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原油産出国と為替経済

本日は原油と経済をテーマに勉強します。
アメリカエネルギー情報局EIA(Energy Information Administration)が公開しているデータなどを参考にしています。

1. 原油産出国と消費国


はい、突然のクイズですが、
世界で一番輸出生産量が多い国はどこでしょうか?

え、サウジアラビア?アラブ首長国連邦?って思った人も多いかもしれませんが、答えは


アメリカ合衆国


です。あ、簡単でした?ちなみに、下記が原油産出国のランキングになります(2017年)。

(https://www.globalnote.jp/post-3200.html より)

これまではサウジアラビアなど中東国が作るOPEC(石油輸出機構)が、需要供給バランスを握っていました。しかしアメリカはこの7年ほどで、劇的に原油の産出量が増加しており、サウジアラビアやロシアなどの国に差をつけ始めました(次図)。その理由はシェールガス・シェールオイルの量産技術開発と、その普及による恩恵が強いと言われています。同時に過去の王者サウジアラビアは生産量は減少傾向です。

(https://news.yahoo.co.jp/byline/fuwaraizo/20150618-00046708/ より)

【シェールガスとは】
シェール岩(泥岩)に含まれる石油の一種で、米国カナダで世界の7割が生産される。これまで生産が難しかったが、2000年初頭から強い水圧をかけ岩盤層に亀裂を入れることで、安価に大量な生産が可能となり「シェールガス革命」と呼ばれる。ちなみにシェールガスもある。

次に、生産と消費を比較してみます。

アメリカや中国は原油生産量が消費に追いついておらず、経済発展の著しさを伺うことができます。一方、サウジアラビアやロシアは、原油の輸出が多く、文字通り産油国としての印象が強いですね。

最後に各国の原油輸入量のグラフをみてみます。

まずアメリカはシェールガスの恩恵で国内生産量が増し、輸入に頼る量が減少しています。一方、中国や韓国は輸入依存が一層強まっていると言えそうです。

 原油 まとめ
産生量が増えている国:アメリカ、ロシア、カナダ、イラク、UAE
産生量が減っている国:サウジアラビア、イラン、メキシコ
輸入量が減っている国:アメリカ
輸入量が増えている国:中国、韓国

先日、アメリカはイラン原油全面禁輸の制裁強化を強行しましたが、この背景には自国の生産量増加および輸入量減少があるのは間違いなさそうです。世界生産量はまだ微増ですが(次図)、ベネズエラのように産油国が経済破綻をし、石油算出量が激減すると「第三次石油ショック」も起きかねません。

(石油の総生産量 グローバルエネルギー統計イヤーブック2018より)

2. 原油価格と動向

まず原油生産国は主に①アジア ② 欧州 ③北欧に集中していますが、原油価格はアメリカテキサス州沿岸部の油田で算出されるWTI原油: West Texas Intermediate Oilの価格が参考にされます。New Yorkにある商品取引所(NUMEX)で取引される「WTI原油先物」そのもののことです。ちなみにWTI市場への参加者はファンド5割石油会社2割金融機関2割個人投資家1割と、ファンドが占める割合がかなり大きく、全体の市場も小さめで流動性も低いとされています。

次に原油価格の推移の歴史を振り返ります。

(https://www.ig.com/jp/commodities/oil/history-of-crude-oil-priceより)

戦争や世界恐慌などに大きく価格は左右されていますが、直近の価格高騰はイラン・イラク戦争とイラク戦争後のアラブの春がありました。前者はイランが革命の最中生産及び輸出の削減を行ったため、価格が高騰し、後者はアメリカによるイラク侵攻が将来の石油供給を不明瞭にし、その後、大規模反政府デモ(=アラブの春)によるものでした。

冒頭にも述べましたが、これまではOPECが最大の影響を与える原油価格でしたが、今後はアメリカ経済が原油価格を最大に影響を与えると予想されます。

直近のニュースでは、アメリカとイラン核合意に関する問題があります。

【イラン核合意】
2015年にイランと6カ国間(米・英・仏・独・ロ・中)で締結された「イランの核開発を制限する」合意。イランは見返りに経済制裁解除を得ていたが、2018年5月トランプ大統領は「(合意には)致命的な欠陥がある」とイラン合意から離脱を表明した。

アメリカはイラン核開発疑惑に対する制裁の一つとして、「史上最強」の経済制裁を再開することを2018年に決定しました。さらに2019年4月にはイラン産原油のアメリカへの輸入を禁止し、同時にイランから原油を買う国々へも制裁措置の可能性があることを発表しました。

(40年間も対立するイランとアメリカ)

これら背景を受けて、アラブの春以降落ち着きを取り戻しつつあった原油価格は高騰を始めています

中期的な見通しに関しても、アメリカエネルギー情報局EIAは次のような見通しを発表しています。

(中国電力HPより転載)
EIAのレポートによると、現在の情勢で推移すると見積もられた場合(レファレンスケース)、2020年には75USD、2030年には95USD、2040年には109USDまで上昇すると予想されています。

まとめ
・原油価格はWTI原油が代表的な指標である
・近年はアメリカが原油産生および価格に対し、中心的である
・今後も原油価格は高騰すると予想される


3. 原油価格と為替相場

最後に原油価格と為替相場との関連性をまとめます。
原油先物価格はリスク商品であり、安全資産とされるUSDやJPYと相反する動きをみせます。

詳細は「リスクオン・オフの考え方」に書きましたので、参照ください。


そのうち「金(GOLD)」もまとめようと思います。
おわり

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