私の”痔”ストリー②
その①は下記よりお楽しみください。
私と痔との格闘の歴史、第2弾でございます。
今回は、肛門科デビューからお話してまいりましょう。
ではどうぞ。
私は、高校時代、初めての肛門科を受診することになりました。
その頃はまだ実家暮らしでしたので、近所にある肛門科を地図で調べ、やっと探してきて、受診することにしました。
そこは、自宅から自転車で10分ほどの、小さな肛門科の医院でした。
中は、人がまばらな待合室。
母と二人、俺はケツを押さえながら待ちます。
そして、看護師さんから呼ばれ、診察室へ。
そこで待っていたのは・・・
爺さんでした。
それはそれは、にこやかな、お爺さん医師でした。
そして、診察開始。
指示された通り、診察台に仰向けに寝そべり、下の服を脱ぎ、
あっという間に下半身だけが生まれたままの姿になりました。
次に指示されたのは
「自分で膝を持って、外側へ開いてね~」
というものでした。
俗に言う”ち〇ぐり返し”の体勢です。
恐らく、男がする姿勢の中で言えば、恐らく土下座よりも恥ずかしい姿を晒すことになりました。
自分の下半身を晒すだけならまだしも、さらに恥ずかしいポーズを要求され、思春期の少年のプライドは粉々になりました。
しかしながら、こちらも「必死」なのです。従う外ありませんでした。
そして、
言わずもがな、
「触診」
爺さん医師の指が
俺のケツの穴へ・・・イン!
「うっ!」と呻くほどの、これまでにない痛み。
続けて、「ああぁ・・・」と力のない声が漏れていました。
これは正しい医療行為には違いありません。
しかしながら、年端もいかない俺にとっては、爺さんの指によってケツを弄ばれてしまったことに他なりませんでした。
そして、
「君くらいの歳にしては立派なのがあるね」
「そ、そうですか・・・」
こちらは息も絶え絶えなのです。
そして、一通り診察を終え、
「君、辛いもの好き?とんがらしとかワサビとか。そういうのは控えてね」
と、爺さん。
「それしか言わんのか!人のケツ弄っておいて!」
と思ってしまったのを今ここで白状します。
その後、薬局にて座薬を貰って帰りました。
その坐薬も、入れるのがなかなか躊躇されましたが、治るためには仕方がありません。
これが初めての肛門科での体験でありました。
それからしばらくして。
10代後半、俺は青春を謳歌するあまり、ケツの痛みを有耶無耶にしてしまいました。
俺の好きな『範馬刃牙』という漫画に郭海皇という中国拳法・最年長の拳法家が出てくるのですが、この人がこんなセリフを言っています。
「日々がいかに幸福でも——
日々がいかに過酷でも——
人はその環境にやがては対応し
遂には慣れる」(『範馬刃牙』26巻より)
そして・・・
俺もこの境地に達してしまったのです。
最早、排便の際、ケツから「いぼ痔」が飛び出してくる、それがデフォルトになってしまったのですね。
絶対にデフォルトであってはいけない「機能」がケツの穴に「実装」されてしまったのです。
そして、俺は学生になります。
決定的な事象が起こります。
そう、「お酒」との出会いです。
お酒は胃腸を弱くしますし、痔にも悪いです。
そこから俺の「痔」は加速度的に悪化していきました。
ある日、いつものように排便していると、
「ぴちょん」
何?水の音?
トイレのタンクの中から?
いや違う・・・
「ぴちょん」
これは・・・便器の中だ!
ふと便器を覗き込むと、そこには血溜まりがありました。
「ひゃーっ!」
ケツは痛いし、血は止まらないし、軽くパニックになりました。
しかし、排便が終わらないと便所を出られないのです。
そして、ケツを拭いて・・・うわ、紙が真っ赤だ、怖い!
ほんで、いつものように飛び出した痔を押し込んで・・・
えっ?
何これ?
君、成長し過ぎじゃない?
もうペットボトルのキャップくらい出てない?
っていうか穴に戻らなくない?
なくなくない?
なくなくなくなく・・・
ってブギーバックしている場合ではなく。
こうして、飛び出した痔が素直に戻らなくなる、という前代未聞の出来事が起こりました。
しかし、まずは大学へ・・・と、脂汗をかきながら、どうにか気合いで押し込みます。
私は、どうにか、怒れる痔を治めました。
そして、授業。
しかしながら、授業が終われば、仲間と会いますね。
会話が弾みますね。痔のことはすっかり忘れております。
そして、学生ならではの酒盛りへと進むんですね。
酔っ払って帰って、そのままやがて夢の中へ・・・です。
そんな感じで、明らかにエマージェンシーな状態のケツの穴をどうにか忘れながら生活しておりました。
そこからの人生、排便の際、けっこうな頻度で便器に真っ赤な花が咲くことになったのです。
もう、毎朝貧血。
最初血に染まった便器を見た時は卒倒しそうになったのに。
しかしながら、あまりにも主張の激しい痔、毎朝の出血、自力で戻すのにも限界がやって来ました。
このままだと、ケツからペットボトルの蓋(鬱血してる)を飛び出させたまま生きることになり兼ねませんから。
私は止む無く、再びあの医院の門を叩きました。
そして、再び人生で初めての出来事を体験します。
今回は「内視鏡」です。
それは、
「ケツの穴を弄ばれるだけならまだよかった。これは新しい拷問だ」
そう思うような体験でした。
その③へ続きます。