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私の”痔”ストリー③
今回は、壮絶な手術編でございます。
痔の手術前、後のお話は先日記事に致しましたが、こちらは凡そ10年前に私が経験した一事例です。
ではどうぞ。
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痔の診察からしばらくして。
青春を謳歌するあまり、痔の進行を見ないようにしてきた私ですが、いよいよ痔の「奴」も、本格的に牙を剥いてくるようになりました。
やむにやまれず、再度の検査と相成ったわけであります。
そこで行われたのが、
「内視鏡検査」
でした。
尻の穴からの「下血」というのは、胃腸の疾患が隠れている可能性があるため、念を入れて調べておこうじゃないか、と決まったわけです。
にしてもです。
あの下剤を飲む、という最初の手順。
あれが辛かった。
腹が下りそうなのに我慢しなければいけないという拷問のような時間。
そして、複数回の排泄の後、腸が空になったところで例の黒いホースのようなカメラをケツの穴から突っ込まれるのです。
そのカメラを見た私、心に去来したのは、
「そんなの入らないよぉ・・・」
という思いでした。
心が処女になってしまいました。
しかしながら、避けることは叶いません。
そして・・・
ケツの穴にカメラがイン!
その刹那、「おごごごごぉぉ」と声にならない声が出ました。
そして、診察台の隣にあるモニターには俺の腸内が映っています。
そこで爺さん医師曰く
「ほら見てごらん。凄いね。腸の入口がただれているよ~」
と、まるで風光明媚な山にでもいるような口調で語りかけてくるのです。
「それどころじゃないっず。早く終わらせてくだざい・・・!」
と話す言葉の端々に濁点が付いてしまうような苦しさの中で、俺は訴えてしまいました。
あれは苦しいですね。出来れば、経験したくない時間でありました。
そして、どうにか地獄のような内視鏡検査を乗り越え、特に疾患も見つからなかったことで、やっと本題に入れました。
「このところ痔がとんでもなく飛び出してしまうのです」
と僕は爺さんに訴えました。
「んじゃ、トイレで息んで出してきてごらん」
言われるがまま、トイレで息んで、痔を突出させます。
「い、痛ぇ・・・」
そして、ペットボトルの蓋(鬱血)に似たいぼ痔を露出させたまま、小鹿のような足取りで診察台に戻り、爺さん医師に患部を見せます。
すると、
「あ、これはダメだわ。うちじゃ手に負えない」
と、爺さん、急に凛々しい、真剣な顔になりました。
そして、再び小鹿のような覚束ない足取りでトイレへ戻り、飛び出た痔を押し戻してきた俺に、爺さん医師は、
「うちじゃどうにもならないから、紹介状書くよ。そこで手術をしなさい」
と、初めて見るような真剣な眼差しで伝えてきたのです。
「あぁ。俺のケツの穴はとってもヤバい状態なのだな」
とそこでようやく認識をしました。遅ぇよ、馬鹿。
後日、紹介された病院へと紹介状を携えて向かいました。
駅は、よりにもよって新大久保。
病院へと続く道は、韓国系の食品(唐辛子を始めとした香辛料など)を扱う店が並んでおり、通りを歩いているだけで痔が悪化しそうな道のりでした。
そんないわば「とんがらしの森」を抜け、やってきた総合病院。
診察を受けようと紹介状を受付で渡し、順番を待ちます。
そして、名前が呼ばれ、診察室へ。
そこで出会ったのは、
「ヤブのドクターマリオ」とでも言いたくなる顔色の、髭のおっさんでした。
と、同時に、先ほど受付で待つ間に観た各科の医師の写真を思い出しました。
「副医院長かよ、この人」
そう、このドクターマリオはとっても偉い人だったのです。
「顔色は悪いが、信頼できそうだ」と思いました。
そして、診察。
前回の爺さん医師とは違ったポーズを要求されました。
例えるなら、「一人恥ずかし固め」みたいな。
仰向けの状態で手をクロスさせて、膝を両側に突っ張るようなポーズを取らされました。
ここでも触診。最早、恥の概念すらありません。言われるまま、ポーズをとるだけです。前回は爺さん、今回はドクターマリオ、それだけです。
「これはⅣ度だな。手術した方がいいよ」
と、ドクターマリオ。
後で病院から「痔のことがわかるハンドブック」というのを貰って、それから知るのですが、痔というのは、その進行具合によってⅠ度~Ⅳ度までランク付けされており、Ⅳ度というのは手術が必要な状態を指しているのでした。
「・・・そうですか」
最早、止む無し。
そして、実家へ連絡を取り、手術の日程を決めることになりました。
別室でドクターマリオ、看護師付き添いのもと、手術の日程決めをしました。
余談ではありますが、その頃の私は華の学生時代。
サークルに所属し、友人たちと授業をサボタージュして、他愛も無い話をする日々でした。
そして、サークルというのは、年に何度か合宿や遠征といったイベントがあるのですね。
手術の予定日は、そのサークルのイベント時期に被ってしまいました。
が、ケツの穴もエマージェンシーなのです。
念のため、ドクターマリオに確認します。
「あの・・・手術の後はすぐ動けるようになるでしょうか。例えば、外泊とか」
すると、マリオ
「そりゃ無理だよ。しばらくは安静だよ」
ガックリでした。さようなら、青春の思い出。
こうして俺は失意の中、人生初の手術(しかも痔)に挑むことになりました。
次回は人生初の手術編をお送りいたします。
続く。
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