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出版界の多様性
出版業界団体
●出版業界4団体
一般社団法人 日本書籍出版協会(書協)、一般社団法人 日本雑誌協会(雑協)、一般社団法人 日本出版取次協会(取協)、日本書店商業組合連合会(日書連)
●主な出版業界団体
一般社団法人 教科書協会、一般社団法人 自然科学書協会、一般社団法人 出版梓会、出版企業年金基金、出版健康保険組合(出版健保)、人文会、出版倉庫流通協議会、一般社団法人 出版物貸与権管理センター(RRAC)、公益社団法人 全国学校図書館協議会(全国SLA)、一般社団法人 日本医書出版協会(JMPA)、一般社団法人 日本ABC協会、一般社団法人 日本雑誌広告協会(雑広協)、日本児童図書出版協会(児童出協)、一般社団法人 日本出版インフラセンター(JPO)、日本出版学会、一般財団法人 日本出版クラブ、一般社団法人 日本出版者協議会(出版協)、日本出版労働組合連合会(出版労連)、一般社団法人 日本電子出版協会(JEPA)、一般社団法人 日本電子書籍出版社協会(電書協)、公益社団法人 日本図書館協会(日図協・JLA)、公益社団法人 日本文藝家協会、一般社団法人 日本ペンクラブ
この他にもいろいろあり、自分も多分にお世話になっている。
こういう団体とは、付かず離れず、上手に立ち回るのが、できる社会人だ。例え心の中に何かを感じようとも、相手に猜疑心を抱かせてはならぬ。いつも笑顔にスマートにそつなく対応するのがポイントだ。
いろんな人を紹介していただいたが、偉い人は判で押したような、ある年代の、男性だった。
「ある年代の男性」だって、雑に纏められて心外だとは思うが仕方ない。これだけ似通っていると、纏めたくもなる。みんな役職に見合うだけの日本風紳士(西ヨーロッパ風ではなく)で、少しずつハラスメントを(適当に)して、肩書きのない女性の話は聞かず、力のない名刺には見向きもしない、そして何より、同じような人たちとばかりつるんでいる、そんな風に見えた。
みんなが、顔を見るだけで自分のことを分かってくれ、形だけの尊敬の念を表面的に見せてくれる。そして、万が一、自分の顔が分からない失敬を、新参者がしようものなら、容赦しない。「僕を誰だと思っているんだね?」「⭕️⭕️社長と僕は知り合いだよ?」
業界外では通用しない謎の慣習。
壮大なボーイズクラブである。
🔸
各団体のウェブサイトにアクセスしてみる。
役員をざっと眺めると、男子率が多い。なんでなんだろうと思う。
代表が女性っぽいのは、雑協とペンクラブくらいか?代表はまだ百歩譲って良いとしても、役員のほとんどが男性らしき名前である。1人も女性がいない団体もある。
まぁ、仕方ない。社会構造の問題だ。誰も何も意見しない。
だが、このテコでも動かない頑健な構造が、現代社会問題の温床であるとなれば、「仕方ない」では済まされない。
何度も口にしているが、この「おじさんのおじさんによるおじさんのための経済界」が、戦後の高度成長の鍵を握ったわけじゃない。経済発展したのはただただ、タイミングが良かっただけだし、世界情勢のお目溢し的な発展だというのは、もはや説明いらずだろうが、逆に、経済発展してしまったがために、先進国が踠き苦しみながらも人権を広げて行った歴史から、日本は残念ながら乗り遅れてしまった。家父長制が良かった訳じゃないのに、あの時代の栄光と家父長制とを重ね合わせる人のなんと多いことか。「日本式経営論(家父長制つき)」というものは、実態がなく、結局絵に描いた餅でしかなかったわけだ。
人口の大半の才能が埋もれているのだから、そりゃ発展なぞするわけがない。
百歩譲って(ばかりだが)終身雇用制をそのまま続けていたならば、この多様性のかけらもない社会でもまだマシだったかもしれぬ。それが、中途半端な新自由主義が歪んだ形で誤解されたまま輸入され、グローバリゼーションなどと言ってアメリカさんとは異なる方向に舵を切り、家父長制は残すという、ある意味悪手に悪手を重ねてしまって、もはや良いところが見つからない。
人材を生かすしか道はない狭い国土の資源も限られた東洋の国が、人材を大切にしない社会とは、末恐ろしいものであり、もうその沖合くらいは見えている。
それにしても、
日本の男の人というのは、悉く未来を予想することが苦手なんではなかろうか。
なんでこうも、未来を予測し、計画を立てることが不得手なのだろうか。
未来に向けて種まきをすることを、なぜ恐れるのだろうか。
どいつもこいつも、今だけ金だけ自分だけの人だらけである。
どいつもこいつも、は言い過ぎかもしれないが、書店に降りてくるフェアを眺めているだけで、想像できる。
ああ、なんの生産性もない。おじさんの考えそうな、手垢のついた、バブルの時にちょっと流行った手段のフェアが、日々、書店に降ってくる。絶望する。
たくさんの紙を始めとする資源の無駄を、配れば消費者が喜ぶ時代は遥か昔に終わったのだよ、おじいちゃん。
イノベーションや大改革をしなければ、出版業界はこのままである。
壮大なボーイズクラブの時代を終わりにしたい。
とは言え、このボーイズクラブはそう簡単には瓦解しない。なかなか堅固なシステムである。
なぜなら、決定権を持つ人たちが、同じような環境で育って、同じ性別の同じ年代の輩ばかりで、その人たちがキャッキャつるんで、一度つるめばその美味しさからはなかなか道を元に戻せないものだ。
また、3世、4世の世襲の社長ばかりが幅を利かせている業界ということも、あるかもしれない。3世以上の世襲役員には、所謂、哲学が感じられない。頑張っている3世以上の人を誰か見かけたことないか?会いたいものだ。
活躍しているのはルパンくらいなものである。
ボーイズクラブを引き継ぐ血縁ではなく、実力で社長を決めてほしい。
私の愛する日本の書籍業界は、なんともはや、今の中央政府と同じように、体中に蛆の湧いた瀕死の人間のようだ。膿を出さねば元気にならない。
膿。
勇気を持って、膿を出そうではないか。良心を少しでも持っているならば。
その膿とは、
さて、なんだろうか。