妊娠への近道について考えてみた
「拝啓 頑張るウーマンの皆さまへ」と題して、これまで私が20代、30代、40代で経験してきた「もっと早く知りたかったなぁ」をテーマに感じたこと、伝えたいことを後に続く頑張るウーマン達へのエールとして綴る、勝手に応援コーナーです。
最初のテーマは「妊活」について書こうと思います。
「もっと簡単にできると思っていた、妊娠」
私は疑いもなくそう思っていたけど、それはどうやら私だけでなかったみたいです。そう気づいたのは自分の妊活が終わってだいぶ後になってからのこと。同世代や後輩女子達が同じように呟く場面を何度も見聞きしたからです。
渦中にいる時はなかなか目や耳に入ってこないことってありますよね。
一口には語りきれない妊活問題ですが、わたしなりに感じてきたことを綴ってみたいと思いました。
【妊娠。簡単にできると思っていた。】
私は37歳で結婚したので子供が欲しいなぁと本格的に意識したのは30代後半になってからでした。
母が私を出産したのはちょうど30歳くらい。当時は30歳での出産はすでに高齢出産だったそう。私は年齢的には過ぎてしまったけど、全く焦っていませんでした。だって、時代も状況も違うから。実際、周りを見渡すと社会進出しながら30代〜40代で出産、子育てしてる人は本当に多い。だから私も周りと同じような道を辿るだろうとごく自然に考え、妊娠、出産することに全く何の疑いも持っていなかったのです。
ところが、いざ妊娠を意識してみると、これがなかなか、妊娠できないのです。
初めての焦り。
当たり前に描いていた人生設計図が予期せぬ事態で脆くも崩れるかもしれない。そんな不安にも駆られました。
そして、そこから能動的に調べて初めて知った(認識した)世の中の妊娠事情に私は一人愕然としました。
「年齢」そして「妊娠率」という大きな数字の壁。
35歳を過ぎると著しく妊娠率が落ちていくという現実。
「卵子の老化」や「高齢出産のリスク」という年齢に抗うことのできない問題の数々。
35歳、、過ぎてもうた・・・・・・(冷や汗)。
知っていたら、身の振り方をもっと早く、もっと真剣に考えていたよ・・・・・と(号泣)。
私が結婚を決めたのは34歳。その時、妊娠できる確率、いわゆる妊娠率としてはすでにピークのお年頃だったのです。
あぁ、この時もっと世間の妊娠事情についてちゃんと調べていたら私の取った選択は大きく変わっていたかもしれません(その時は悔)
でも、妊娠における一般常識に全く無知だった私は、妊娠は望んだ時にたやすくできるものだと軽く考え、キャリアアップを理由になんと結婚自体を先延ばししてしまったのです。。。34歳。まだまだこれから、と。
私は、「同年代や年上の女性たちが難なく普通に妊娠している(ように見えた)」&「自分は健康体だという過信」=「だからなんら問題なく妊娠できるはず(というか、妊娠できるとか、できないとか、そんなことは女性として当たり前と思っていたので意識すらしていなかった)」というなんとも浅い情報と推測だけで、あっさりと妊娠・出産という人生の大イベントを先延ばししてしまったのでした。
妊娠を、意識したならまず一歩。世の妊活事情を調べ汝の現在地を知るべし。
【40歳での妊娠。ラッキーなだけだったのか】
結婚したのは37歳、妊活をスタートしたのは38歳。
そこから数年間、私は世の中の妊活事情に振り回され、どっぷりと浸かっていくことになりました。
結果から言うと、私は不妊治療による高度医療の力を借りて幸いにも息子を授かり出産することができました。
妊娠したのが40歳。出産は41歳。
統計データでは、40歳での自然妊娠率は10%未満、不妊治療による妊娠率は25%未満。治療して4人に1人は妊娠できるならなんとかなるかも?と思ったものの、流産率も約20%と決して低くない数字です。(注)
出産まで無事に辿り着けたことを本当にラッキーだったと思うと同時に、一連の妊活を経験してみて色々と疑問も湧いてきました。
たまたま、運が良かっただけだったのかな・・・と。
本当に日本は少子化なのか?と疑うくらいに赤ちゃん連れのファミリーで溢れている街中。でも、不妊クリニックに一歩足を踏み入れれば、そこは赤ちゃんを待ち望む女性たちで溢れかえっているのです。1日にこんなに沢山の女性が、、と本当に驚き、妊娠は決して当たり前の産物ではなかったと自分の思い違いを痛感しました。
そしてクリニックには20代〜30代前半と思われる女性が本当に多いのです。
とかく年齢とセットで語られている妊活。もちろん人間の生殖能力を考える時、年齢の問題は大前提ともいうべき大きな要素かもしれません。だけど、それなら妊娠適齢期と言われる20代、30代前半でもどうしてこんなに不妊に悩む女性が増えているのでしょう。待合室でたくさんの思い悩む(ように見えた)女性達を目の前にしながら、妊娠・出産には単に年齢という括りだけで語れない様々な事情が絡んでいるのだろうということを考えずにはいられませんでした。
