学生最後の日
朝9時半に起きるとスッキリのラスト放送がやっていた。
スッキリは物心ついた頃から今まで、我が家の朝には欠かさない存在だった。
加藤浩次さんの物怖じしないコメントが痛快で、何よりカッコよかったので、私はスッキリが大好きだった。(最後の最後で不祥事があったことが残念ではあるが)
4月から加藤さんのハスキーボイスを聞けない朝が始まるなんて考えられない。
そのくらい私にとって当たり前の存在になっていた。
そんなことを書いていたら、加藤さんに「スッキリ見れるの当たり前じゃねえからな」と突っ込まれそうだ(笑)
とにかくスッキリ17年間お疲れ様でした。
スッキリが最後ということで、私はふと我に帰った。
私の学生生活も今日で最後じゃないか。
今日は3月31日、金曜日。
今年度最終日なのだ。
(明日から休日なので、私が社会人として働くのは3日から)
今日を区切りに16年間の学生生活が終わり、明日からは社会人生活が始まる。
振り返るととても楽しい学生生活だった。
大好きなサッカーを思う存分やらせてもらえたし、留学も行けたし、旅行もたくさん行った。
本当に仲の良い友達も(何人かではあるけれど)作れたし、この16年間で本当にたくさんの人と出会えた。
実に愉快な学生生活だった。
こんな楽しい学生生活が送れたのも、両親のサポートがあってこそなので、とても感謝している。
普段は照れ臭くてあんま感謝の言葉を伝えていないけれど、今日くらいは直接「ありがとう」と言おうかな。
私は人生の夏休みを充分謳歌したので、これからは社会人として自覚を持って頑張っていきたい。
私の学生最後の一日は新生活の準備がメインだった。
朝からイオンのスーツ屋で来週の月曜から始まる研修に必要なものを揃えたり、家電量販店で5月からの一人暮らしに必要な家電を選んだりしていた。
午後からはスマホの修理と時計と財布の物色に多くの時間を費やした。
時計の方はあっさり欲しいものを購入することができたが、財布の方がなかなか欲しいものが見つからなかった。
好きなブランドの店舗や百貨店を回ったのだが、どれも決め手に欠けており、私は途方に暮れていた。
最後にしようと思い、伊勢丹で財布を探していると、見たことのないブランドの財布屋さんが目に入った。
私は店に入るや否や中央の棚に置いてある黒のレザー財布に一目惚れしてしまった。
上品な黒色ときめ細やかな縫われたステッチが品質の良さを物語っているように思えた。
40代くらいの髭が渋い店員さんは私にお店の説明をしてくださった。
どうやらこのお店は創業65年以上の北海道の鞄屋で、1週間限定で伊勢丹にブースを構えているらしい。
店員さんは自らが使っているワインレッドの財布を見せてくれて、大事に使えば10年以上使える物持ちの良い製品だと私に熱弁した。
決して人を惹きつけるような話術がある訳ではないが、一生懸命話す様子から自分が働いているお店の製品への思い入れがひしひしと伝わってきた。
私は迷いなく財布を購入した。
たった今出会ったこの財布が先ほどまで見ていたポールスミスやコーチの財布より輝いて見えたからだ。
店員さんは私に財布の手入れ方法をレクチャーしてくれた。
3ヶ月ごとに濡れたタオルで財布を拭いてやり、乾かした後クリームで磨くことで長持ちするらしい。
私は大事に使って店員さんみたいに10年以上使ってやるぞと決心した。
それと同時に店員さんのように自分の仕事に誇りを持ってるような社会人になりたいとも思った。
大学生活お疲れ様でした。