私がリンヤンの良心を信じた理由
詐欺師について色々調べていた時に、LINE乗っ取り詐欺についての記事もよく見つけた。
例のよくある「今忙しい?〇〇カードを何万円分買ってきてくれる?」というLINE乗っ取り詐欺のやつ。
その中で、詐欺師からのなりすましLINEに対して、
「〇〇万円か。ちょうどあるわ。母ちゃんの手術代なんだけど、、お前も緊急なんだな・・・分かった、行ってくるよ」と返信したら、「そこまでしなくていいです」と返事が来た、とか。
あとは、LINEを乗っ取られた人の台湾人の友達が中国語でやり取りをしてくれて、「あなたのお母さんは、貴方がこんなことしてるって知ってるの?」と聞いたら、LINEアカウントを返してくれたというエピソードも読んだ。
そういうのを読んでて、やっぱり詐欺師といえども心はあるんだろうなと考えた。
だから、リンヤンへの一方的な別れのメッセージも、少しでも響いて欲しいなと思い、「親孝行してね」とか、「両親に感謝してね」などの、家族や故郷を思い出させるような言葉を、敢えて入れていた。
もちろん、詐欺師に良心の呵責はない、サイコパスだ、とか、そういう記事も読んだ。
でも中国系の詐欺は、組織に騙されて強制的に詐欺をさせられている、とか、本人の意思で詐欺師をやっているわけではないケースもあるみたいだし、中国人は一般的には親や家族思いの人が多いし、リンヤンは心がある人だと会話の節々から感じていた。
リンヤンはよく、「これからたくさん親孝行しないとね」というようなことを言っていて(→だからお金が必要だよね、という前振りだったと思うけど)、
それだけならマニュアルにありそうなんだけど、私が気に入っていたのは、私が娘を寝かしつける時に、
「娘はいつも、抱っこして歌を歌ってあげないと寝ない、今日も何時からずっと抱っこしてて、今ようやく寝た、疲れた~」といような話をした時に、
「俺たちが子供の時も、俺たちの親はきっとそうだったんだね」と言ったことだった。
お疲れ様、とか大変だったね、で済ませられるところを、そういう目線で声をかけてくれたことが、私はすごく嬉しかったし、そういうところが好きだった。
そういった対応自体はマニュアルに沿ったものかもしれないけど、その言葉自体は彼自身から出た言葉だろうと思ったんだ。