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H3ロケット打ち上げ成功 石巻・エヌエス機器も歓喜
エンジン関係部品を研磨
精密加工研磨の㈱エヌエス機器(阿部秀敏社長)=石巻市和渕=は、半導体装置や医療機器、高級車に使われる部品など複雑形状の金属部品もナノレベルの技術で磨き上げ、近年は航空・宇宙産業も受注する。17日に打ち上げられ、超小型人工衛星の分離に成功した国産新型ロケット「H3・2号機」のエンジン関係部品研磨も同社が担った。打ち上げ成功に阿部社長(64)は「小さな会社だが、国家の一大プロジェクトに携われて光栄。努力が実った」と喜びをかみしめた。
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自動車部品製造業者として昭和61年創業の同社は、約20年前から研磨加工に特化した会社に舵を切り、社員教育で技術力を上げて実績を積み、平成29年からはロケット部品の受注も始めた。
H3・2号機は現在主力の「H2A」の後継機。宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業が26年から共同開発している2段式液体燃料ロケットだ。災害時の観測や気象情報収集、人工衛星の宇宙輸送、世界で高まる商業衛星打ち上げ需要の受注獲得などが目的であり、今後20年間の日本の宇宙輸送の中心を担う存在として期待される。
エヌエス機器が携わったのは、この1段目のエンジン。駆動源となる液体水素ターボポンプの関係部品に精密な研磨を施し、燃料の流れをよりスムーズにすることに貢献した。
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昨年3月の初号機打ち上げは1段目が作動したが、第2段エンジンは電源系統の不具合で着火せず、上昇中にやむなく指令破壊。搭載されていた政府の地球観測衛星「だいち3号」も失った。JAXAは原因究明と再発防止に1年費やし、今回の2号機打ち上げにこぎ着けた。
2号機は17日午前9時22分、鹿児島県の種子島宇宙センターから発射。エヌエス機器本社でも従業員が画面越しに生中継を視聴した。
打ち上げから約5分後、第2段エンジンの着火に成功し、約16分後には、目標高度に到達。搭載衛星のうち超小型衛星1基とダミー衛星1基の分離も確認した。固唾をのんで見守っていた社員も拍手で歓喜。阿部社長は「本当にほっとした。涙が出るほどうれしい」と胸をなでおろし、「宇宙ビジネス市場における大きな一歩。日本の技術力の結晶であり、これに関われていることは社員一同の誇り」と喜んだ。
ロケット部品研磨を研究し続け、けん引してきたのは製造部の高橋盛二部長(44)。「研磨材選定からこだわり、会社でも家でも昼夜問わずイメージを膨らませてきたが、難しさの連続だった」と回顧。「それだけに喜びは大きい。今後も高品質な製品を世に送り出し続けていく」と決意を込めていた。
【山口紘史】
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