殺してしまったPASMOの「魂」を因習村の儀式で復活させた話
皆様、「PASMO」をご存知ですか?
知らない訳ないだろ、という声は置いといて、一応説明します。PASMOというのは、日本のとある都道府県(詳しくは言えませんが、世界自然遺産を擁する僻地です)、つまり因習村で広く使われている、特殊なカードのことです。
何を隠そう、私もそこで長く生活していたことがあり、その時はこのPASMOに全面的にお世話になっていました。しかも、私が使っていたPASMOはただのPASMOではなく、
クレジットカードとしても使える
オートチャージもできる
メトロの定期券としても使える
ANAマイレージカードにもなる
という、まさに「全部載せ」と言えるような恐るべきカードでした。そのおかげで村での生活はとても便利になりました。村に隠された恐ろしい企みも知らずに……。
色々あって私は村を離れて都会で生活をするようになり、このPASMOはほぼただのクレジットカードと化していました。その内、クレジットカードとしての更新期限がきたので、カード会社から代わりのカードを送ってもらいました。
でも、そのあたりから妙なことが起こるようになったんです。
それまでは、全国の駅にいけば、チャージをしてもらったりして使うことができたんです。でも、そういうことが一切できなくなったんですよね。
まあ、たまの旅行なら別の手段で切符を買えばいいだけなのでスルーしてたのですが、ある日、どうしても気になったので駅員さんに聞きました。端末でPASMOをチェックした駅員さんは、恐ろしいものを見るような目で私に言いました。
駅員さん「あんた、これ『PASMO』だね……?」
私「そうですが、それが何か?」
駅員さん「うちではこれを復活させることはできない。『メトロ』の人間じゃないと」
私「……!?」
てっきり、私鉄ならどこでも大丈夫なのだろうと思っていた私は面食らいました。どうやら、このPASMOには恐ろしい秘密があるようで、それを解き明かすためには、あの村に行くしかないようです。
先日、私はある用事のついでに因習村に戻ってきました。
ちなみに、村では「メトロ」という教団が地下のネットワークを牛耳っており、PASMOを復活させるためにはそこの集会所(駅とも言います)に行く必要がありました。私はホテルの最寄りの集会所(南阿佐ケ谷駅とも言います)に行き、駅員さんに事情を話しました。
以下、私と駅員さんとの会話です。なお、一部脚色があります。
私「すいません、このPASMOの調子がおかしいみたいなのですが……」
駅員さん「お客様、新しいカードのようですが、古いカードは?」
私「え、細断して捨てましたけど」
駅員さん「お前、まさかあの祠……じゃなくて古いカードを捨てたんか???」
駅員さんは恐ろしい形相になりました。
駅員さん「なんということじゃ……転送の儀を済ませないまま古いカードを捨てると、そのPASMOの魂は死んで、行き場を失ってしまう」
私「ええ?」
駅員さん「このままでは行き場を失った魂がお主を呪い殺してしまう。新しいPASMOも使えないままじゃ」
私「そんな……それを防ぐためには?」
駅員さん「再臨の儀をするしかない。しかし、それには大いなる代償を伴う。お主にその覚悟があるか」
私「……あります」
駅員「それでは新規発行手数料 520 円をいただきます」
という訳で、PASMOの機能は復活し、私のPASMO付きクレカはオートチャージ機能付きの最強カードの座を取り戻しました。
結論
PASMO機能付きのクレジットカードを更新するときは、古いカードからPASMO機能を移行する必要があるので、気をつけましょう。特に東京……じゃなかった、因習村を離れた人は。
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