人材育成

世界で経済大国として名を馳せたのに、そのアドバンテージのある時にやらねばならないことは全く手付かずのまま、享楽を甘受するだけして結局愚かにも没落した日本。
このようにシュリンクした国内で、限りある予算をどのように配分するかのハレーションは当然ながら起きるだろうよ。

「やらねばならぬこと」とは社会福祉であり教育であり、災害対策であり。一言で言えば生活の保障であり、人材育成である。
こういう一見地味な、その場では結果の見えにくいもの、しかし国力保持という意味では最重要項目ともいえる部分への投資を怠ってきた。

また、軍事費のように「おじさん式マッチポンプ」の華やいだ感じや、がっぽり儲かる感じ、クールジャパンのような政治家の人気取りに利用できるメリットなど、いい顔したがり、利権に目がないおじさんと、そのおじさんに迎合することで出世したおばさんの顔をした、しかしある意味おじさんよりタチの悪い何名か、とにかくその人たちにとって予算を増やしたいところだけに費やしてきた。

我が国の愚かな政治家ばかりを責めるつもりは毛頭ない。市民一人一人の在り方にも、問われるべきことはある。それにしても日本国の中央政府は、横暴であり傲慢であり、まるで自分が公僕ではなく神にでもなったかのような振る舞いで、とても先進国のそれではない悍ましさである。

日本はこの社会福祉の部分を著しく欠いたまま、経済力を失い、もはやそこに財政を割り当てる元手も薄くなった。

現在の世界の潮流ー先進国では当たり前である人権感覚から掛け離れ続けている。

以前、アルゼンチン大使館の書記官補佐に、「クラスにお金を配って人気取りしてる奴(スネ夫みたいな)いるけど、日本もそんな感じ。」とシラっと言われたのは21世紀になって間も無くのことだったか、世界が日本をどう見ているかは分かってはいたが痛切だった。

先進国のprivilegeに抗い、地球規模での平等な社会を目指したい気持ちはあれど、それにするにはまず国際的な発言権、力を高めねばならず、資源は人口しかない日本は世界各国から頭ひとつ抜き出た何かを得なければと思い、それはまさしくどの国家もなし得なかったマイノリティ含む人権意識を高めて行くのはどうか?との持論を90年代から考えていた。あの時の日本には、体力があり、それは叶えられたはず。

しかしその後も、とことんまでそうはならず、世界をリードするどころか、世界の動きに乗ることもできず、人権後進国であり続ける。
社会福祉に舵を切らない国は先進国とは認められず、世界の話し合いのテーブルにすら付けなくなるだろう。世界は日本を「未熟な社会」と見做す。未熟な者の意見など誰が聞こうか。

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絵本業界にいるとよく分かる。
自分の承認欲求に絵本を良いように使い倒す人。
自分の役に立たなくなるやいなや、その人は絵本を簡単に放り出す。
絵本について真剣に考えているわけではなく、流行や自己実現のためだから、批評の視点がブレる。本気ではないからすぐに飽きるし、自分の人生のフェーズが変化すれば忽ち手放せるだけの気軽さをもっている。

ボランティアや誰かの情熱で成り立つ産業の脆弱さよ。情熱頼りでいる限り、永続的な発展は見込めぬ。長く続くサイクルシステムを構築しなければならなかったのに、出版界のお偉方も、所詮はただの守銭奴であったと。

絵本はそもそも子どもたちの心を育むためのものだったはず。その視点は果たして今、誰が持ち得ようか。

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心の底から「子どものため」に活動している人がどのくらいいるんだろう。

なぜそう思うかと言うと、作り手も届け手も、政治的な話題を軽く振っても乗ってこない。
乗ってこないならまだマシで、知らない、さらには興味ない。

子どものための絵本を作ったり手渡したりする人が、子どもの給食費問題やブラック校則や子ども食堂の蔓延、さらに性犯罪の司法の未熟さなどに、なぜ無関心でいられるのか、私にはそこが理解できない。

政治に目を向けた方が良いどころか、子どもの本に携わる人ほど、社会状況に詳しくなければならないのではないか。子どもが子ども時代を真っ直ぐに生きられるために絵本を作るなら、子どもたちを苦しめている社会構造にももっと目端を聞かせなければ、声を上げなければならないのではないだろうか。

もしも、絵本の読み聞かせボランティアを熱心にやっている人が、統一教会と癒着している政治家に票を投げたら?
もしも、絵本屋を熱心にやっている人が、選挙に行かなかったら?

