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進撃の狂人

メガネ「どうやら俺たちの学校に狂人が現れたらしい。お、6だ」

オタク「狂人?急に車道に飛び出して車のフロントガラスをたたき割ったりとかか?やべ、2だ」

デブ「オタクが言ってるのは不審者の類じゃないの。4だ」


ここはとあるボードゲーム部の一室。3人の男子部員は人生ゲームに興じていた。


メガネ「体育教師の植村っているだろ。」

オタク「水筒に必ずイチゴミルクを入れてることで有名なあのゴリラか?」

メガネ「そう、その植村。で、俺バレーボールの授業中にゲームを没収されたから取りに行ったんだよ。体育館の準備室に。」

デブ「え?バレーの授業中に?」

メガネ「変なとこ突っ込むなよ。」

オタク「いや、ツッコむだろそりゃ。メガネ、お前は相変わらずそういう感性がバグってるな。」

メガネ「まぁ重要なのはそこじゃないんだよ。で、準備室に入ると妙なものが目に入ったんだ。」

デブ「妙なものって?」

メガネ「飲みかけのブラックコーヒーさ。俺は銘柄とかには詳しくないが、たぶんインスタントじゃない、ちょっといいやつだと思う。こう、青い山が描いてあるパッケージの。」

デブ「それのどこが妙なのさ。」

メガネ「あいつ、緑茶も飲めないぐらい苦いの無理なんだぜ?それがブラックコーヒーなんて手を付けるわけないだろう。」

デブ「もしかしたらあれじゃない?近くに手提げの袋か何かなかった?」

メガネ「ああ、確かにあったけど。」

デブ「それだよ。きっと先生の誰かからプレゼントにもらったんじゃないの?だから口をつけないのは悪いと思ってチャレンジしたけど途中で飲めなくなっちゃったんじゃないかな?」

メガネ「いいや、違うね。植村が狂人だからだよ。」

デブ「そうかなー?ゲームを没収されてムカついてるからそういってるだけじゃないの?ねぇ、オタクもそう思うよね?」

オタク「黙ってろデブ!!植村が狂人だからに決まってるだろうが!!!」


シーーン


デブ「お、オタクまでどうしたの?いつもなら真っ先にツッコむくせに。」

オタク「そういえば俺も植村の妙な行動には覚えがあるんだ。おれは日課の中庭の散歩をしてたんだが、その日は体操着を忘れてな。仕方なく上裸で散歩してたんだが、」

デブ「いやいや、制服着ればよくない?」

オタク「しょうがないだろ、ガサガサして落ち着かないんだから。ま、その日は偶然忘れたのが上だけだったからよかったんだけどさ。」

メガネ「下忘れたら履かないつもりなのか……」

オタク「中庭を上裸で散歩してたらバーッと植村が走ってきたんだ」

オタク【先生どうしたんですか?そんなに慌てて】

植村【逆にお前はなぜそんなに落ち着いていられるんだ。いいから服を着んか!】

オタク【い、嫌です!!何引っ張ってるんですか!】

植村【教室に連れて行くに決まっているだろ!】

オタク【そうやって無理やり教室に連れ込んで何するつもりなんですか!!いやー!!この変態教師!!!】

植村【こ、こらなんて声出してんだ!】

ざわざわ……

男子生徒【植村ってアッチだったのか……】

女子生徒【オタクもう脱がされてない……?】

植村【ご、誤解だお前たち!!】

メガネ「自供?」

デブ「もう植村とかどうでもいいよ、オタクが怖いよ俺」

オタク「落ち着けってここからだから」

デブ「オタクはもうちょっと慌てなよ」

~多目的教室~

植村【お前なぁ、もう少し恥じらいというものを持て。まだ学生だからいいものの、大人になってからは社会は厳しいぞ。だいたい……】

てってれてってッてってっててん♪(マリンバ)

植村【はい植村です。え?はい。わかりました。すぐに。はい、ははははは笑】

オタク(あの植村が笑ってる?)

植村【今日はもう帰れ。】

オタク【え?いいんですか?】

植村【あぁ、ちょっと急用がな。】

あの植村が途中で説教をやめて帰っていいなんて。これは何かあるぞ。そう思って後をつけたんだ。

オタク【あ、あれは!?】

中庭に植村がいたんだ。ちょうど俺が散歩していたあたりに。あたりをきょろきょろと見渡す。

植村【ふぅ……誰もいないな。】

そう言って植村は

植村【元気に育てよ。フフフ】

花に……水をやっていたんだ。ほほ笑みながら……はぁはぁ、多分ラベンダーだったと思う。

俺は全身に悪寒が走ったよ

デブ「ただのいい話じゃん」

メガネ「おろろろろろろろ」

デブ「嘘でしょ?ちょ、すげー吐いてる!!」

オタク「間違いなく狂人だよ。メガネもそう思うだろ?」

メガネ「おろろろろろ」

デブ「二人ともなんか勘違いがひどくない?そんなんじゃいつまでたっても彼女できないよ?」

ピタっ

メガネとオタクは完全に停止した。コロッケの五木ひろしロボとちょうど同じポーズで。

デブ「あ……ごめんごめん、ちょっと言い過ぎたよ。」

ガラッ

部室のドアが開く。

萩村「おっす~、ボドゲ部のみんな元気してる?久しぶりにアタシもゲームしたくなっちゃった。何してんの?人生ゲーム?」

デブ「あ、萩村先生こんにち……」

メガネ「こんちわっす先生!!!!!」

オタク「こんちわ!!!!!!」

萩村「あはは、相変わらず元気だね~お前たち。」

メガネ「と、ところで先生!」

萩村「ん?なぁに?」

メガネ「その、この間差し上げたプレゼントのことなのですがデュフ、その気に入ってもらえたでしょうか??なんてwデュフw」

萩村「あ、あーね。うん、めっちゃセンス良かったよ。超好き」

メガネ「お、おうふ……よ、よかったーーwww」

デブ「……」

オタク「ぼ、僕の上げたプレゼント、は、えっとその、飲んでいただけましたか??」

萩村「うん!バッチグーだったよ!サイコーにアタシの好きな奴だった」

オタク「す、好きってwwあ、コーヒーのことねwwか、勘違いしてまうやろ!!wwみたいなww」

デブ「……あの、萩村先生、ちょっと耳貸してもらっていいですか……?」

萩村「ん?なぁに?」

デブ「もしかしてなんですけど、二人からもらったプレゼントって『青い山のパッケージのコーヒー』と『ラベンダー』だったりします?」

萩村「?そーだよ。それがどうかした?」

デブ「それは……」

メガネ「何二人でごにょごにょやってんだよ!!ww」

オタク「早く歩もうぜ素晴らしき人生をよ!!ww」

デブ「……いえ、なんでもないです」

萩村「そか。おーっし、お前ら準備しろ。アタシのは最高に可愛い駒にしてくれよー!」

ワイワイガヤガヤ

デブ(この話はいつか同窓会ででも話そう)

メガネ「お、オタク『告白に失敗!振出しに戻る』だってよ!!ざまぁwww」

オタク「チックショー!!俺のバラ色の人生が!!!」

萩村「アハハハハハハハwwww」

デブ(でも今は絶対に笑っちゃいけないなコレ)


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