
With コロナとふんころがし経営
※2020年6月に書いたエッセイです。
ふんころがしは逆立ちして、足でふんを転がしながら後ろ向きに進んでいる。
1月のコロナウイルス第一波から今までを振り返っていたら、
『With コロナの経営はふんころがし経営だ』
という言葉が頭に浮かんだので、言葉にしてみようと思う。
新型コロナウイルスは誰もが全く予想できていなかったもので、自分も準備なんてこれっぽっちもできていなかった。
特に僕たちの会社はインバウンド観光客がメインのお客様だったのでものすごくインパクトがあった。
まるで、
今まで足で前を向いて走っていたのに、急に逆立ちして後ろ向きに走れ!
これまで座って手で仕事をしてきたのに、急に逆立ちしながら慣れない足で仕事をしろ!
と言われているような気分。
今までやってきた企業活動は全てストップ。
会社は生き物なので当然大量出血(キャッシュアウト)しはじめるので大急ぎで止血と輸血をしながら、
これまで誰も経験したことのないマネジメントを自己責任でがんばれ!と放り出されてもがいている。
少しずつ得られる情報を頼りに必死にマネジメントしているけれど、一体全体最後にどこに行きつくのかわからない。
この暗闇を走り続けているような感覚は、逆立ちして後ろ向きに走りながら慣れない足で仕事をしているようなものなのかもしれない。
ふんころがし状態だ。
ナショナルジオグラフィックの記事によると、ある種のふんころがしは天の川を見て方位を知るようだ。
地球に到達する何年も前に宇宙から放たれた光を頼りに、ふんをころがしているということらしい。
なんてロマンチックなんだ。。。ふんころがし。。。
転がしているのがもし「ふん」でなくて「ダイヤ」だったら、君は昆虫界のヒーローや愛の象徴になれたかもしれない。
話をもどすと、この過去の光のおかげで前に進めるという事実も、With コロナの経営に似ていると思う。
遠い昔に人類に影響を与えてきた感染症や、世界のより感染が広まっている国々からの情報が放たれた光。
そのあらゆる光を集め頼りにしながら、日本にいる自分の頭で判断して進むしかない。
ふんころがしのようだ。
コロナが長引けば長引くほど、きっとたくさんの経営者の心は折れてしまうと思う。
GWと夏休み需要を失えば、倒産ではなく廃業という形で多くが表面化する気がする。
1年以上逆立ちして後ろ向きで走り続けるなんて、普通は考えるだけで気が遠くなるし、強力なサポートが無いと簡単じゃない。
もしコロナの終息まで走り続けられるとすれば、走り続けなければならない強い理由を持つ経営者だけなんだと思う。
つまり、ふんを逆立ちして足で後ろ向きにころがし続ける強い理由がいるということだ。
ふと、なぜふんころがしはふんを転がし続けるのだろうか?という問いにヒントがあるのかもしれないと思い、調べたところ、二つあるようだ。
理由の一つは、ふんは彼らの大切な食べ物なので安全な場所まで運んで確実に食べたいから。
もう一つの理由は、ふんの中で子育てをするから。 孵化した幼虫は親が用意したふんの中で1年間ふんを食べて成虫になって外に出てくるとのこと。
そうか、そういうことか。
ふんがめっちゃくちゃ大切なものだから、ふんころがしなんだ。
極限の状態で運び続けられるもの。それは、本当に大切なものだけなんだ。
With コロナの経営に必要なものは、極限の状態で本当に大切なものを選び抜いて、ころがし(マネジメント)続けることなんだ。
ふんころがし状態だ。
今後1年程度は、経営者の生き方や価値観が問われ続けることになると思う。
そのプロセスを通じて、経営し続けることが正解ではないと気付いたのであれば、
廃業することも良い選択肢になり得るし、サラリーマンになたっていい。
幸せになる手段は経営を続けることだけではないのだし、またいつか挑戦することもできるのだから。
それでも多くの人は出来ることならこの危機を乗り切りたいと願っていると思うし、
僕もそう願っている。
じゃあ最後までころがし続けることが出来る経営者とはどんな人なんだろうかというと、
たぶん、どれだけ大きなふんを転がしているかが大切になるんじゃないかと思う。
ここでいう「ふん」とは、「大切な物」=「VISION、これまで歩んできた道、関わってきた人々とその想い」
どれだけたくさんの「ふん」に思いを巡らせることが出来るかどうかは、きっとコロナ時代の生き残りのKEYになる。
だからあきらめる前に自分だけが持つ自分にとって本当に大切な「ふん」に思いを巡らせよう。
そして、
ころがせるものならあらゆる手を、じゃなかった、手も足もを尽くして「ふん」を転がしつづけよう。
1分(ふん)たりとも無駄にはできない。
現実逃避してソファでふんぞりかえっている時間は、
ない!!