猛烈なダブルバインドではないか?
私はそれらの矛盾を酷く憎むし、絵本に対するその人たちの情熱度合いを疑う。

絵本作家も同じく。編集者も同じく。
「絵本が売れない」などいいながら、まさか旧統一教会系の人に、入れてないよね?
絵本が売れないことと、旧統一教会系の考え方は絶妙にリンクしている。ちなみに、子ども食堂が増え続けることも。

安倍晋三氏が銃撃に倒れたのは確かにあってはならない事件ではあったが、それと彼の国葬とは一切無関係であるはず。

安倍昭恵氏に会ってキャッキャしている編集者の正気を疑う。
ジャニー氏の性加害について無邪気な立場を取りタレントを擁護する作家は軽蔑する。

この行為一つ一つは小さいことだ。しかしそれが積み重なり、現在の日本の凋落がある。

政治を見よう。声をあげよう。投票に行こう。投票に行くためには、日々国会を、議員の発言を、立法の中身を、見定める必要がある。

福祉や教育は、絶対に公的な補助がなければならない。しかも、幅広く行き渡らないと、意味をなさない。80年代に有権者であり発言権のあった人たちの無策を、憎む。公教育も、博物館も図書館も、「稼げる大学」「選択と集中」を前にして風前の灯だ。

司書、学芸員、教師、保育士、介護士、、長時間労働であり給与も多くないから人材が定着しない。なりてがいないからと、今度は政府が資格を貶めたり応募のハードルを下げることに、怒りを禁じ得ない。

支援する人に対して支援が行き渡らないと、困るのは支援を求めている人だ。カウンセリングや相談窓口が徐々に減っていく。予算がつかないから。

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性被害や家庭内暴力(DV)など困難を抱える女性を支援する婦人相談員の6割が月額20万円以下の給与で働いていることが、東京大の小川真理子・特任准教授(社会学・ジェンダー研究)らの調査で判明した。小川准教授は「婦人相談員は公的な専門職であるにもかかわらず、不安定な立場に置かれている。支援の質に影響を及ぼす恐れがあり、待遇の改善は急務だ」と指摘する。【坂根真理】

婦人相談員は都道府県の婦人相談所や福祉事務所などに配属され、性暴力やDVの被害、生活困窮などの困難を抱える女性の生活や自立に向けた相談に応じている。多くが非正規での雇用となっている。

 調査は全国の婦人相談員約1500人を対象とし2022年8~9月、自治体の担当部署を通じて調査書を送付。586人から回答を得た。

自治体から支払われる給与を尋ねた質問では、月16万円未満との回答が最多で177人(30・2%)にのぼった。月16万~18万円未満が103人(17・6%)、月18万~20万円未満が81人(13・8%)だった。給与が業務に見合っているかについては、「思わない」が324人で半数以上を占めた一方で、回答者の約9割にあたる518人は「業務にやりがいを感じている」と答えた。

50歳以上が7割超、人材育成急務

 性被害やDV被害に遭った女性の病院受診に同行し、望まぬ妊娠をした女性の支援策を考える。ストーカー被害に悩む女性と一緒に警察署に行き、住まいを失った女性のアパートを一緒に探す……。婦人相談員の仕事は多岐にわたる。相談件数は増加傾向にあり、21年は延べ43万7113件にのぼった。

 支援が必要となる女性は、精神的なダメージを受けてトラウマを抱えている人が少なくない。このため、公認心理師や精神保健福祉士などの資格を取得する婦人相談員も少なくない。

毎日新聞WEB2023/10/28

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