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【有馬記念無料予想!】人気薄で温泉へ!魂揺さぶる一頭

 きのう、風が強い下町で81歳の職人と話す機会があった。工房の扉を開けると大音量でラジオ日経が流れていた。「競馬が好きなんですか」と聞くと、「武のヤツ、出てても一銭も買うつもりはなかった」と、質問を先取りした。「メジロパーマーって知ってるかい?」と聞かれたのでリアルタイムではない旨を伝えると、32年前、ブービー人気で勝った大穴の話を柔和な笑顔で振り返っていた。一転、仕事を始めると眼光鋭く、喜寿をこえたとは到底思えぬ手際を見せてくれた。僕も32年後、2024年の有馬記念を語り継げるだろうか…今年も日々を重ね、生き続け、グランプリを迎える。その「普通」の喜びを噛み締める瞬間が有馬記念である。

 ネガティブなデータが多い馬がいる。
・偉大なる種牡馬、父・キングカメハメは勝ち馬を出していない。
・関東のリーディングの常連・堀調教師の管理馬は勝ち馬はおろか、
 3着にも来ていない。
・鞍上の鮫島克駿は41度のG1挑戦で勝ち星なし。
 でも、だからこそ、◎シュトルーヴェである。

 今年、鮫島が積み重ねた勝利はきのう現在99。全国リーディング堂々の7位でデビュー9年目にしてキャリアハイを更新した。その手綱捌きは充実期を迎える一方、G1では西村や団野、岩田に先を越された。G1が狙えるお手馬を次々と奪われ、失意のどん底にあった時、彼の前に現れたのがシュトルーヴェであることはジャパンカップの時に述べた。
 手綱を託す堀師はジャガーメイル、サトノクラウンで敗れ、ドゥラメンテはその舞台にも立てなかった。キンカメ産駒に残された時間は少ない。重ねて言えばG1未勝利の日経賞馬はデータ的に乏しく、目黒記念も同様である。では何故、シュトルーヴェなのか?答えはシンプル、「買いたいから」である。
 未勝利戦終了間際で勝ち上がり、気性難から去勢され、G1の壁にぶち当たっているシュトルーヴェ。
 佐賀の競馬一家に生まれたホープは大人の事情で名馬と引き離され、唇を噛み続けている。
 キンカメも堀宣行も有馬記念に振り向いてもらっていない。そのデータから人間が出した答えが「15番人気」である。
 弓は引けば引くほど強き矢を放つのは自明の理。重なり、追い被さる「負」を振り払おうとするとき「爆発」は起きる。大本命が消えたグランプリに人間が定めた陳腐なルールや常識など通用しない。100人のうち99人が絶望する狂気に満ちた結末を信じることは競馬の世界では許されるのだ。
 現在、鮫島は99勝、堀師は通算799勝!
メモリアルな勝利は32年の時を超え、ブービー人気馬が成し遂げるのである。

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