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芸者置屋の売上帳と判明
郷土史資料の収集や活用を行うNPO法人石巻アーカイブ(小野寺豊代表理事)は13日までに、会員から持ち込まれた古書が市内にあった芸者置屋の大正10年から昭和初期までの売上げを記載した玉帳と玉控帳だったと発表した。ほかに江戸後期から明治初期ごろの医療・薬事関係書籍もあり、適切に保存できる施設を探している。
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いずれも会員の長谷部雅史さん(59)=石巻市渡波=所有。故人となった父親が、金融機関時代に付き合いのあった旧家からもらってきたものらしい。
古書を調べた法人副代表理事で郷土史研究家の邊見清二さんによると、玉帳と玉控帳は3冊あり、いずれも明治末期から昭和40年ごろまで中央の旧仲町通りにあった芸者置屋「稲廼家」の物。芸者を派遣した日時から料亭、芸者、客名が記され、今に残る老舗料理店や地元の名士と思われる名も散見される。
玉帳は、置屋や芸者、料亭を管理する見番と各置屋とで作成。月2回、2冊を突合わせて金銭が支払われていたが、閉店で不要になり、置屋か見番のいずれかから流出したと考えられるという。邊見さんは「芸者置屋は県内で仙台と石巻しか置けなかった。芸者遊びがタブー視された時代もあったが、文化の一面。実態が分かる貴重な郷土資料」と話した。
一方、医療・薬事関係と思われる書籍は「錦嚢外療秘録」と「本草綱目菜部目録第27巻」、「本草綱目草部目録第16巻」。木版刷りした和紙を和とじにして製本したもので、詳細は不明という。いずれも古い本で、小野寺代表理事(64)はNPOで保存するのは難しいと考えおり、「しかるべきところに預けたいので、ぜひ手を挙げてほしい」と協力を求めた。
【熊谷利勝】
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