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キャリアの旅にようこそ

「さあ。行きましょうか」と添乗員が声をかける。お客さまが動き出す。ツアーの始まりだ。
乗り物のチェックイン、空港での乗継、右も左もわからない土地で現地バスへの誘導、地産地消の地元名物料理を堪能して、素敵なホテルに泊まる。夜景を愛でながら、プールサイドでほっとマルガリータにくちづける。そしてまた明日、旅が続く。ある程度決められた計画に沿って、決められた団体行動で、安心・安全な旅を続けていくことができるよね。
一方、ひとり旅は、束縛されない。自由気まま、風の吹くまま、思いのままで場所を移動する手段を見出し、乗継か出国かでゲートを間違わないように人の流れに惑わされないように集中して、腹痛を覚悟しながら屋台で食し、びくびくしながら夜道を探検。ひょっとしたらダニの住処かもしれないところに潜り込んで満天の星を見ながら夜を明かす。でも楽しい。束縛されないし、これが旅の醍醐味だよねって。ぜーんぶ自分で決めて踏み出して行くからね。
 
第97号(2023年3月8日)市場有子さんからバトンを受け取りました和田です。

そーいえば、私が、キャリコン資格を取得しようと思ったのは、
企業の受入側として就活生の面接と入社後の新入社員の教育・指導を通じて、社会と組織に馴染む期間である入社3年目までの若手社員と接する際、その心の動きに違和感があったことでした。
母校においては、大学3年生に面接対策セミナーの講師としてキャリアセンターの思いと学生を社会に送り出す立場からみて、学生の心の動きに違和感を覚えたこと。
受入側と送り出す側の両方の違和感を経験させていただき、その橋渡しをしたいと思ったからです。

直近のマイブームは、シニアのネクストキャリアです。
定年前と定年後の会社員の心の動きについてよく考えます。定年前の会社員の多くの人たちが戸惑うのは、定年後はどうなるのだろう、どうするのだろう、何をすればいいのだろう、ということ。
だって定年前までは、不平不満があってもみんなと同じ行動をすることで安心・安全だし。給与は保証され、解雇もまずないし。そんな生活基盤と自分の居場所がそこにある生活を長く続けているからすっかり染まっているし。つまり、定年までいること自体がみんなと同じことをしている安心感から来ているんだよね。
定年後、みんなと同じことをしていることがなくなることが不安の原因なんだよね。
 
定年前までの会社員は団体ツアー客であり、定年後はひとり旅をして行くことになる感じかしら。
指示されることもないし、どこに行くかも教えてくれない、全て自分で考え、どうするか、どこに行くかも決めていかなければならない。だから、本当の不安の本質は、健康・お金・生きがいを見つけることではなく、団体行動から単独行動になるということ。みんなと行くからついていった。みんなと同じだから安心だ、というアイデンティティを否定することから始まるからなんだ。
 
あ。
これって。
 
大学生がそれまでの決められたルールと決められた団体行動で恵まれた環境の学生生活から、社会という組織に組み込まれて行くときの心の動きとよく似ているのではないかしら。新社会人も定年後の会社員も置かれた環境の違いはあるけれど、全て自分で決めていかなければならなく、その責任と義務はすべて自分にかかってくることのまだ見ぬ恐ろしさに気づくからではないのかしら。
 
若い世代とシニアの大きな違いは、時間の流れ方と体力だと思います。シニアの時間の速さは、若い世代より早く、体力の衰えは間違いない。
だから。
あらためて強く感じるのは、人はいつになっても目標を持つことが大事ということ、目的はどこにおくか。それを決めるのは、自分しかいないのだわ。
自分がどこに行くかを決めるのは自分しかいない。
 
あらためて、キャリアの旅にようこそ。

団体ツアーのお客さまからひとり旅をするために、まず一歩を踏み出そう。
自分で行動を起こすこと。行動をしなければ何も始まらないのだからっ。
 
旅の空の下、次回は、平井厚子さんにバトンをお渡しします。

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