穏やかな対話を増やしたい時に使える、印象を変える伝え方の工夫
人から同じことを言われているはずなのに、自分がイラっとするときもあれば、素直に受け止められるときもありますね。この違いは、伝え方による差で起きている場合があります。
ということで、伝え方のほんの少しの差が大きな印象の違いになる例を見ていきましょう。たとえば、次の2つの文を読み比べてみます。
A. あなたは書類の記入不備のチェックができないから、手戻りが多く効率が悪いと思います。
B. 書類の記入不備のチェックをていねいにすると、手戻りが減って効率が良くなると思います。
だいたい同じことを伝えていますが、大きく2つの違いがあります。
1つ目は焦点をどこにあてるかです。Aでは「あなた」に、Bでは「書類の記入不備のチェック」に焦点をあてています。「あなたは」と伝えていると、人によっては自分自身が否定されたように受け止めることがあります。また、あなたと私という対立構造になりがちです。それよりは、焦点を対象(書類の記入不備)にあてて、あなたと私が同じ課題を向いて話すと受け止めやすくなります。
2つ目は否定形で伝えるか否かです。Aでは「できない・悪い」と、Bでは「良く」という伝え方をしています。できていないと言われるよりは、どうしたら良くなるのかを示された方がアクションしやすくなります。
自分としては相手のことを想って「こうしたら良いのに」と伝えているつもりでも、伝わらなければもったいないです。それどころか、伝え方のせいで逆効果になることすらありえます。
次に、直接的に課題を指摘するのではなく、相手に内省を促したいときもあります。そういうときに、「なぜ」と聞くのか「なにが」と聞くのかでも、人の考え方が大きく変わることがあります。例をあげてみます。
1. なぜ書類の記入不備が起きているのですか?
2. なにが書類の記入不備を起こしていると思いますか?
「なぜ」と聞くと、「なぜ」のなかに自分自身も含まれるので、「自分の欠点」を探し始めて「自分がだめなんだ」という気持ちになっていく人がいます。
対して「なにが」と聞くと、自分自身よりは「プロセスや仕組み」に目がいきやすくなります。そうすると、具体的にこう変えてみたらどうか?というアイデアが出やすくなります。また、自分を変える取り組みより、仕組みや道具を変える取り組みの方が始めやすいです。
自分としては相手のことを想って「こうしたら良いのに」と伝えているつもりでも、伝わらなければもったいないです。それどころか、伝え方のせいで逆効果になることすらありえます。
特に日本語は、主語や目的語があいまいになりやすいです。また、オンラインミーティングだと相手の表情も見えにくいし、ボディランゲージも乏しくなります。なるべく丁寧に伝え方を意識することが重要になっています。
このような伝え方を意識するためには、客観的に自分の伝え方を見ることが第一歩となります。たとえば、Deepl(https://www.deepl.com/translator)という翻訳サービスを使って、自分の話し言葉を英訳してみましょう。「I(私)」のつもりで言ったのに「We, They(私たち、彼ら)」になったりします。自分がどれだけ主語をあいまいにしているかを意識するきっかけになるので、よかったら試してみてください。
今回は伝え方について紹介しました。色んなやり方を試しながら、自分に合うものを見つけていきましょう。