#33【而立の音楽遍歴 2】幼い頃に耳にしていた曲と再会した時の気持ち(230614)
どうも。30代lsksINFJ男です。
(l : lefty s : single k : kanojonashi s : sakoku)
今日は音楽遍歴の第二弾です。
前回の記事は下記よりどうぞ。
前回は、小さな頃に車の中で聞くともなく聞いていた楽曲が、自分の音楽の原点である(と思われる)というお話でした。
僕の場合、それはユーミンと竹内まりやでした。敬称略。
このお二人の楽曲とは、僕がだいたい17~20歳くらいの間に再会を果たすことができたのですが、その時の懐かしさと言ったらもう、並大抵ではありませんでした。
前回の記事では、当時の心の様子を「ずっと開けられずにいた記憶の箱が開いたような感覚」と言い表しましたが、もっと伝わりやすいに違いないものがあることに気付きました。
『千と千尋の神隠し』の終盤のシーンです。
千尋がハクの背に乗っている時に、忘れてしまっていた昔の記憶を思い出し、それを聞いたハクも自分の本当の名前を思い出すに至るという、ただただ綺麗なあのシーンです。
そこで千尋は(落下しながら)ハクと額を触れ合わせ、(落下しながら)「嬉しい」と言って涙するわけですが、幼い頃聞いていた音楽と再会した時の心境は、おそらくこの時の千尋の気持ちに近いと思います。
もう戻ることができないからこそ、ずっと忘れずに大切にしておきたい昔の記憶。
しかしながら人は気付かぬうちに、無自覚に少しずつ着実に、昔のことを忘れていく。
その証拠に、忘れていた記憶を思い起こすその瞬間まで、忘れていたことにすら気付くことができない。
忘れてしまった記憶は時折、ふとしたことがきっかけで、無意識の水底から意識の水面に浮き上がってくることがある。
その記憶を両手ですくいあげて、悲しみ混じりの嬉しさを以て慈しむような感じ。
再び忘れてしまうことのないように、でも壊してしまうこともないように、両手でしっかりと包み込んで、頭と心の大事な引き出しの中にそっとしまうような感じ。
思い出した懐かしい記憶が暖かい膜となって心を包み、守ってくれているような感覚があるかもしれない。
心が自ずと前向きになって、とりあえず明日も生きていくか、という気になってくるような気もする。ほんの少しだけ、人に優しくしてあげようとも思えてくるかもしれない。
なんとなく、だいたいそんな気持ちなんじゃないかなと思うんです。
千と千尋では、その記憶が物語の鍵となっていて、千尋とハクの絆をより深めただけではなく、それぞれの道を歩むこととなる二人の背中をそっと優しく押してくれてもいました。
千尋とハクのように、同じ記憶を誰かと分かち合うことができれば、その思いは何倍にも何十倍にも大きく強いものになるのだろうと思います。
宮崎駿監督は作品を通して、言語化することが難しいあらゆる感情を(いとも簡単に)僕らに追体験させてくれていますよね。
だからこれほどまでに人々の支持を得ているのかもしれませんね。なんてすごいじいさんなんだ。
これは千と千尋に限った話ではないかもしれませんが、ご自身の内に溢れる想い(千と千尋で言えば郷愁的な想い)、それにまつわる人々へのメッセージを、眼鏡で白髪白髭の頑固じじいの影を一切チラつかせずに、物語の中に吹き込まれているなと感じます。なんてすごいじじいなんだ。
(こんなことが当の老翁の耳に入ったりしたら「それは違う。あくまで千尋やハクがそこで抱いた感情だけが真実だ。そこに私の想いやメッセージ、意図などというものは含まれていない。分からぬかこのたわけが」とか言って怒り出しそう…。)
現に、千と千尋やその他ジブリ作品を観た後は、得も言われぬ柔らかい感情に包まれますもんね。
話題を音楽と再会した時の話に戻します。
僕はその時、千尋的な気持ちになると同時に、自分が成長してしまったことに対する、両親への申し訳なさのようなものを感じました。
大人になっちゃってごめんね、と親に謝りたくなりました。冗談交じりではあるでしょうが、実際に謝ったかもしれません。
この「成長してしまったことに対する申し訳なさ」は孫を見る両親の目を見ていても思いますね。
ああ、当時の僕らと重ね合わせて見ているんだろうな。懐かしい気持ちになって、歳月が過ぎてしまったことをしみじみと感じているんだろうな。自分たちに残された時間についても思いを馳せたりしているんだろうなあ。と。
そう思うと本当に泣きそうになります。
こんなんで僕は両親との死別を乗り越えられるのだろうか、と死別しないうちから心配になります。
ユーミンと竹内まりやの楽曲について、十数年ぶりに再会した時に聞き覚えがあるなと思った曲をざっと挙げてみたのですが、代表的な曲はだいたい幼少期に履修済みのようでした。
『春よ、来い』、『ANNIVERSARY』、『リフレインが叫んでる』、『輪舞曲(ロンド)』、『真夏の夜の夢』、『DANG DANG』、『真珠のピアス』、『シンデレラ・エクスプレス』、『守ってあげたい』、『恋人がサンタクロース』、『BLIZZARD』、『ダイアモンドダストが消えぬまに』…
『リンダ』、『もう一度』、『マージービートで唄わせて』、『プラスティック・ラヴ』、『元気を出して』、『駅』、『けんかをやめて』、『シングル・アゲイン』、『純愛ラプソディ』、『カムフラージュ』、『恋の嵐』、『毎日がスペシャル』…
両親には改めて感謝ですね。
彼らには特に恩返しをしないと後悔することになるだろうなあと、改めて思いました。
きっと両親と死別した後も、僕はユーミンや竹内まりやの曲を再生する度に幼い頃のことや両親のことを思い出しては、ちょっぴり寂しい気持ちになるのでしょうね。やれやれだぜ。
次回の『鶴瓶の家族に乾杯』もお楽しみに。
竹内まりや『けんかをやめて』
(兄と僕は母親がアカペラで歌うこの曲を耳にしながらよくけんかをしていました。1コーラスは平気で歌い切っていたので、母にけんかを止める気はあまりなかったのでしょう。)
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