妊娠に必要な要素ってなんだろう。
【アラフォーの壁 数字!数字!数字!】
そんなクエスチョンが頭の隅っこに居続けながらも、わたしはまぎれもなく正真正銘のアラフォー。絶賛妊活中の私にはそんな疑問を追求している余裕などありませんでした。
前述したように、不妊治療をしても妊娠率は25%未満。そして妊娠できても無事に出産できる確率となるとさらに下がるのです。厳しい現実です。
クリニックの門を叩いた時に見せられた40歳での不妊治療による実績データ。これから頑張ろうと奮い立たせていた気持ちを維持させるのが大変なほど低い確率でした。
しかも、不妊治療における治療のステップは本当に細かく分かれていて、一つ階段を上がるごとに、その先に進めるかどうかの確率を突きつけられていくのです。まさにサバイバルです。
アラフォーで、妊娠率を間に受け過ぎると、進めない。。
【妊活は超絶ストレスフル】
妊娠への最短ルートを願い通い出した不妊クリニック。それは全て子供を授かるための前向きなアクションのはずなのに、タイムリミットを突きつけられての妊活は、幸せを感じるどころか本当にストレスフルなものでした。
「クリニックはどこにする?」「実績は?」「妊活を仕事と両立させるためにはどうする?」「その日、仕事休める?」「一回の治療にいくらかかる?」「助成金を利用するには?」「治療以外にできることは?」「治療はいつまで続けられる?」「夫のスケジュールは調整できる?」「妊娠できなかたら、、、どうする?」
・・・・・先を考えるだけで頭が痛くなる、ストレスフルな世界。
治療が長引くにつれ、四六時中頭の中は妊活のことばかりになっていきました。毎月生理が予定通り来るかなど、身体の変化も気になります。そして、毎月その日が近くにつれ私から発せられる半端ない熱量を感じ取ってか、なんだか夫婦関係の雲行きも怪しくなる始末・・(汗)。男女間の熱量は本当に違います。
そうこうしている間にも周りからは次々に妊娠報告を受け、1人だけ取り残されていく焦燥感にも苛まれていきます。
他人の幸せ喜べないってこういうことなのか、、と1人悶々としました。
時には自分を責め、ダメ人間とまで追い込んでしまっていたと思います。
結果がでないとドーンと落ち込み、やっと立ち直って次の月に期待するもまた結果がでなくてドーンと沈む。その繰り返し。
当たり前だと思っていた妊娠・出産がこんなにも難しいものだったなんて。。
同じく高齢出産ながら妊娠した人たちの体験談を貪るように読んだりもしました。そこには
「ストレス大敵!リラックスするように心がけたら妊娠できました」
「夫婦で妊娠を諦めたその翌月、自然に授かりました」
など、奇跡が起きたかのような経験談も多数。自分もそんな究極の境地に至るにはどうしたらいいのか?なんて不毛な考えばかりが頭を支配するようになってきていました。
でも。。。
違う。。。
妊娠は、頭で考えてするもんじゃない。
そんなことは百も承知でした。それでも「あなたの歳で妊娠できる可能性は数%ですよ」と泣きたくなるような数字を突きつけられると、なかなか現実を前向きに受け止められずに何かにすがりたくなっていたのだと思います。しまいには、これを読むと妊娠できる、などと噂のあった絶版&高額の書籍まで買ってしまいました。。(でも、その本はそれはそれで真理を言い当てていて面白く、深かったですが)
とにかく、自分も奇跡の起こる境地になんとかたどり着けたらと出来ることはやってみようともがきにもがいた日々だったのです。
【時計は巻き戻せない、今できることを】
でも、、、どんなに悶々としても、落ち込んでも若返れないんだから仕方ない。吹っ切れない気持ちを抱きながらも、少しでも今からできることをしよう。やってダメだったのならばその時はまた考えよう、とおきあがりこぼしのように進み続けるしかありませんでした。
そうして日常生活の中で、私が妊娠のために試してきたことはこちら。
・温活と運動(冷やさない努力。筋肉量を上げるためにカーブスに通う)
・お酒を控えめに(ついつい飲み過ぎてしまうので。。)
・食生活の見直しとサプリを摂り始める。
・妊娠鍼(ベストなタイミングで鍼を打つと効果的と聞いて)
仕事もハードで不規則に乱れがちだった私には抜本的な改革のように思えていたのですが、見返してみると妊娠鍼以外は妊娠のために特別、というより健康のためにはごく普通のことばかりですね。
妊活って何か特別なことをするわけではないのかも・・・・。
【私なりの境地】
そうして、できることをしながら治療がスタートしました。ところが、最初のステップである採卵に進むも、なんと、最初の2回は採卵ができなかったというこれまた愕然とする結果となりました。
採卵後の受精や着床が正念場だと考えていた私は、まさかの採卵ゼロの結果にまたドーンと落ち込みました。
スタートラインにすら立てない。。。クリニックを後に駅までの道のりを泣きながら帰ったこともありました。
