未来からの21世紀全人類丸裸計画
みなさん歯は綺麗にしてますか？
どうも口腔内細菌に興味津々のぐちたです。
今日は口腔内細菌についてです。
からのこのタイトルはなんのこっちゃ？って感じだと思いますが、しばしお付き合いください。
今日は「日本の研究.com」（https://research-er.jp/） で口腔内細菌に関するプレスリリースが2件あったので、このネタを取り上げています。
ひとつは口腔内細菌が大腸ガンの原因になる可能性があることを初めて示した論文①。（※1）
もうひとつは江戸時代の人の口の中の細菌と歯周病を調べた論文②。（※2）
口の中の環境によってガンとかになりうるのはすでに知っていた気がしてたんですが、今回の論文①では大腸ガン患者の口腔内と大腸で共通している4種類の細菌を特定しており、
I. 口腔から大腸に細菌が供給されていることを証明したこと
II. 発見された口腔細菌は、大腸がんに特異的であることから、大腸がん及び発がんに関わる細菌であることが示唆されること
っていうのが新規だったみたいです。
うっすい感想だけど、やっぱり歯磨きって大事ですよねー
こういう有害な菌だけ殺せるような洗浄液とかができたら助かるんだけどなー
まあ、こういう菌が別のところではいい働きしてて、トータル「行って来い」で効果イマイチでした的なオチもあるかもですが。
そして、自分が一番気になったのがもう一方の論文②。
江戸時代の人の口腔内細菌ってわかるの！？っていうのが驚き。
歯石に含まれる細菌からDNAを抽出して種類まで特定できるのだそう。
すごいよね！？
江戸時代（1603-1867）ってことは、最低でも150年前じゃないですか！？
まあ冷静に考えればマンモスのゲノムもゲットできたってことだから「人の歯」ならマンモスよりはハードル低いかってなるのはわかるんだけど、本当にDNAって保存性の高い生体情報だことで。
なんでも、江戸時代は鎖国中だったから、食生活が欧米の影響は受けていないわけで、これを現代日本人の口腔内細菌と比較することで、同じ歯周病でも違う細菌が関与していることがわかったとのこと。
どっちにしろ歯周病にはなるんかい！って感じですが、食生活がまったく違っても同じ病状に収斂するのは確かに興味深い気がします。
というのも興味深かったんですが、今日この話題を選んだ一番の理由は、
「後世にいろいろ生体情報残りすぎじゃね！？」ってところに驚いたから。
これまでの考古学的な炭素同位体の情報とか、最近のDNAゲノム情報とか、だんだん拾える情報が増え、当時の生態の解像度も着実に上がってきている感じよね。
これは、もう100〜200年したらですよ、われわれ21世紀人の生態は未来人に丸裸にされているんじゃないかと。
例えばですよ、仮に琥珀に閉じ込められたり氷漬けになって死んでしまった暁には、その人の脳と身体の情報から、「どんなことをエロい考え、どんな変態的なプレイをしていたか」みたいなことまでつまびらかにされてしまうのでは！？
そして、それが未来人のジャーナルとかに掲載されて、
「21世紀人は四六時中生殖にかかわる卑猥なことを考えて生活を送っていた事実が判明」的なタイトルの論文が書かれてしまったりするのではないか！？
みたいなことを妄想してしまうのですよ。
ていうのは冗談だけど、われわれ21世紀人の生態が遺伝情報、エピジェネ情報、神経系の電気信号とかいろんな切り口で未来人によって暴かれるような未来はあるんだなーと感じた次第です。
常に意識高いことを考えて生きねば！
ではまた！
※1 https://research-er.jp/articles/view/103209
掲載：Cancers 2021, 13(13), 3332
タイトル：Colorectal Cancer Patients Have Four Specific Bacterial Species in Oral and Gut Microbiota in Common—A Metagenomic Comparison with Healthy Subjects
（日本語：世界初！口腔細菌が大腸がんの発生に関与している可能性を発見）
※2 https://research-er.jp/articles/view/103208
掲載：Frontiers in Cellular and Infection Microbiology
タイトル：Comparison of periodontal bacteria of Edo and modern periods using novel diagnostic approach for periodontitis with micro-CT
（日本語：江戸時代の人骨から口腔内細菌叢を解析 ―歯石DNAから江戸時代の口腔内細菌群を特定）