オタク生活55年が語る若きクリエイターを”AWAKING"=覚醒させるヒント㊱
私的 ポートフォリオのチェック論
ゲーム会社で採用する側であったのは20年以上前のことですが、その時のポリシーを変えずに、20年以上グラフィックデザイナーやアニメーターの就職活動用のポートフォリオも指導してきました。その指導で、一定の成果を上げてきたことを考えれば、それなりに通用する考え方かな?と思います。
今回は、その辺を学生向けと指導者向けに書きたいと思います。
(ちなみに、本日の扉絵に移っている卒業生は、非常に良いポートフォリオを作成し、モデラ―として大手企業に就職しています)
これから語るのは、ゲーム開発会社にグラフィックデザイナーとして就職活動を行う場合の提出ポートフォリオに関する発言です。別の意図で描かれたポートフォリオやイラスト集を否定するものではありません。
僕の、ポートフォリオ確認基準。基本はシンプルです。
ある程度、形がしっかり把握・再現されている状態で、”面倒くさいことから逃げていないか?”を重視しています。
例えば
①猫耳で②手は固く握っているか、後ろ手③スカートはロング④靴はブーツ
ここまで揃っているイラストを見たら(好きか嫌いかは別として)応募作品としてはかなり評価を落とします。また、この類のイラストがポートフォリオの10%を超える枚数入っていれば、僕としてはNGを出します。
”絵描き”の方は、割と納得じゃありませんか?だって
①複雑な構造の耳を描くのを嫌がっている
②複雑かつ、きちんと描かないと違和感が残る手・指の表現から逃げている
③膝関節を含めて、上半身を支えるポーズをとる足の表現から逃げている
④複雑な足首の表現から逃げている わけですから。
あくまで、上記の発言は、ゲーム開発会社を受験する際の提出作品に関する作品に関してで、上記の特徴をもつモジモジ系のキャラを顔の表情変化で見せる意図のアドベンチャーゲームのヒロインは有りだと思います。当然、当該作品においては90%以上のイラストが上記の状況だとしても問題なしだと思います。(個人的には、声・上田麗奈だとアリアリだわ)
しかし”画力”を示す事、”画力を上げるために挑戦を続ける事”を示さねばならない就職活動用のポートフォリオにおいては、マイナス要素が多いと言わざるを得ないです。さらに背景が白、イメージ背景、写真加工であれば…私のイライラゲージは、かなり上がります。
40枚のうちの2、3枚がそのパターンで、他の作品において”基礎画力”や”難しいことから逃げないで挑戦している”(基準値を超えていれば、加点になりますよね)場合は、趣味嗜好だなぁ(笑)と思います。
ただ、その場合でも”手抜きに思われる可能性がある絵(3DCGであっても)”をポートフォリオの先頭に持ってくることはお勧めしません。大手企業においては莫大な応募数に対応するために、表紙、表紙から数ページで評価されるケースが多いからです。
応募者にしてみれば、ゆっくり見て欲しいでしょうね。
でも、考えて欲しい。相手=ゲーム会社のデザイナー陣は、クリエイティブ作業の合間に作品をチェックしなければならないのですよ。仮に2時間で100作品をチェックすると考えると、1ポートフォリオに対して平均2.4分の鑑賞。でも実際には、残すポートフォリオかどうかの判断に5分かけるのは普通。100応募作品から10作を選ぶ×5分=50分。そう考えると90作品を130分で見る事になる。もはや”ジャケ買い”の世界と言っても良い。
だからこそ”自分の得意技を見せる画像を表紙にもっていく”事で対応する事が重要なのだ。自分が好きな作品を表紙にもっていっても良いが、その画像セレクトは他者(できれば指導者)と相談して”得意技”が感じられるものにすべきだと考えます。
この指導、実は実例があります。ある若者のポートフォリオ。最初の”自分の生み出した世界を表したキャラとロボットの3DCGを表紙”にしたポートフォリオでは、大手だけではなく中堅のゲーム会社も書類突破しなかった作品集が、表紙を作品集の中ほどに入れていた”金属の光沢を表した画像”に変えた途端に、どこの会社からもOKをもらえるポートフォリオになりました。
結局、これは彼の得意技として会社入社後も磨かれて、その色彩感覚を活かしたゲームの企画者・ディレクターに当該人物は成長しています。
いかがだったでしょうか?当たり前の基本を書きましたが、これから企業への応募作品を作る方の参考になればと思います。明日は、特にキャラクターデザイナーを志望する方へのアドバイス”動き”を感じされるイラストについて書いていきたいと思います。
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