だから3回目の採卵でようやく初めて1つ採卵できた時は、もうここで妊娠ができたような、全てが終了したような至福の境地になったものです・・・。
でも、ここからが正念場。まだまだ登るべき階段があるのです。気が抜けません。
採卵・採精→受精→胚培養→胚移植→着床→心拍確認
当事者にとっては本当に長い道のりです。
一つ結果を聞いてステップアップしたことに喜び安堵するも束の間、また次の課題試験に臨む受験生のような緊張状態に追い込まれます。
それでもなんとか順調にステップアップしていき、そしていよいよ明日は移植という日。体力づくりに通っていたカーブスでも心なしかいつもより力が入ります。
その時でした。
ギクっ・・・・・・・。。。
力み過ぎたのか、まさかのギックリ腰に。。冷汗
幸いたまたま居合わせた整体師さんに自宅まで送っていただき、その上施術までしていただきなんとか自力で起き上がれるレベルになったものの、今回のぎっくりは結構本格的。。。歩くにもカニ歩きのようにチビチビしか前に進めない!一度腰を下ろすと何かにつかまらないと立ち上がれない!こんな状態で、片道小一時間、電車に乗ってクリニックに向かい、流れ作業かつ事務的にどんどん進む検査や診察を受けれるだろうか、、、、(不安)。
その夜、わたしのノロノロと鈍い動きを見て、さすがに主人も今回は見送ったら、と慰めるように言ったのでした。
いやいや、無理無理、無理ーっ!
し、死んでも行ってやるー!
女性ならみなきっと分かってくれますよね、、この気持ち。。このチャンスを逃してはいけないという強烈な使命感が私を奮い立たせたのです。これが本能でしょうか。
そして5時起きで這いつくばりながらクリニックに向かったのでした。
数日後------
「着床してます」
そう言われた時、全くもって科学的ではないけれど、あのぎっくり腰で、整体師さんにマッサージしてもらったことが功を奏したとピンと感じたのです。身体の歪みが取れて血の廻りが良くなり、妊娠スタンバイの状態に近づいたのだ、と。不思議とそんな風に感じたのでした。
ぎっくり腰と奇跡的な出会いに感謝
着床後の妊娠継続率は約17%とまたしても低い数字を突きつけられながらも、わたしの中では数字に振り回されっぱなしの以前のような不安は少しずつ減りつつありました。
きっとなんとかなるだろう。
そんな風に思えるようになったのは、わたしの身体に根付いてくれようと必死に頑張っていた小さな命のおかげだったのかもしれません。
【妊娠に必要な要素ってなんだろう】
妊娠のために取り組めること。「妊活」というと何か、普段とは違う特別な行動をするようにも思いがちですが、前述した通り何も特別なことではなく、実は基本的なことばかりなのかもしれません。
そして、私にとって妊活での最大の学びは
「自分自身を優先する」ことはとても大事 (わがままに、ということでなく自分の気持ちに耳を傾け、今の自分をちゃんと尊重するということ)
でした。
これまで周りに流され合わせて下してきただろう数々の選択。でも、妊活を通して初めて自分の意思を問い(私の場合はキャリアよりも出産)、それを優先して行動することの大切さを教えてもらったのかもしれません。
知ることは大事。知識も、自分の現在地も。
実際、私は知らなかったが故にスタートが遅れ、本来は取れるべき選択肢が限られてしまったと思います。
でも、もしかしたら知った上でも、同じ選択をしたかもしれません。そして、ちゃんと比較検討した上で納得して選べていれば、その後の気持ちの持ち用もまた大きく変わっていたと思います。
繰り返しになりますが、年齢は女性にとっては容易に見過ごせない問題であることは確かです。でも、いわゆる適齢期を越える年齢になっても妊娠している人たちはたくさんいるし、昔は初産も早かったけど、子沢山だったから40歳を過ぎても出産する女性は多く、そう考えると、年齢が全てじゃないこともわかります。
だから、妊娠を考える前に、新しい命を育んでいく自分自身のことを、まずは一番に考えてみるのが結局は妊娠への近道なんじゃないだろうか、と思うのです。
自分自身が健康で幸せに日々を過ごしていることこそが、幸せな妊娠・出産につながっていく、と。
キャリアとのバランスをとりながら常に揺れながら生きる20 30代。
あなたにとって、今、何が大事なのか。
あなたにとって、この先、大切にしたいことは一体なんなのか。
何を優先するかは人それぞれ。でも、「いつかの日」に備えて、最大限に力を発揮するために、自分を大切にする過ごし方を意識し続けてほしい。
自分自身の人生の自由度を高めるために。
あなたの幸せのために。今できることはなんですか。
(注)(公益社団法人 日本産科婦人科学会 不妊治療による出生率等のデータ2009を参照して記載)
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