門脇流留線が全線開通 石巻、東松島結ぶアクセス道 防災機能持つ高盛土道路
石巻市と東松島市を結ぶ都市計画道路「門脇流留線」のうち、門脇工区(同4.2キロ)が完成し、24日に開通式が行われた。これにより、東日本大震災後に事業化された同線は石巻市の門脇から魚町までの全7.9キロが通行可能になった。東松島市側では都市計画道路「矢本門脇線」(同3.8キロ)と接続し、平時は2市を結ぶ物流・通勤路、有事では避難・救難ルートとして活用される。
門脇流留線は、総事業費約338億円。県が平成24年に復興交付金を活用して事業に着手した。これまで令和2年9月に魚町工区(2.6キロ)、同3年3月に南浜工区(1.1キロ)が整備され、門脇工区を残すのみだった。
門脇工区は魚町工区と同じく、津波への多重防御機能を持つ高盛り土道路で、高さTP(東京湾平均海面)3.5メートル。片側1車線(幅員各3メートル)だが、災害時に両側に車が停車した場合も想定して中央部分に幅員3メートルのゼブラゾーンがある。交差点を除いて歩道はなく、制限速度は60キロ。北上運河を渡る新設橋「第二明神橋」も整備し、矢本門脇線の定川復興大橋と接続した。
開通式には県や2市の関係者約80人が出席。道路下では近隣住民も式典の様子を見守っていた。遠藤信哉副知事が「24年に着手してから10年かかり、皆さんをお待たせした。石巻と東松島を結ぶ地域交流と物流、有事の避難・救難ルートであり、これまでの協力に感謝したい」と関係者らを労った。
齋藤正美石巻市長は「開通によって復興完結にあと一歩まで近づいた。自治体を結ぶ基幹道路であり、一層2市1町の連携強化に努める」、渥美巖東松島市長は「これまで運河で遮断されていた2市も、門脇流留線と矢本門脇線の接続で交流が活発になる。石巻で最大の雇用の生む工業港エリアへのアクセス性も高まった」と語っていた。
くす玉開披やテープカットの後、車列パレードがあり、東松島方面に向けた走り初めを通じ、基幹道路の完成を喜びあった。【横井康彦】