Advent calendar (12/20)
●12月20日●
年末が近付き
歌謡祭や授賞式のため
A★NEntertainmentでは
A.N.Jellメンバーのみならず
スタッフもみな多忙を極めている
例年通り出演する歌謡祭では
どんな趣向を凝らして
ファンに特別な時間を楽しんでもらうかの
ミーティングが続いている
加えて
年明け早々には
カムバックも控えていて
クリスマスファンミーティングは
新曲、新アルバムのプロモーションの一つでもある
基本
自分なりのアイデアや方向性を示した後は
メンバーやスタッフに全権を委ね
絶大な包容力でバックアップに徹するタイプのアン社長だが
新メンバーであるコ・ミナムを迎えて一年が経つこの時期のカムバックには
いつになく積極的に指示を飛ばしていた
テギョンが手渡したクリスマスソングの
音源も早速その場で確認する
アン社長は身体を揺らしながら
目を閉じて音楽に耳を傾ける
余韻が消え去るまでそれは続き
静寂が訪れると
「ブラボー」と大きな声を上げた
「テギョン、すごく良いじゃないか
やっぱりおまえは天才だ」
社長に絶賛され
テギョンは口の端を上げ
微かに笑う
本当にこの人は大げさだ・・・
そんな風に苦笑しつつも
文句なしのOKがもらえたと理解する
手直しが必要とあれば
自分の努力を最大限に認めてくれながらも
話し合いを求めてくるのが常だったから
そこで最終確認として
テギョンはずっと抱えていた
疑問を投げかけてみる
「アン社長
プロモーションのための
クリスマスイベントなら
新曲か
アルバムの中の曲でなくていいのか?」
新曲、アルバムのプロモーションという意味を持たせるなら
その中の1曲をティザー公開するべきなのではと
テギョンは感じていた
けれども社長はワクワクとした表情で言った
「No problem!
問題ない!
年内に公開するのは
年明けにカムバックする
その事実だけで十分だ
A.N.Jellは新しい年を迎え進化する
新しい姿は新しい年になってこそ
オープンにするんだ
新しい年
新しいA.N.Jellの幕開けだ!」
両手を広げ
滔々とアン社長は語る
思えば気難しく
人付き合いが苦手である自分が
同じ場所で
ここまで長い時間を過ごしている事
それは奇跡の様にも思える
そして
それはこの人の元であるからだと
テギョンは思う
兄の様で
ある時は父の様で
そしてまた友やファンの様で
テギョンにとっては無くてはならない人なのだった
クリスマスイブまで
あと4日
一仕事を終え
テギョンは足取り軽く
エントランスへの階段を
駆け降りた