってなりふり構わずつっぱしれ」的無責任応戦や
「君と夢が大事だよ」的よくばり仕様に終止すると思います。
もちろんそういった楽曲も存在しますが
それにしても外的要因で「恋を諦める」表現が
ここまで多いのは珍しい気がします。
いえ、正確には女性シンガーでは珍しいというだけで
ラブソングを重視しない男性アーティストでは間々見られるため
別段特別な歌詞ではないのですけどね。
障害が多いほうが燃え上がる、
のほうがエンターテインメントでは主流ですが
「障害があるなら私はいいや」ってなるのはなんとも稀有。
女性シンガーソングライターの作品と少女コミックは類似性があると
個人的には思ってるのですが
矢井田瞳とかaikoなんかは顕著ですよね。
浜崎あゆみもある意味でそう。ケータイ小説っぽいというか。
そういう意味では小松未歩はあまり少女漫画っぽさは感じないのです。
「ぼく」が一人称である必然性を、私はそこに見出しています。
余談ですが、
同じく「ぼく」が多いGARNET CROWはまたちょっと違いますけどね。
こちらはフィクション性といいますか
もっと俯瞰した視点が多いので、性別という概念が邪魔で
「ぼく」が多いのかな、なんて思ってます。
前回の記事の捕捉
以上が、あくまで「小松未歩は大好きなアーティストの一人」である
私なりのJ-pop評なわけですが
初めに述べた"小松未歩を意識したタイミング"が深く関係してまして。
とりあえず『謎』から曲だけはなぞってきて
レンタルしてきた「everywhere」の『No time to fall』に違和感。
※その違和感というのは、てっきり
普遍的でポジティブなよくあるビーイング商法でいい曲作る人
というイメージだったのに
どこがサビかもわからないキャッチーさのない悲しい曲が
この大型タイアップに囲まれて収録されていること。
もちろんB'zやMr.Childrenなんかでもそういう楽曲はありますが
そこには物語性や必然性を感じたり
まぁ歌うだろうなぁという予感もなくはないのに対し
これに関しては沼の底からこぽっと泡が立ったような不意打ちで
でもなんだかそこに本質みたいなものが滲み出してきたのではないか
という、違和感はあるけど異物感でもないと言うか、
なんか不思議な感覚。
のちのちそれは"腑に落ちる"に変わったわけなんですけど。
その直後『Love gone』で引き込まれ以降は購入するようになり
そこからの楽曲はバシっと耳朶に叩きつけられるというよりは
じわじわとステータス異常のデバフで削られるような
わかりやすくない楽曲に惹かれていったわけです。
よって。
・全てなげうってでも恋を選ぶような表現
・全ては祝福してくれると確信している
・わかりやすく幸せを感じている
辺りが、小松未歩"らしくない"と一言で言ってしまった要因となります。
実際は「ドラマティックではない」とか
「睫毛をなぞる」→起きる→「おはようとなる」因果的短縮表現なんかは
小松未歩っぽいと思ってますけどね。
ただ一気にJ-popの王道に接近したなぁ、という
もしくは1st2ndの表現に回帰したなぁとも思ってますし
空気感は『雨が降るたびに』と似てるかなぁとか
地続きとも感じています。
つまり3rd4thあたりを小松未歩の本質と捉えている私なりの感想というか
そんな感じです。
5thもだけど5thはまたちょっとフィクション性を感じてたり、
6th以降は吹っ切れた感。とか。
……全部オレの思い込み!(長井秀和風※古い)
まぁただの一曲にすべてが詰め込まれてるわけではないですし
解釈も正解がわからない以上、
ただの音楽を使った思考遊びと思ってもらえたら幸いです。
自分らしさってなんだ
私はなんというか、思考を言葉で表現することが苦手なので
口頭ではどうも瞬発的な反応しかできないんですよね。
文字で表現するのは得意なので
チャットでの会話のほうが本質的かもしれません。
アウトプット耳で感じる言語ではなく
目で追える文字のほうが正確な気がしてるんですよ。
耳は音楽で馬鹿になってるのかも。
ということを踏まえまして。
「えいちびぃらしさ」って、なんでしょうね。
表面的なものと内面的なものってだいぶ違うと思うんで
まぁ答えは合わないんでしょうけど。
悲しい曲が好きそう、とか?
音楽以外興味なさそう、とか?
神経質そう、繊細そう、とか?
優しそう、とか?
不健康そう、とか?
実際。
アップテンポなほうが好きなんでそれで悲しい曲って珍しいですし
二次元やお笑いやスポーツが好きですし
超適当ですし
他人に興味ないので優しい以前の問題ですし
健康診断でひっかかったことありません。
結局「らしさ」ってのも
あくまで多面体の一箇所だけをフューチャーしただけで
本質とは程遠い言葉なのでしょう。
Afterword
というわけで、次のラジオでどうやら
「らしい」「らしくない」論争も展開するようなので
こちらをその台本とさせていただきます。
てかねー、先月note更新落ちたじゃない?
一回筆が止まるとだめねぇ。
全くやる気が起きない!
というか、
起きる気が起きない!!
仕事の反動でほんとに寝てばっかりです。
まぁ、半年ぶりにまた借金減らせてるから前進はしてるか……
寝なければ割と落ち着いてるんですが
一度寝るとほんとに用事があるまで寝てしまいますね。
今月もそこそこ仕事があるので就業に励みます。
自分らしく行こう、なんて私は言いません。
らしくなく塞ぎ込んでる現状も
もしかしたら
しっかり自分と見つめ合いたい自分らしさなのかもしれません。
ぜんぜんnote読みに行けてないので
また数週間前の記事にいきなりコメント失礼するかもです。
よしなに。
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